【代表質問】令和3年度施政方針について

井上 一男 井上一男

会派を代表いたしまして、市長の施政方針について質問をさせていただきます。

初めに、市民への新型コロナウイルスワクチン接種は4月から始まることに期待が高まる中、本市におけるワクチン接種体制の構築にご協力いただいている市内医療機関の皆様、並びに医療従事者はじめ関係者の皆様に対し感謝申し上げるとともに、ここに敬意を表するものであります。

さて、令和3年度の当初予算は、昨年、過去最大規模となる積極予算から一転、大幅な縮減予算となりました。

新型コロナウイルスの影響は大きく、歳入の根幹をなす市税収入は6億3,200万円の減収となるなど、歳入全体で前年度対比マイナス14億9,000万円の大幅な減収となりました。

本市の財政を現状分析してみますと、別紙お示しした公会計財政4表の推移では、平成29年度と令和元年度の2年度を対比した6つの指標のうち、将来世代比率、資産老朽化比率、受益者負担比率の悪化が見てとれます。

これは合併特例債や普通交付税の算定替えなど、合併に伴う財政上の優遇措置を活用し住民サービスの拠点である公共施設の建設と、それを運営する職員等の経費が積み重なり、公共債の増加、公共施設の老朽化、人件費、物件費等のコスト増が要因であると読み解けます。

また、公共施設建設整備基金を含む財政調整基金では、平成30年度のピーク時に26億5,000万円あったものが令和3年度予算では残高が4億2,400万円となっており、3年間で22億円強を取り崩し、財政不足を基金で賄う状況が続いております。

私たち市政クラブは、この危機的な財政状況に昨年の早い段階から危機感を抱いており、令和2年10月21日には財政健全化の施策要望書として、これまでとは大きく方針を転換した要望書を提出しております。

今回の予算編成は、市民の安心・安全な暮らしを維持し身近な住民サービスを提供するためにも、中長期的に財政運営が安定的かつ持続可能に推移できるよう事務事業の見直しを図られたもので、まさに市政クラブの要望の意図を酌んで市長がご英断されたものと高く評価しております。

施政方針では、縮減予算の大きな要因はコロナ禍での個人・法人市民税の減収等によるものと表明されましたが、2月23日の新聞朝刊では、市民の要望に応えることを優先してきたため基金の積み上げが思うようにできなかったとの発言のとおり、基金からの繰入金が7億4,900万円減少したことの影響は大きく、まさに私たち市政クラブが昨年から懸念していたとおりの状況になっています。

示された予算案では、基金全体で11億円を取り崩し、そのうち財政調整基金の取崩しが8億円で、結果的には残高が3億7,000万円にまで減少しております。

つまり、このままではコロナ禍が回復しても財政不足は解消されず、早々に財政調整基金が枯渇してしまうことが予想されるため、令和4年度以降もこの厳しい現状に目を背けることなく、さらなる歳出削減を図り、財政調整基金に頼らない体質改善が必要です。そうしなければ、健全で持続可能な財政運営ができないのではないでしょうか。

この厳しい財政状況から脱却し、市長の思いである持続可能な健全財政へと方向転換を図るためには、まずは現状分析し、目標を置き、未来の姿から現在を振り返り事業、政策を積み上げることが必要であり、それには産学官民手を取り合って、民間の力やビジネスの手法を生かして未来を切り開く発想と、既存施策の選択と集中を基本に進めていく必要があると私は解釈しております。

現状の分析については先ほど申し上げたとおりでございますが、市長は施政方針で、将来にわたり持続可能な財政運営をしていくための大きな転換期にある。

行政の考え方に凝り固まることなく、新たな発想によるアプローチが必要、何をやるか、いかにやるかというマネジメント改革に取り組むと表明されています。

これこそ、目標を置き未来の姿から現在を振り返ることであり、私は市民が将来に向かって明るい希望と展望を持てるよう、副市長をトップとして行財政改革に取り組んでいくためには、自治体戦略推進本部幹事会を進化させ、縦割りから横断的な行政への脱皮と、人材育成を兼ね備えた若手職員を含めた知恵を出すプロジェクトチームの設置が必要だと認識しております。

そこでお伺いします。

今後、昨年策定された中期財政計画の方針の下に、経営戦略の視点を持って行財政改革に取り組まれるものと理解しておりますが、ただ単に削減するものではなく、総合計画の理念の下、明るい希望と展望の持てる北名古屋市のまちづくりの骨格をつくるべきです。

そのため、市民に対し、議会に対し、ビジョンや目標を示し、進捗状況を共有していく必要があると考えますが、どのような手法で、どのようなスケジュールで取組を進めていく予定であるのか、プロジェクトチームの設置も含めお聞かせください。また、市民と進捗状況を共有する手法についてもお考えをお聞かせください。

次に、既存施策の選択と集中であり行財政改革とも密接に関連する事業、政策の積み上げについて、公共施設の統廃合の視点からお伺いします。

私は、昨年の一般質問の中で、具体的な取組として東西ある施設の統廃合や保育園の民営化、施設利用料の見直しによる財源確保などについて提言いたしました。

令和3年度当初予算案では、東公民館、西図書館、憩いの家とくしげの廃止などが示されましたが、公共施設個別施設計画については中間報告ではあったものの、計画が完成したとの報告はまだ受けておりません。

市民からも、どのような理由で廃止が決まったのか、次はどの施設が廃止になるのかなど不安の声が上がっておりますが、私たち市政クラブも明確にお答えし説明することができません。

少子高齢化を原因とする2025年問題や2040年問題によって、扶助費をはじめとした歳出増加が迫ってくることは確実であり、今のうちから対処しておかなければなりません。

予算、人、もの、情報という限られた経営資源を有効活用していくためにも、公共施設の統廃合をさらに進めていく必要があります。

そして、今がまさに公共施設の統廃合を図っていく絶好のチャンスであると考えております。

コロナ禍と財政危機という二重の苦しい状況から脱却するためにも、従来の発想にとらわれることなく、ポジティブな転換が必要ではないでしょうか。

そこでお伺いします。

公共施設の統廃合については、次年度以降も着実に取り組んでいかれると思いますが、今後どのように取り組んでいく予定なのか、また市民に対してどのように説明される予定なのか、お聞かせください。

最後に、将来のまちづくりに対する市長の夢とビジョンと決意についてお伺いします。

施政方針の中で、歳出削減を伴う行政改革に当たり、市民の皆様に痛みを与える負のイメージが強いという表現がありました。

この負のイメージを打破するためには、コロナ禍と財政危機という二重の苦しい状況の今だからこそ、少し先の未来を見据え、夢と希望の持てるビジョンを市長自らの言葉で語る必要があるのではないでしょうか。

私たち市政クラブは、市民の声を聞き、声を届ける責任ある最大会派として日々政策研究に取り組み、北名古屋市の将来がこうありたい、こうあってほしいという姿について市民に発信し続けています。

例えば、豊かな学びと心を育み文化の薫るまちについては、私たち市政クラブは、社会のグローバル化の進展に伴い、将来ある子供たちを国際人として活躍できる人材に育成するため、英語教育の充実が必要だと考えております。

小学校低学年のうちに英語圏の国で現地に6か月程度留学し、その国の風土、文化を学びつつ、日常会話を英語とする生活環境に身を置くことで、効率的に英会話を習得するだけでなく国際的な感覚や物の見方を併せて身につけることができます。

将来的には、特色ある文教地区の設置も夢あるまちづくりとして期待しております。

また、魅力的で活力あるまちについては、農家の高齢化や後継者不足が進み、遊休農地の増加が懸念されておりますが、私たち市政クラブは都市近郊の農地の特性を活かした農業施策が重要であると考え、その柱が農業法人による農業経営だと認識しております。

農地を集約し、本市の土壌に適した、イチジク、梨、ブルーベリーなどの農産物を中心として観光農園化を図り、今後増え続ける高齢者や自立を目指す障害のある方を農業法人が雇用することでビジネスと雇用、遊休農地の活用につながり、市民の交流の場、食育の場としても期待しています。

私たち市政クラブは、北名古屋市の土地利用にも着目しております。

本市は、5つの1級河川に囲まれ、20年前の東海豪雨では甚大な被害を受けたことから、建設事業要望書を取りまとめ、毎年愛知県建設局に要望し続けてまいりました。

その重点要望の一つが花開き、大山川、合瀬川の中堤部整備が今年4月から始まると聞いております。

いずれは、新川へ流出する内水を海へ直接放出する地下放水路が河川整備のベストだと議論しています。

また、隣町の豊山町では、県営名古屋空港北西部で後方支援を担う新たな防災拠点の整備に取り組んでおり、愛知県は来年度予算に2億6,700万円計上することが発表されています。

そこで、主要事業として、西春駅東部地区新市街地整備検討業務が示されました。

開発ポテンシャルが高い西春駅東部地区において、民間の活力、ノウハウを導入するための公民連携による新市街地整備の事業手法の検討を行うものとのことですが、私たち市政クラブはさきに上げた治水安全度の向上、防災力の向上により北名古屋市の東部全体のポテンシャルが高まるものと期待しています。

そして、そのためには国、県、近隣市町との連携に加え、産学官民と協力し民間の力やビジネスの手法を生かして未来を切り開く発想の転換が必要であり、知恵を出すプロジェクトチームが必要なのです。

また、新たなまちづくり振興基金の創設にも注目しています。

前年度までに基金造成のために起こした合併特例債を償還した範囲内という制約はあるものの、地域住民の連帯の強化、または地域振興などの事業に活用できる財源を確保したことは大いに賛同するものですが、定期的に議会へ報告することで償還及び充当状況を共有し、管理していく必要があるのではないでしょうか。

このように、私たち市政クラブは厳しい財政状況並びにコロナ禍においても、それを乗り越えた後の将来の北名古屋市のまちづくりに夢と希望を抱き活動を続けています。
そこでお伺いいたします。

厳しい財政状況、並びにコロナ禍を乗り越えて後に訪れる将来のまちづくりに対する市長の夢と希望の持てるビジョンはどのようなものであり、どのような手段で市民に向かって市長自らの言葉を語る予定か、そして任期残り1年、そのビジョンに対しどのような決意で取り組まれるのか、市長のお考えをお聞かせください。

締めくくりとしまして、昨年当初から令和3年度当初予算案の編成に至るまでの間、私たち市政クラブは様々なご提案を申し上げてまいりました。

それはこの危機的な財政状況を市民と共に乗り越え、持続可能な財政運営によって夢と希望のある北名古屋市のまちづくりを目指したいという市長と同じ熱い思いと責任があるからなのです。

職員がコロナ禍への対応に追われる現状の中、令和3年度当初予算案の編成に当たり、市長が大変厳しいご決断をされたことに対しては一定の評価がなされるものと考えておりますが、多くの課題を積み残しており、本当の正念場はこれからです。

北名古屋市の将来の発展のため、市政クラブも市長を支え市民と共に乗り越えていく覚悟でおりますので、次年度以降も改革の手を緩めることなく、真摯に取り組まれることを期待いたしまして、市政クラブの総意としての代表質問を終了いたします。

 

 市長(長瀬保)

令和3年度の施政方針につきまして、お答えをさせていただきます。

私はこれまで、常に未来志向で愛するふるさとの行く末を考えながら、時代の流れを見つめ、肌で感じ、時代に合った施策について的確に立ち止まることなく推し進めてまいりました。

こうした中で、市議会最大会派であります市政クラブのご支援をいただく中で、毎年、新年度予算編成に向けた施策要望書の内容を真摯に受け止め、提言の各種事業の実現に向けて最大限の努力をしてまいったところでございます。

特に、一昨年の令和2年度の施策要望事項は数々頂戴いたしました。

その中で、本市が社会福祉法人師勝福祉会、西春福祉会と連携しながら介護サービス包括型障害者グループホームの開設に向けた整備も実現できる運びとなりました。

また、懸案でありました子ども医療費につきましては、議会で多数のご賛成を頂戴した中でご賛同いただき、昨年8月から18歳到達年度の年度末までのお子さんの医療費の無料化も実施させていただきました。

一方で、市政クラブから昨年の秋にご提出いただきました財政健全化の施策要望書は、これまでの施策要望から大きく転換をされて、一転し行政改革を中心とした要望内容でございました。

確かに、ここ数年の行財政状況を鑑みますと、多少の無理をしながらも市民皆様の要望にお応えするための施策を推進してまいった結果であることは否めません。

また、コロナ禍の影響による経済活動の悪化、特に景気の落ち込み等によりまして市内の大手金融機関などの法人税が大幅に減少し、予想以上の税収不足になることは想定しておりませんでした。

本市では、以前から行政改革を進めてまいっておりましたが、こうした社会経済の急激な変化が市の財政を圧迫している状況下、一般質問を通して令和3年度の予算編成に対する会派の皆様からの厳しい激励を頂戴いたしたものと受け止めているところでございます。

今後は、行政執行部だけではなく、市民の代表者でもございます議員各位の皆様のご支援をいただき、行政改革を進めていかなければならないと存じます。

よろしくご理解を賜りたいと思います。

こうしたことを踏まえまして、私は本市の今後10年、20年先の将来を見据えたまちづくりを積極的に推し進めるために、市民の皆様方に安全・安心、そして生活困窮者の方々のご支援、そして命と暮らしを最優先に市議会各会派からの施策要望を踏まえつつ全庁的に議論を重ねてまいりたいと存じます。

また、ご質問の行政改革の進め方等につきましては、引き続き進める中で新たなプロジェクトチームの設置なども含めましてスピード感を持って取り組むとともに、その進捗状況は市議会議員の皆様をはじめ諮問機関であります行政改革推進委員会への報告を、市民の皆様にも情報共有してまいりたいと考えておるところであります。

なお、公共施設の統廃合につきましては、既存施策の選択と集中という観点から、保育園の統合を民営化により効率的な運営を積極的に進めておりますが、市民の身近な行政サービスを担うべく公共施設の統廃合は引き続き慎重に対応してまいります。

最後に、厳しい財政状況とコロナ禍を乗り越えた後の将来のまちづくりビジョンについてということでありますが、保育園の民営化の推進によります歳出削減に努めると併せまして、沖村西部地区におきます企業誘致による雇用の創出と、令和6年度には大幅な税収増加を見込んでいるところでございます。

あわせて、法人市民税の法人割におきます超過課税率の引上げ等によります自主財源の確保に大きな期待を寄せているところでもございます。

また、どのような手段で市民に向かって自ら語る予定かということでありますが、担当職員だけではなく私、市長自ら市民に説明していくことは大変重要であります。

市民の皆様のお集まりになる機会等々を捉えながら、私の言葉でこの難局を一緒に乗り越えていただきますようにお願いしてまいりたいと存じます。

もちろんホームページや広報においても、私の思いを伝えてまいりたいと思います。

いずれにいたしましても、私の公約でもあります日本一魅力ある「北なごや」を目指し、市民の皆さんと一緒に安全・安心で快適なまちづくりを進め、輝く未来が次世代までつながる諸施策に全力で取り組んでまいる所存でもございます。

そして、私の任期中は、これまでと同様に、皆様の信任に応えるべく全身全霊を傾注し市長職を全うしてまいります。

市政クラブにおかれましては、これまでと同様に格別なお力添えとご理解を頂戴したいということで答弁に代えさせていただきます。

よろしくご理解いただきたいと思います。以上でございます。

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