1. 災害時の負傷者への対応の拠点づくり 2. 防災訓練の内容について 3. 市民による迅速な応急救護所への負傷者搬送について 4. 災害時に於ける総合体育館の使用の定めについて 5. 各地区の災害対応簡易トイレ等の機材の備蓄について 6. 地震・台風直撃による屋根破損の対応について 7. 防災の現状検証と市民の生命を守る為の決意

 沢田 哲

去る令和5年1月13日、議員研修として北名古屋市防災講演会に参加し、平成23年3月に発生した東日本大震災発災時、現場での陣頭指揮に当たられた当時の宮城県東松島市の市民生活部長 大友利雅氏の生々しい震災体験の講話を拝聴し、本市が同じような状況に陥ったとき、発災直後に被災された多くの市民がパニック状態の中で行政が的確な行動を取っても受け入れられるかなど、強烈な不安に襲われました。

この地にも起こり得るであろう南海トラフ巨大地震をはじめ様々な災害に対し、発災直後の備えについて、私は過去複数回にわたり一般質問で取り上げましたが、公助としての責任を担う行政側の対応として、答弁に沿った対応はできているのでしょうか。

平成23年3月の東日本大震災直後の平成23年第3回定例会の個人質問において、起こり得る大規模災害時の負傷者への対応についてを取り上げました。

当時の防災担当部長、冒頭、大規模災害時の負傷者への対応は、本市の地域防災計画に記載しているが、さらなる実効性のある体制の構築が急務であると考え、平成23年8月に負傷者の拠点づくりのための会議を開催し、今後も関係部局、機関と協議、検討を行い、早期に体制を構築するよう努めると表明され、市民の命を守ることを最優先に、ハード面については数年中に、ソフト面については今年度中をめどに体制の構築に努め、広く市民に周知したいと力強く明言されています。

そして、1年後の平成24年第3回の定例会では、前回行った質問の答弁についての進捗状況を求めましたが、残念ながら未整備な部分が多く、現在その対応策を調整中との答弁が大半でした。

平成27年第2回定例会では、当時の担当部長から、過去2回の定例会において答弁した内容の検証という意味を真摯に受け止め、市民の生命・身体を守る応急対策業務の最優先の実施を念頭に置き取り組んでいく。

そのためにも日頃からの備えを各部、各課との連携と、関係機関や団体と緊密な協力関係の構築に努める旨の発言の後、各質問に対する答弁がなされました。

以上、平成23年9月から複数回にわたり大災害発生による人的災害を何としても軽減させるために様々な質問を繰り返してきましたが、既に対応を構築された項目を除いた絶対に住民の皆様が自ら行動しなければならない項目の検証質問と、それとは別の新たな災害対応対策の質問をさせていただきます。

まず災害時の負傷者への対応の拠点づくり。

1.大災害時の応急救護所について。

健康ドームを大災害時の応急救護所として西名古屋医師会などの関係機関と応急救護所の運営などについて協議を進めるとの答弁でございました。

その後、医師の健康ドームへの配置確保などは確実なのか。万一、医師が不在となっている場合の負傷者への対応策はどのように考えているか、お答えください。

2.応急救護所の市民への告知の徹底。

災害の負傷者の拠点づくりの活動内容が決定次第、北名古屋市地域防災計画に反映させるとともに、広く市民に周知し、発災直後に多数の負傷者が同時に発生し、混乱の防止に努めるとの答弁でございました。

市民への周知具合は現在どのくらいと認識されているのかお答えください。

次に、防災訓練の内容について。

1.災害時における行政の負傷者対応については、防災訓練の内容を検証し、より実践的な訓練にするよう研究したいと考えているとの答弁でございました。

その実践的な訓練とはどのようなものか、お聞かせください。

2.防災訓練にも地震対応訓練と水害対応の水防訓練もあり、水害対応については平成24年9月の定例会において、当時の防災課長より、発災直後の初期対応には関係機関による救助活動がスムーズに実施されるように、市が実施している水防訓練及び防災訓練を通じ相互協力体制の確立に努めているとの答弁がございました。

近年、水防訓練は実施されていませんが、頻発している集中豪雨などへの対応という観点から復活すべきではないかと考えます。当局の考えをお聞かせください。

次に、市民による迅速な応急救護所への負傷者搬送について。

大災害発生後の負傷者の応急救護所への搬送は、消防団と検討、調整するとの答弁でありましたが、私は各地区からの消防団での全負傷者の搬送は不可能と判断しています。

自助・共助として、住民自らの手で迅速に応急救護所に連れ込まなければならない事態を想定し、徹底した搬送訓練等を全市的に行い、そのときに備えるべきと考えていますが、当局の考えをお聞かせください。

次に、災害時における総合体育館の使用の定めについて。

現在、総合体育館は物資拠点として定められていますが、東西の道路の幅は狭く、複数の大型物資搬送車が連続して到着した場合、搬入する車両と搬入を終えた車両が擦れ違うのは困難な状況にあると推定されます。

この際、総合体育館は畳の部屋もあり複数の区画に分かれていることから多目的避難所として活用することとし、物資拠点は別に設けてはと思いますが、当局の考えをお聞かせください。

次に、各地の災害対応簡易トイレ等の機材の備蓄について質問します。

被災直後、避難所と指定されている小学校の校庭に設置されている緊急用トイレ、また鹿田坂巻の水野公園内には5か所の災害時対応のトイレがマンホールの蓋に明記され設置されております。

全ての同様な緊急用トイレがトイレとして使用できる資機材等の備蓄は整っていますか。また、被災後に即使用可能にするための市民を巻き込んだ訓練等は予定されていますか、お答えください。

次に、地震・台風直撃による屋根破損の対応について。

巨大地震や大型台風の直撃で被災地の屋根が破損し、雨漏りの応急処置として多くの自治体でのブルーシートの配付による対応が生々しくテレビ報道などで見受けられました。

雨漏りの応急処置は早急な対応が求められます。

我が市でも備える必要があるが、我が市のブルーシート及び取付けロープなどの備蓄状況及びその取付け業者の確保状況、及び予想被災家屋数に対しどの程度の時間での対応が可能と想定されているかお答えください。

最後に、防災の現状検証と市民の生命を守るための決意。

私は、大災害発生直後に市民の方々が取らなければならない行動をまず行政が示して、それを市民に定着してもらい、犠牲者の根絶を図るためには何をしなければならないかを念頭に長年質問を続けてまいりました。

対応対策を検討するとの答弁など、力強い前向きな答弁と評価させていただいた部分もありましたが、その答弁から実現に至っていない状態には不安と焦りを感じます。

この先、起こり得る大災害に備え、人命を大切にする北名古屋市として独特の取組にもチャレンジしていただくことを強く念じており、今回質問した内容を含め防災対応の充実は待ったなしです。

最後に、各地で大地震や台風、集中豪雨などの被災地の惨状に数多く接し、被災地住民の苦悩を身をもって体験された、私などは比べものにならない豊富な経験をお持ちの北名古屋市災害対策本部の最高責任者としての太田市長に、防災の現状検証と市民の生命を守るための決意をお伺いして質問を終了させていただきます。よろしくお願いします。

 

 防災環境部長(桑原邦匡)

災害時の負傷者への対応の拠点づくりについて、お答えいたします。

現在、西名古屋医師会とは災害時における医療救護に関する協定を締結し、大規模災害時には本会から派遣された医師により診察及び応急処置がなされることとなっており、万が一医師が不足する状況下においては、愛知県へ医療救護班の派遣を要請することとしております。

また、市民への告知に関してでございますが、地域防災計画をホームページで公開するとともに、毎年実施しております市総合防災訓練においては、健康ドームに応急救護所が設置されることを想定した救護活動を訓練に取り入れ、アナウンスでも紹介するなど周知に努めているところでございます。

しかし、健康ドームが発災後に救護所として開設できるかどうかの確認が先決でございます。

被災後、健康ドームの点検を速やかに行い、受入れ体制を整える手順としております。

また、健康ドームのほかにも、負傷者の多い地域における医療機関に救護所の開設を要請してまいります。

さらに、救護所開設に伴う情報提供も重要でございます。防災行政無線等を活用し、被災者に迅速かつ確実に告知して、混乱を最小限に止められるように引き続き訓練を重ねてまいりますのでよろしくお願いいたします。

 

 防災環境部長(桑原邦匡)

防災訓練の内容について、お答えいたします。

災害時における行政の負傷者対応で実践的な訓練といたしましては、これまでの市総合防災訓練において実施した西春日井歯科医師会による身元不明者の特定をはじめ、無人航空機による医療物資の輸送、特別養護老人ホームにおける新型コロナウイルス感染症対策を講じた高所からの救出及び救急搬送訓練が上げられます。

また、令和2年から水防訓練は実施しておりませんが、総合防災訓練の想定におきましては大規模地震と大雨による河川水位の上昇を組み合わせた複合災害を想定し、参加機関、団体や住民の皆様にとって実践的な訓練となるよう時間の限り盛り込んで実施するように努めているところでございます。

今後につきましては、減災の要となる自主防災会の方々を中心として、共助の底上げにつながるような総合防災訓練を検討するとともに、防災機関、団体とも顔の見える関係を維持することで互いに連携し、共に全力で災害に立ち向かえるよう努めてまいりますので、ご理解、ご協力賜りますようお願い申し上げます。

 

 防災環境部長(桑原邦匡)

市民による迅速な応急救護所への負傷者搬送について、お答えいたします。

さきの質問に対する答弁について否定するものではございませんが、消防団が全負傷者を搬送することは私も不可能であると考えております。

議員からもご指摘のありましたように、被災後、救出を求める方々に対し最も早く手を差し伸べられるのは家族や隣近所の住民の皆様であります。

住民自らが可能な範囲で救出していただき、能力を超える場合においては消防署員や消防団員が救出に当たるものと認識しております。

また、住民の力をお借りして搬送する際に必要となる簡易担架の作り方や搬送時の注意点等は、自主防災会に出向いた防災講和や搬送訓練を通し周知徹底してまいりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

 防災環境部長(桑原邦匡)

災害時における総合体育館の使用の定めについて、お答えいたします。

北名古屋市地域防災計画において物資拠点を総合体育館と定めていることから、ご指摘の内容につきましては、昨年の総合防災訓練において愛知県防災安全局により物資搬送に係る車両進入や搬入搬出経路を含めた現地確認がされており、入り口と出口及び進行方向を定めることによりまして構造的には物資搬入に問題はないことを改めて検証いたしました。

物資拠点として必要なスペースが確保できる施設としては、現時点、総合体育館をおいてほかに適切な施設は見当たらないと考えておりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

 防災環境部長(桑原邦匡)

各地区の災害対応簡易トイレ等の機材の備蓄について、お答えいたします。

マンホールトイレにつきましては、市役所西庁舎コミュニティセンター南側、鹿田坂巻の水野公園内東側、師勝南小学校校庭南側などに設置がございます。

また、簡易トイレやトイレットペーパーにつきましては、各小学校の防災備蓄倉庫内に備蓄しております。

これまでも総合防災訓練の機会に、地元自主防災会や消防団員により組立て訓練を実施してまいりました。

また、災害時における簡易トイレやマンホールトイレの組立てや使用方法などにつきましては、県立西春高等学校や西春中学校における防災教育の中で市職員が出向き紹介をさせていただいている状況でございます。

今後も、自主防災会や学校での防災講和を通し簡易携帯トイレの紹介など、各家庭での備蓄も含めて周知啓発に努めてまいりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

 沢田 哲

今の答弁の中で、小学校などの簡易トイレ関連の備蓄は別ということで、坂巻水野公園内に設置されております5か所の簡易トイレについてちょっと質問させていただきます。

この5か所の簡易トイレは設置されましたが、残念ながら平成28年の公園開所以来、まだ一度もトイレの設置などの訓練はあそこでやっておりません。

地元の町内会を巻き込んだ簡易トイレの設置などの防災訓練をぜひ企画していただきたいですが、現在はトイレは設置しても手を洗う水も用意できません。

それとか、トイレの周辺の明かり、照明、それなども入っておりません。

今後、この件について一度町内会、現地ときちっと相談していただきまして、確実に訓練をやっていただきたいと思いますけれども、その訓練の実施の有無を答弁していただくようによろしくお願いします。

 

 防災環境部長(桑原邦匡)

減災に向けましては情報共有や、また地域との連携が必要不可欠でございます。

SDGsが掲げる誰一人取り残さない、こういった考え方、私も大変大切だと認識しております。

自助、共助、公助、しっかり機能していくためにも、地元と行政、しっかりタッグを組んで訓練を重ねてまいりたいと思います。ぜひやりましょう。よろしくお願いします。

 

 防災環境部長(桑原邦匡)

地震・台風直撃による屋根破損の対応について、お答えいたします。

令和元年に千葉県を襲った台風15号、19号を教訓として、同年に法成寺地区の寺院をお借りし、市建設業協議会や消防団員を対象として、ブルーシートを活用した屋根補修講習会を実施いたしました。

また、令和2年には、愛知県テント・シート工業組合と、災害時におけるブルーシートの調達及び設置に関する協定も締結しており、市民の生活復興に必要なブルーシートの確保に努め、災害応急対策を迅速かつ的確に実施できる体制としておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 

 市長(太田考則)

防災の現状検証と市民の生命を守るための決意について、お答えいたします。

防災講演会の講師である大友氏との会話からも学んだことでありますが、それは災害直後、状況把握のため現地に向かう市職員も多くいると思いますが、大事なのは1人ではなく2人以上で行動することと、その場で判断し行動しなければいけない大事が予測される場合には、現場にいる職員同士で判断しても構わないということであります。特に、人命に関わることは報告や指示待ちではなく、判断と行動が優先と考えております。

権限や裁量よりも迅速な対応が求められます。

私は、現場で職員が最善と思って下した判断の結果の責任は、全て首長が負う決意でありますので、安心して対応していただきたいと考えております。

東海豪雨より22年が経過しましたが、近年、毎年のように国内各地で被害をもたらしている大雨や、今後70%から80%の確率で発生すると言われている南海トラフ地震などによる大規模災害に備え、さらなる防災体制の充実・強化を図り、自助、共助、公助を基本とした防災対策、減災対策を推進し、今後も継続的に地道な訓練や防災学習等を進めてまいります。

住民から1人の犠牲者も出さないよう、全力で取り組んでまいる所存でありますので、議員各位におかれましても、それぞれのお立場においてご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。

 

 沢田 哲

今の市長の答弁には本当に感銘しました。正直言って、住民の中から1人の犠牲者も出さないように努めるというのは自分の考え方と一致しておるわけですよね。ただこれをやっていくためにも、今までのいろんな各部長からの答弁なんかもありました。

その今までの答弁内容をしっかり検証していただいて今後に生かさなければ、とったかみたかでぽんとやろうと思ったって、なかなかこれできないと思うんですよ。

その辺は検証を進めながらきちっとした対応を進めていただけるのか、もう一度決意をちょっとお聞かせください。

 

 市長(太田考則)

沢田議員におかれましては、北名古屋市の議員、一緒になったときからずうっと防災に関しては力を入れてやってきたというのを考えますと、そういった質問が来るというのは想定しておりましたけれども、本当に今災害、日本中あちこちに起きております。

幸いながら、この北名古屋市とか愛知県においては、台風は横にそれていくし、地震は違うところで起こっています。

そんな中で、私も災害現場にいろいろ行かせていただきましたけれども、先ほど部長からの答弁もありましたとおり、まずは自分が何ができるのかが、これが一番大切で、その後は地域住民と一体となっていく。

3日ぐらいしないと行政は何ともできないというのは、もうこの間の防災講演会でも分かった事実であることは間違いないです。

まず自分自身が何をするのか、地域が何ができるのか、しっかり防災訓練を通してやっていきたいと思っていますので、議員と同じ考えですので、ひとつよろしくお願いいたします。

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