1. 育児支援ヘルパーの派遣について 2. ヤングケアラーの家庭支援について

浅利 公惠 浅利公惠

厚生労働省が、虐待防止へ向けた子育て家庭などを支援する体制を強化する旨の報道が11月21日にございました。この内容には、2022年度から市区町村に個別支援計画の作成を義務化するという大変困難かつ重要な内容が含まれております。

まだ直近のことで情報不足の点もあろうかと思いますが、報道どおり来年度の国会での児童福祉法改正で実施するのであれば、もう準備期間も1年程度といったところになることから、北名古屋市が個別支援計画の実施主体になることを想定して、あえてお尋ねさせていただきます。

初めに、今回報道された時事通信社からの記事内容について引用させていただきます。

ヘルパーが訪問して家事や育児を手助けする事業を新設。

利用促進に向け市区町村に個別支援計画の作成を義務づける。来年の通常国会への提出を目指している児童福祉法改正案に関連規定を盛り込む。

全国の児童相談所が対応する虐待相談件数は増え続けており、2020年度には20万件を超えた。

一方、子供の一時保護や施設への入所などの措置は一定件数にとどまり、在宅指導が大半を占めている。

こうした状況を踏まえ、厚労省は2022年度から新たなサービス事業を創設し、市区町村に交付金で実施に必要な財源を手当てする。

市区町村は、学校や警察などの虐待の兆候があると報告があった家庭に対し、育児支援ヘルパーを派遣。保護者の相談に応じたり、家事や育児を手伝ったりする。

また、支援が必要な家庭にサービスが行き渡るよう、利用に関する個別計画の策定を市区町村に義務づける。利用を拒む家庭がある場合、市区町村が働きかけることも可能にする。それでも利用に結びつかず、状況が改善しなければ、児相が在宅指導や一時保護を行う。

このほか家族の介護や世話を担う18歳未満の子供「ヤングケアラー」がいる家庭も支援する。家事を手助けするサービスの利用が進むよう、市区町村に個別計画の作成を義務づける考えだ。

以上、このような報道がなされたところでございます。

この報道で、厚労省が2022年度から新たなサービス事業の創設を目指していることが分かりました。

支援が必要な家庭にサービスを提供するという厚労省の目標を言葉で理解することは容易なのですが、その具体的な取扱いについてはかなり難しい点が多く含まれることになるのではないか、市町村での事務は困難を極めるのではないかと懸念をいたしております。

そこで大きくは2点、お尋ねをいたします。

育児支援ヘルパーの派遣について。

報道からは、虐待の兆候があると報告があった家庭に対して、育児支援ヘルパーを派遣することを市町村が個別計画を立てて実施するということになっております。

北名古屋市は、これまでとは全く違った水準での家庭支援、すなわち介入を求められるようになると理解しております。

家庭内というプライベートな場所で被虐待児やその保護者と接触することは、介助者は単なる労働力でなく、ソーシャルワーカーとして子供の権利擁護や育ちを保障するための支援を行う能力が一定程度以上必要ではないでしょうか。虐待家庭への支援はその専門性が問われます。

折しも11月16日に行われた第37回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会からは、自ら意見表明することが難しい子供への支援、家庭全体を捉えた虐待予防など専門性を身につけた子ども家庭福祉ソーシャルワーカーの制度案が取りまとめられたところです。

さて、2022年度からの個別計画の策定と実施が義務化されることを想定して、どのような課題があると考えられますでしょうか。

ヤングケアラーの家庭支援について。

報道では、虐待のほかにヤングケアラーのいる家庭も支援するとのことでした。

家庭内で大きな負担が1人に集中している状況は大人でも大変な問題ですが、子供にその負担をさせなければならない状況は早急に解消されるべきと考えています。

このヤングケアラーの問題について、支援を必要としているヤングケアラーの把握ができているかどうか、また個別計画の実施に向けてどのよう課題があると考えられるのか、お答えください。

以上、ご答弁のほどどうぞよろしくお願いいたします。

 

 福祉部長(村瀬雅彦)

育児支援ヘルパーの派遣につきまして、お答えをいたします。

2022年度からの個別計画の策定と実施が義務化されることを想定して、どのような課題があるかについてでございますが、現在、家庭支援課において子ども家庭総合支援拠点として様々な事案対応を行っており、支援が必要な場合については支援計画を立てて対応しているところでございます。

現状において、養育・家庭環境を支援していく際、保護者の中には支援者が家庭内へ介入することに抵抗を感じるケースや、支援の受入れには同意はしたものの支援方法や内容が家庭になじまないケース、さらには保護者側の精神的な負担軽減にはなるが課題解決にはつながらないなどといった支援者側が主導していくことの難しさが課題として上げられているところでございます。

児童虐待に関しては、それに至るまでに様々な背景があり、報道にありますように全てのケースにおいて個別計画を立てていくとなると現状の体制では難しく、人的及び組織連携体制のさらなる整備などそれ相応の準備が必要と思われます。

また、強制力や権限が限定されている中で家庭の領域である家庭内でケースワークを行うことにつきましては、時間をかけて家族との信頼関係を築くことから始める必要があるというふうに考えておるところでございます。

このようなことから、育児支援ヘルパーの派遣につきましては、今後も国の動向を注視しながら研究に努めてまいりますので、ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。

 

 福祉部長(村瀬雅彦)

ヤングケアラーの家庭支援につきまして、お答えをいたします。

初めに、支援を必要としているヤングケアラーの把握ができているかというご質問でございますが、市では要保護児童対策地域協議会において、平成30年度は1人、令和元年度はゼロ人、令和2年度は2人と把握し、国からの調査に対しても同様に報告しておるところでございます。

次に、個別計画の実施に向けての課題でございますが、子供が家庭のために役に立とうとすることは自己有用感を育む上で大切なことであると考えております。

一方、子供が家族のケアで年齢や成長の度合いを超えた重い責任や負担を強いられ、自分の時間がそがれたり学校を休みがちになるなどの状況は、学業をはじめ健康面、交友関係等への悪影響が懸念されているところでございます。

こうした状況は家庭内の問題であるため家庭内で自覚がなく、また表面化しにくいことから相談に結びつかないケースが多くございます。

そのため、まずは家庭や子供自身がヤングケアラーについて知ることが重要であり、併せて教育、福祉等の各関係機関が連携して把握に努めるとともに、相談しやすい環境を整え個々に合った計画的な支援を行う仕組みを構築することが課題であると考えております。

市といたしましては、これからも各関係機関と連携しながら支援に努めるとともに、個別計画の実施につきましては国の動向に注視しながら研究してまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りますよう申し上げます。

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