いじめ及び不登校等解消への取組みについて

神田薫 神田 薫

議長のお許しを得ましたので、通告に基づき、いじめ及び不登校等解消への取り組みについてを吉田教育長に質問いたします。

新聞等報道では、平成27年11月、名古屋市立中学1年の男子生徒が、いじめを受けていたと遺書を残した自殺報道を目の当たりにして、今さらのように児童・生徒が置かれているいじめ問題の根深さに衝撃を受けました。この気持ちは、私のみでなく、報道をきっかけに、本市の保護者の方々からも、教育委員会また各学校等にご心配のお声がけが寄せられたのではないかと推察しています。

本市のいじめ及び不登校の現状は、平成26年度及び平成27年度直近(4月から10月末までの集計。以下平成27年)での小・中学校でのいじめ認知件数及び不登校児童・生徒は、次のとおりです。いじめ認知数は、小学校、平成26年度955件、平成27年295件、中学校、平成26年度144件、平成27年70件です。また、不登校児童・生徒は、小学校、平成26年度34件、平成27年14年、中学校、平成26年度96件、平成27年68件です。

いじめ及び不登校等解消への取り組みについて、教育現場では早期発見また解消に向け、児童・生徒の思いに寄り添いながら信頼関係を築き、その上で教育相談等さまざまな対応・指導、また生徒指導体制づくり等が内外で行われていると思いますが、次の5点、お伺いいたします。

1、いじめ及び不登校等集計に計上されたそれぞれについて、判断や解釈等の基準はどのようなものか。また、随分解消されてきていると理解しているが、解消されてきた経緯と、効果的と思われる具体的対応並びに指導方策とは何か。
2、いじめ及び不登校のそれぞれについて、発見、対応、報告はどのように行われるのか。また、要因はどんなことが多いのか。
3、いじめ及び不登校等について、教員に対し、どのような研修を行っているのか。
4、いじめ及び不登校解消がなされていない児童・生徒には、今後、どのような取り組みを行っていくのか。
5、いじめ及び不登校等解消について、それぞれどのように考え、また各学校や教育委員会は、どのような対応・指導等取り組みを行っているのか。また、学校・家庭・地域の連携策について、お考えを聞かせてください。

以上で質問を終わります。

 

gray-man 教育長(吉田文明君)

いじめ及び不登校等解消への取り組みについて、順次お答えいたします。

1点目のいじめ及び不登校等の判断・解釈基準、あわせて具体的な対応・指導方策についてお答えいたします。

いじめの判断基準につきましては、一定の人間関係にある他の児童・生徒が行う心理的または物理的な影響を与える行為であって、対象となった児童・生徒が心身の苦痛を感じているものとし、いじめに当たるか否かの判断は表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童・生徒の立場に立って行うとしています。
具体的な対応や指導方策につきましては、日ごろから児童・生徒を見守り、信頼関係を構築し、いじめを訴えやすい体制を整えます。その上で、いじめ発見のチェックポイント等を活用し、児童・生徒が示す変化や危険信号を見逃さないようアンテナを高くし、あわせて定期的にいじめアンケートや教育相談を実施し、いじめの早期発見に取り組んでいます。
さらに、いじめを発見、あるいは相談を受けた場合には、特定の教職員で抱え込まず、速やかに学校として対応し、被害児童・生徒を守り抜きます。それとともに、加害児童・生徒に対しては、心の成長を促すよう教育的配慮のもと、毅然とした態度で指導いたします。これらの対応は、教職員全員の共通理解、保護者の協力、関係機関との連携のもとで取り組んでいます。
次に、不登校の解釈につきましては、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因や背景により、登校しない、あるいはしたくてもできない状態をいいます。そこには、遊びや非行、無気力で何となく登校しないものも含みますが、病気や経済的理由は除きます。
不登校への具体的な対応や指導方策につきましては、一旦、欠席状態が長期化すると、学習のおくれや生活のリズムの乱れなどにより、その回復が困難である状況から、新たな不登校を生まないをキーワードに、予兆への対応を含めた初期段階の判断や対応を速やかに、かつ的確に進めています。主な内容は、支援チームの結成、基礎的情報の収集・分析、対人関係への配慮や改善計画の立案・実施、学習面の改善計画の立案・実施などであります。

2点目のいじめ及び不登校等の発見、対応、報告、またその要因についてお答えいたします。

いじめにつきましては、被害者の訴え、児童・生徒の通報、アンケート調査、教師の発見、保護者の相談、第三者の通報等、あらゆる手だてを講じていじめを発見します。発見した場合、被害者を緊急保護するとともに支援を開始します。校長の指揮のもと、事実関係を調査するとともに保護者に連絡します。さらに、学校いじめ防止委員会を開催し、被害者への支援、加害者への指導、周囲の児童・生徒への指導、家庭との協力、地域関係機関との連携等について協議し、家庭の協力を得つつ、全校体制で解消に向けて取り組みます。さらに、解消後もアフターケアとして見守り、指導・支援を続け、根本的な解決を目指し、対応します。
次に、不登校では、新しい学年が始まる前の3月末までに学年全員の過去の欠席状況をチェックし、未然防止に必要な配慮や方策を検討し、実施します。4月当初、明るく希望に満ちた雰囲気で学級をスタートさせ、わかる授業を展開します。配慮が必要な児童・生徒は、連続して休み始めたら即座に支援チームを発足させ、チームで対応します。また、対人関係の改善や苦手意識の克服を目指した個別支援を強化します。こうした対応を通して、当事者は大事にされている、認められているという心の結びつきや心の居場所を実感できるようになり、立ち直ってまいります。
次に、報告は、いじめ・不登校ともに、状況を教育委員会に月例報告として上げております。いじめの要因につきましては、特定することが困難であり、調査は行われていませんので、平成26年度間調査で多かった事例をお答えいたします。
小学校955件中、冷やかし・からかい・悪口等が41%、遊ぶふりをして軽くぶつかったり、たたいたり、蹴ったりするものが27%、仲間外れ、無視が19%です。同様に中学校144件中では、冷やかし・からかい・悪口等が76%、遊びふりをして軽くぶつかったり、たたいたり、蹴ったりするものが18%です。
不登校の要因につきましては、平成26年度間調査で、小学校34件中、本人にかかわるものが62%、家庭にかかわるものが26%、学校にかかわるものが12%です。中学校96件中、本人にかかわるものが74%、家庭にかかわるものが11%、学校にかかわるものが15%です。

3点目のいじめ及び不登校等の教員研修についてお答えいたします。

いじめにつきましては、国立教育政策研究所の生徒指導リーフレット及びいじめ克服プログラムを実施することを通して研修を行っています。とりわけ、いじめ防止プロジェクトに参加している白木中学校区、熊野中学校区の2中学校4小学校の職員は年2回、直接、国立教育政策研究所の統括研究官から指導を受けております。
不登校につきましては、不登校対策委員会でのケース検討を通して研修を深めております。

4点目のいじめ及び不登校等が解消されていない児童・生徒の今後についてお答えいたします。

苦しむ児童・生徒に寄り添い、一日も早い解消に向け、国立教育政策研究所、いじめ問題専門委員会、不登校対策協議会等の関係機関の指導・助言を受け、家庭との連携を強め、粘り強く指導・支援をし続けてまいります。

5点目のいじめ及び不登校等の解消について、どのように考え、各学校や教育委員会は対応・指導等取り組みを行っているのか。また、学校・家庭・地域の連携策についてお答えいたします。

いじめ・不登校は、どの子にも起こることを前提に、どんな小さな予兆も見逃さず対処するという早期発見・早期対応が重要であるという姿勢で取り組んできました。今後も充実・強化を図ってまいります。
同様に重要な視点が未然防止です。国立教育政策研究所は、いじめや不登校の背景には、ストレスや、その原因となる要因等があることを明らかにしています。教育委員会及び学校は、「規律・学力・自己有用感」をキーワードに、児童・生徒が安心でき、存在感や充実感を持てる学習指導や学級経営を展開します。児童・生徒の自己有用感を高めるとともに、ストレスと、その要因を減らし、ささいなことが簡単に燃え広がらない、深刻化しにくい潤いに満ちた学級・学校をつくり出していくことを目指しております。
児童・生徒の成長を見守り、促し、支える学校、児童・生徒が心のきずなを紡ぐ場、心の居場所となる学校は、家庭・地域と連携することで、より強力に推進できます。それは、地域とともにある学校、コミュニティスクールそのものでもございます。

以上、答弁といたします。よろしくお願いいたします。

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