1.日本博物館協会賞の受賞と行政サービスの関わり

 神田 薫

一般質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症の猛威にてお亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上げます。

大村愛知県知事は、11月5日、民放のテレビに出演し、第3波が来たのではないかと危機感をあらわにしていました。

予断を許せない状況が続く中、コロナ禍を生き抜くために医療の安定をはじめ暮らしと社会の維持にご尽力をいただいている医療関係の皆様、行政関係者の皆様及び教育現場の皆様には改めて感謝申し上げます。

コロナ禍に心が沈みがちな昨今ですが、一方で、人生100年時代、超高齢社会の健康支援がますます求められる今、そこに普遍的な新たな博物館の扉を切り開いた方向性を示し、本市にとっても明るい輝かしい誇りを与えていただいた第1回日本博物館協会賞受賞、誠におめでとうございます。

私は平成25年第3回議会で、地域回想法事業の新たな展開と名古屋市との連携による地域回想法の普及についてお聞きした経緯がございますが、このたび日本一の栄誉を受けられたことは10月17日付朝日新聞報道にて知りました。

日本博物館協会賞の受賞と行政サービスの関わりについて、長瀬 保市長にお聞きいたします。

現在、国では新しい内閣の下、これまでにないスピードで改革が推し進められているところです。

デジタル化はあらゆる行政機関、手続を貫く改革であり、また縦割り行政の課題が深掘りされています。

北名古屋市では、市長の主導の下、早くから部課をまたいだ連携により取組がなされてきました。

その一つに、今回、日本博物館協会賞の受賞につながった高齢者の健康増進、介護予防としての回想法が上げられると推察いたします。

認知症の課題についても、早期から対応を図られてきた中での取組だと認識しております。

具体的には、北名古屋市では回想法に関する取組を2002年から実施しており、回想法センターにおいては回想法スクール参加者で構成される「いきいき隊」として多くの市民が新たな絆を育み、地域活動の推進力として活躍してみえます。

また、歴史民俗資料館では1993年から昭和時代の生活資料の収集、保存、活用に一貫して取り組み、その活用のすべとして回想法を位置づけ、日本の博物館における先進事例として、新たに創設された日本博物館協会賞の第1回受賞館として表彰されました。

両セクションが回想法を推進する両輪として取り組んできたことが、日本における先進地として認識されている大きな理由だと考えております。

日本における認知症の課題を研究、共有する場としての認知症ケア学会においても、両輪で数々の研究発表を行い、認知症ケア学会大会において優秀な発表に贈られる石崎賞をそれぞれ2回受賞しておられ、北名古屋市の事例を広く普及する役割を果たしてきたと伺っています。

このように、北名古屋市では新たに創造した市民サービスを部の垣根を越えて、かつ持続性を伴って浸透、定着させてきました。

サービスを創造し、他の模範となり定着させるという行政手法、福祉と教育が連携するという縦割り行政を打破した取組は今、国がまさに改革のメスを入れようとしているところです。

長瀬市長におかれましては、早くからこうした手法の重要性、効果性、多面的な発展を、市政を動かすための地図上に描かれていたと改めて認識しているところでございます。

北名古屋市の回想法事業については、様々な学術的論考、レポートなどに登場しており、その中で徳島大学の鈴木尚子氏の論文「北欧の野外博物館における認知症高齢者と介護者を対象とした回想法事業の特徴 ─ 生涯学習の観点からみた我が国への示唆 ─ 」によると、治療目的でない一般市民を対象とした回想法が最初に導入されたのは、我が国では2002年の北名古屋市が最初とされる。

その頃を契機に、社会教育施設においても、施設の潜在的可能性を生かした高齢者の健康寿命延伸に向けた対応が検討され始める。

例えば、日本博物館協会は、文部科学省の委託を受け、「博物館における高齢者を対象とした学習プログラムの開発」を2003年度に実施し、2004年から2006年度には、高齢者、障害者、外国人を含む全ての人が利用しやすく快適な施設とするための「誰にもやさしい博物館づくり事業」にも着手した。

こうした流れを受け、博物館資源及びその機能を活用した回想法は全国的にも徐々に導入されるようになったとあり、日本博物館協会で実践されたこの取組には北名古屋市歴史民俗資料館も委員として参画して開発研究が進められたと伺っております。

続けて、回想法を導入するに当たり、北名古屋市には幾つかの潜在的な資源がございました。

1つには、従前より地域ケアに熱心に取り組んでおり、総合福祉センターもえの丘創設等、保健福祉事業と介護予防事業による地域づくりを積極的に進められてきたこと、回想法を実践する場として、昭和時代の生活用具や玩具等を豊富に収蔵した昭和日常博物館と呼ばれる歴史民俗資料館や、明治時代から昭和初期の生活様式を残した国の登録有形文化財である旧加藤家住宅があったことが上げられます。

こうした回想法を行うための潜在的資源が存在していたこと、そして縦割り行政と呼ばれる概念を取り崩し、それを連結したことこそが他の自治体ではなし得なかった取組が成り立ったということができます。

その上で、日本の多くの自治体や地域に介護予防、認知症予防、場合によっては認知症ケアとして定着した回想法という手法の先陣を切られたこと、また日本博物館協会が新たに創設した日本博物館協会賞の受賞を踏まえて、その成果の過程と今後についてお考えをお聞かせください。

さらに、今後の動向は不確定ですが、同協会賞の規約第11条には、クロアチアにて日本代表として世界に発信できる「Best in Heritage」の栄誉が与えられると規定されています。

朗報ですので、よろしくお願いいたします。

 

 市長(長瀬保)

ご質問をいただきました日本博物館協会賞の受賞と行政サービスの関わりについて、お答えをさせていただきます。

ご質問をいただきました回想法に関する取組は、政策としての意識を持ちまして、役割を連結することによりなし得たものと考えているところでございます。

私は北名古屋市を個性と魅力にあふれ、文化の薫り高い、きめ細かな福祉制度や健康的に暮らせる環境づくりを目指しまして取り組み、さらに愛着を感じるまちづくりを進めてきた、そうした思いで取り組んでいるところでございます。

ご質問いただきました件につきましては、歴史民俗資料館は平成2年、遺跡から出土いたします土器、埴輪、純農村地帯であった昭和初期頃の農機具などなど展示し開館をしたという経緯がございます。

その後、昭和時代の生活様式が激変いたしました昭和30年代から高度経済成長期の資料が顧みられなくなって散逸してしまう状況に懸念を抱きまして、その様々な資料収集、それを展示することによりまして平成9年から昭和日常博物館の愛称で親しまれる博物館に生まれ変わったということでございます。

また、平成10年には旧加藤家住宅の寄贈を頂きまして、新たな文化的資源を確保することができました。翌11年には、国登録有形文化財の登録を受けたということでございます。

続いて、平成12年には地域福祉の拠点としての総合福祉センターもえの丘が開館いたしたという経緯がございます。

回想法は、これらの資源と課題を連結することで新たなサービスや価値をつくり出すことができると思い至ったことに始まるわけでございます。

今回の日本博物館協会賞の受賞は、まさにこうしたサービスの提供に始まりまして、博物館としての役割に新たな価値を見いだし、かつ専門性と持続性を持って取り組んできたことが評価されたと受け止めております。

ご質問にもございますように、歴史民俗資料館が進める回想法、また介護予防としての回想法ともに常に日本各地から注目を集めまして、様々な論文などが掲載され外部から高い評価をいただいているところでございます。

今回、日本博物館協会賞を受けまして、さらに日本という大きなステージに北名古屋市発のサービスが展開されているものと改めて実感をしているところでございまして、今後につきまして考えるに当たりまして、まさに今コロナ禍における新しい生活様式、この受容が叫ばれております。

生活様式の変化を温故知新として歴史に学ぶことも、日常博物館であることからこそ可能であろうと考えるところでございます。

多くの市民の方々のご理解とご協力によりまして蓄積された昭和生活資料と、それに基づき展開されている特徴的な博物館活動を北名古屋市の財産として、さらには日本の財産として継承してまいりたいと存じます。

また、直面する多様な課題解決の糸口に対しましては、市民と共に考える場として、受賞した理由にも掲げられている地域文化を人から人へと受け継ぐ装置としての博物館の役割、時代の変化に即した社会的役割を直接運営に当たる職員と共に担ってまいりたいと考えているところでございます。

今後も、こうした取組を広く伝える機会には発信を続けてまいりたいと考えるところでありまして、各議員の皆さん方にも格別なご理解を賜り、ご支援いただければ幸いに存ずるところであります。

以上申し上げまして、ご答弁に代えさせていただきます。

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