年間を通じ24時間使用可能なAED設置について

沢田 哲 沢田 哲

通告に基づき、通称AED(自動体外式除細動器)の設置及び運用状況の問題について質問いたします。

我々の日常生活においては、いつどこで突然の病気やけがに襲われるか誰にも予測はされません。市民の皆様の大切な家族や友人が病気で倒れられたり、大きなけがをされたときなど命に危険が迫った場合は、近くにいる人の救命手当てが迅速に行われるかどうかが、その後に大きく影響されます。

命に危険のある病態、これは心臓停止、呼吸停止、多量出血において、時間経過ごとの死亡率の目安をグラフ化したカラーの救命曲線では、心臓停止後約3分で50%死亡、呼吸停止後約10分で50%死亡、多量出血後約30分で50%死亡となっています。特に、心臓停止、呼吸停止の場合には、人命は救われたとしても、時間経過とともに脳へのダメージが大きくなり、社会復帰率に非常に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。

昨今、AEDが、不特定多数の人が出入りする民間施設や公共施設などに広く設置され、消火器などと同様に、万一の事態が発生した際には、その場に居合わせた人が自由に使えるようになっていることは周知されていると思います。AEDは、心臓が心室細動などのけいれん ── これは心臓が動いているが、血液を全身に流せず機能停止している状態です ── から正常な心拍に戻すために、一般市民が使用できる唯一の医療器具です。日本では、救急車が現場到着するまでに平均で約8分を要するとされていますが、心室細動の場合は一刻も早く電気的除細動を実施することが必要とされ、救急車到着以前にAEDを使用した場合には、救急隊や医師が駆けつけてからAEDを使用するよりも救命率が数倍も高いことが明らかになっています。

そこで、北名古屋市内のAED設置の状況について質問いたします。

1.行政関係施設における総設置箇所数及び総台数は。そのうち24時間使用可能台数は何台か。
2.行政管理AED機器は、買い取り、またはリースなのか。
3.AED機材の平均単価及び年間の維持管理費の総額は。
4.市内設置登録事業所数及び総台数は何台か。そのうち24時間使用可能台数は何台か。
5.AED機器には電池が内蔵されていますが、その維持管理など設置されている機材が正確に機能するためのメンテナンスは、誰がどのように実施されているのか。

上記1から5の現状をどのように捉えられているか、詳細にお答えください。

次に、他市の事例を参考にして、年間を通じ24時間使用可能なAED設置について質問いたします。

私は、尾張旭市において市内コンビニエンスストア ── 以後コンビニと言います ── との協定を締結し、AEDの年間を通じ24時間使用可能な環境の整備をされたことに関し、AEDの維持管理を所管されている尾張旭市消防本部に出向き、設置に関して詳細にわたって調査させていただきました。

尾張旭市では、市関連施設57カ所にAEDが設置されていましたが、夜間及び休日における緊急事態の対応には不十分で、夜間・休日でも使用可能とする問題を解消する手段として、市内に点在する年中無休で24時間営業のコンビニの店内に設置する方向で取り組まれ、AEDの設置後、店及び定員の責任問題などさまざまな設置に関する問題をクリアされて、市内29店舗のコンビニの店内に無償で設置する協定を締結することにより、年間を通じて24時間いつでも緊急事態に備える体制を構築されています。

尾張旭市でのAED設置における基本的な考えは、AEDを現場から一般市民が取りに行って使用するまでの時間を3分以内とした場合、片道最大150メーターとして、300メーターの円内に1台設置されていれば想定時間内の使用はクリアできると判断され、市のホームページでAED設置コンビニを記載した地図を掲載し、広く市民に緊急事態への対応の啓蒙活動に取り組まれています。

コンビニなど新規に設置された30台のAED機材は全て5年リース契約で、契約内容は機材のメンテナンスなど維持管理費も含んでの料金であり、既存のAEDについても、今後、メンテナンス等の重要性などを考慮して全てリースに切りかえられる検討をされているようで、ここでの料金表示は差し控えますが、とうとい人命を救うための金額としては決して高くはないとの感想を持ちました。
ちなみに、尾張旭市内ではコンビニ設置後、そのAEDが使用され、とうとい2名の命が救われたとの報告を得ております。

北名古屋市においても、AED使用については、さまざまな地域の防災訓練等の場で、消防署及び消防団などの指導のもとで数多く実施されていて、市内の各地域において広く使用方法などは周知されつつあると思います。
そのAED使用訓練の中での手順は、心肺蘇生を実施すると同時に、「誰かAEDをとってきてください」との呼びかけを行い、AED入手の段取りを行っていますが、一体どこへ取りに行ったらよいのでしょうか。また、夜間や休日に緊急事態が発生した場合には、24時間使用可能なAEDはどこに設置されているのか一般市民は全くわからず、そのような状況で果たして緊急時に3分前後の短時間での使用は可能なのかなどなど基本的な部分での問題が生じていると思っていますが、現状では特定の施設の周辺で、なおかつその施設がオープンしているときしか使用できない限定的な環境であり、いつどこで発生するかわからない緊急時にAEDの使用を市民に幾ら訴え訓練を実施しても、それは不可能な状態となっていると言っても過言ではないと思います。
その結果、緊急時には救急隊への連絡、そして救急車の到着を待っているより仕方のない状態ではないでしょうか。

次の数字は、本年3月31日現在の数字ですが、北名古屋市内には36のコンビニ店舗が市内各所に点在しています。私は、尾張旭市の取り組みを参考にして、この店舗数を何とか活用し、市民の身近に24時間使用可能なAEDが設置されれば、緊急時の救命率の向上につながると考えます。安全・安心のまちづくりを目指す本市としては、市民の命を守るために身近なところへの設置を推し進める必要があるのではないでしょうか。

脈拍消失、意識消失、全身けいれん、無呼吸ないしあえぎ呼吸(死戦期呼吸)などにおいては、一刻も早く電気的除細動を行う必要があり、冒頭部分で述べたカラーの救命曲線では、心配停止後約3分で50%が死亡するということで、心臓が原因での突然死者は全国で年間数万人と多く、せっかくAEDがあるのに、その恩恵にあずかれない方がいないようにするために、そして一般市民による早期のAEDの使用で一人でも多くの命が助かることを期待して、尾張旭市の取り組みが参考になればとの思いで披露させていただきましたが、本市の現状をどのように捉えられているのか、また年間を通じ、24時間の緊急事態の対応を今後どのように構築されるつもりか。

予算的にも非常に厳しい現状において大変ご苦労をおかけいたしますが、緊急時の救命率向上のためにも、AEDを所管する部署の責任者であります清水市民健康部長、市民の皆様が安心して暮らしていただけるように、この問題を前向きに捉えた上で、できる限り具体的にお答えください。

 

gray-man 市民健康部長(清水孝司君)

北名古屋市内のAED設置の現状についてお答えをいたします。

まず、1つ目の行政関係施設における総設置箇所数及び総台数につきましては、現在、総設置箇所が56カ所で台数は57台でございます。また、市内で行われるイベント、スポーツ行事などの貸出用として1台保有しておりまして、総台数は58台となっております。そのうち24時間使用可能な台数は、市役所西庁舎に設置されております1台で、夜間においても宿直者の配置により対応できる体制となっております。

次に2つ目、行政が管理する機器の買い取り、またはリースの区分でございますが、買い取りが50台、リース契約での設置が8台となっております。

3つ目の機材の平均単価及び年間の維持管理費につきましては、買い取りでは1台当たり約30万円、これに機器の耐用年数と言われます5年間に必要な電極パッドやバッテリーなどの消耗品の交換を含めますと、おおむね33万円ほどとなるものでございます。一方、一般的なリース契約では、消耗品の定期交換も含め、5年間の総額で1台当たり約31万円となり、合わせて58台にかかります年間の維持経費は373万円ほどと見込まれます。

次に4つ目、本市では平成24年10月から、AEDを設置する民間事業所の登録制度を運用しているところでございます。その市内設置登録事業所数及び総台数は、事業所数が22カ所、延べ台数は23台となっております。そのうち常時24時間使用可能な事業所はございませんが、週末のみ24時間営業されている娯楽施設が1カ所登録をしていただいているところでございます。

最後に5つ目、設置されている機材が正確に機能するためのメンテナンスにつきましては、設置施設の管理者が定期点検を実施するとともに、電極パッド等の交換を行っているものでございます。また、毎年1回、市の職員を対象にして、繰り返し学習することを念頭に置きまして、メンテナンスを含めたAEDの取り扱いについて講習会を開くとともに、西春日井広域消防署においても定期的に講習会が開かれているところでございまして、AEDの適切な管理に日々努めているところでございます。

こうした現状の中で、過去には総合体育館において実際に活用されたことも鑑みますと、AEDの配置数、場所、あるいは貸出制度、民間事業所の登録制度により、周辺で発生した救命事案に民間のAEDが使用できるようになっていることなど、一定の成果を上げているものと捉えております。以上でございます。

 

沢田 哲 沢田 哲

答弁をいただきましたが、58台の総台数ということで、年間の維持経費は約373万円ということでございますが、経費削減及び機材の保守責任等を考慮して、今後はリース設置を検討されてはどうかなあと思いますけれども、その点について1つお答えください。

 

gray-man 市民健康部長(清水孝司君)

AEDの本体価格が30万円ほどするということ、またおおむね2年で交換を要します電極パッド、あるいは5年でバッテリーを交換しなければならない、そういう消耗品の経費ですとか、あるいは適宜適切な管理等考えますと、物が物だけでありますのので職員の負担も相当なものとなります。

紹介していただきましたリース契約、消耗品の交換管理を含んでおりますし、確実に運用ができるということでございまして、経費面はもとより、施設管理者としての負担も軽くなるということでございますので、今後、AEDを更新するに当たりましては、ぜひこの形で進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 

gray-man 市民健康部長(清水孝司君)

年間を通じ24時間使用可能なAED設置についてお答えをいたします。

我が国では、病院外で年間2万人から3万人の方々が心臓突然死により亡くなられていると言われております。心肺停止者の救命に当たりましては、発生から1分を経過するごとに救命率が7%から10%下がるとされておりまして、迅速な救命活動が極めて重要であると認識しているところでございます。

そうした中、AEDの使用が医療従事者以外の一般市民でも使用可能となりまして、AEDが急速に普及をいたしております。国においては、AEDの適正配置に関するガイドラインを公表したというところでもございます。

本市では、先ほどご答弁いたしましたけれども、これまで、学校、保育園、庁舎を初め総合体育館や健康ドームなど、心停止の発生のリスク、危険性が高い方々が多数集まる公共施設にAEDを計画的に設置し、ガイドラインに沿って、その普及啓発と適正な管理に努めているところでございます。

また、スーパーなどの大規模な商業施設、会社、工場、遊興施設など民間でAEDを設置されているところにつきましては、民間事業所の登録制度に協力をしていただいているところでございますし、また一定の規模の事業所につきましては、それぞれ訪問いたしまして、AEDの設置の有無や登録について案内をしているところでございます。

こうした状況の中で、年間を通じて24時間の緊急事態の対応についてでございますけれども、現在のところ本市では、年間を通じて24時間AEDが使用できる施設は、一部を除き、ないのが現状でございます。夜間の対応につきましては、問題が残っているのも事実でございます。

ご紹介をいただきました尾張旭市の取り組みは、市内のコンビニの店内に無償でAEDを設置する協定を締結され、年間を通じて24時間いつでも緊急事態に備える体制を構築されたというものでございます。担当者としても強く関心を寄せるところでございますけれども、今回の事例のポイントは、コンビニがAEDの設置場所を自治体に提供していただくという点であると思います。

確かにコンビニは24時間営業で緊急時の対応が可能であり、利用頻度が高く、設置場所が市民に周知されやすいという利点がございます。一方で、幹線道路を中心に設置されておりまして、その配置上、また網羅性の問題から、その効果を十分見きわめる必要があるのではないかと考えております。

また、ガイドラインにもありますとおり、自治体としてAEDを設置し、効果的・効率的に活用するための一つの視点として、人が多い、高齢者などのハイリスクの人が多い、あるいはマラソンなど心停止のあるイベントが行われるほか、救助の手がある心停止を目撃される可能性が高いという環境も大事な要素であると言われておりまして、結果として公共施設、公共事業を中心にAEDの設置がなされてきたということでもございますが、そうした視点にも立ちまして夜間に着目したコンビニへのAED設置は、いましばらくその動向を注視してまいりたいと考えているところでございます。
今後は、西春日井広域消防本部とも連携をいたしまして、効果的かつ効率的な設置方法を検討しながら、一刻を争う緊急時におきましては、まずは119番の通報をいち早く行い、次に心臓マッサージなどの心肺蘇生を行うことが大変重要でございます。その点も含めまして協議をしてまいりたいと考えております。

そして、何よりも現在設置しております公共施設のAEDが緊急時には確実に使用できますよう、いま一度管理運営体制を見直し、周知徹底してまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りますようお願いをいたします。

また、保健センターといたしましては、市民の方が日ごろから自分の健康状態を自覚し、健康づくりや病気等の予防を行うことが重要であり、こうしたことが救命率の向上にもつながるということから、今後も医療体制と救急医療の充実に努めてまいりたいと思っておりますので、ご理解賜りますようお願いを申し上げます。

 

沢田 哲 沢田 哲

今、答弁を聞いていまして、夜間など24時間使用可能なAEDは西庁舎に1台しか存在しないということで、緊急時は全て119番通報では、助かる命も助かりません。コンビニ設置の効果を十分見きわめるというようなことを今おっしゃいましたが、この際、コンビニに別に設置をこだわるわけでなく、手段は問いません。とにかく、100%網羅は到底無理としても、要は救急隊の到着を待っているのでなく、訓練などで市民に浸透されているAEDを市民の手で24時間いつでも迅速に使用できる環境をできる限り整えて、助かる命を助けられるような体制を熟慮、断行されることを心より期待するものでありますが、この件についての答弁はもう結構でございますので、せめて既存のAEDが市内のどこに設置されているのか、市民の皆さんに周知していただくような手配を至急考慮していただけないかなと思っていますが、それについてお答えください。

 

gray-man 市民健康部長(清水孝司君)

現在も適宜、AEDの設置、登録、あるいは救命救急につきまして、広報で掲載をしております。また、ホームページにもおきましても、設置している公共施設、所在地、設置場所、設置場所というのは施設の中のどこに置いてあるかということでございますけれども、そういうところを掲載するとともに、民間の登録事業所につきましても同様に今案内をしているところでございます。

しかし、沢田議員おっしゃられるように、もっとわかりすやくするために、その設置場所等を地図上に落としたものを作成いたしまして、広く周知してまいりたいと、早急に周知してまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

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