私立幼稚園振興事業について

山下 隆義 山下隆義

今回の選挙で、私を含む当選された21人の議員は、選挙公報等により、住民の皆様に多種多様な実現をしたい施策を主張してまいりました。その全ての負託にお応えできたら、多分財政はその均衡性を失い、破綻状態になるでしょう。

自治体を語るときのキーワード、少子・高齢化、行政需要の増大、高度化、多様化、経済活動の広域化、税収減等による財政の危機、逼迫化、硬直化、行政のマンネリ化、閉塞感、議会の形骸化、こうしたもろもろの難題を解決すべく、すなわち地方財政の悪化の受け皿として進められたのが平成の大合併でした。

それと相まって、地方分権推進委員会の勧告により、地方主権の時代、国から地方への行政の大転換と期待されて、さまざまな権限移譲もありました。しかし、端的に言えば、自治体は施策選択である程度の自由を得たかもしれないが、その財源の大半は自治体みずから責任を持つような仕組みになっています。

税源移譲のない現状では、業務量はふえたが財源は乏しい。限られた財源の使い道、配分をどう選択決定するかが地方政治の実態であると思います。財政逼迫化状況下では、残念ではありますが、住民のご要望、すなわち議員の願いが全部可能になることは大変厳しいと言わざるを得ません。

とはいえ、住民から選ばれた議員として、議会の有用性、必要性、議員としての使命を自覚して、地域の代表として、あるいは広範な住民の代表者として活動していかなければならないと意識しております。

そんな気合いを持って質問をさせていただきます。

答弁は細部にわたりますので、福祉部、清廉潔白で真面目な児童課のエースであります山下課長にお願いいたしたいと思います。最後の1問は福祉部長にお願いいたします。

まず1番目といたしまして、私立幼稚園振興事業について。

私立幼稚園振興事業は、幼児教育に要する経費に対して、国・県・市町村が補助金を交付することにより、幼稚園教育の発展、振興に寄与するための事業であります。
国の補助金を受けて市町村が行う制度として、ご承知のとおり、対保護者軽減対策補助金として、就園奨励費補助金交付事業があります。
それは、私立幼稚園に在籍する幼児の就園に係る保護者の負担を軽減するために、私立幼稚園の経営者が行う授業料、入学料の減免に対応する経費に対して補助金を交付する制度であります。

まず、その初めといたしまして、就園奨励費補助金交付事業、保護者軽減対策事業についてご質問いたします。

県内の私立幼稚園のある、清須市はございませんけれども、35市で就園奨励費補助を国の基準外で実施しているところはありますでしょうか。あれば、具体的に述べてください。

例えば、私の調べたところによれば、対象外園児3歳から5歳児に対する補助、あるいは入園料補助等がございました。これらの政策的な配慮について、担当部課として、その対応についてどう考えておられますか。積極的に捉えてはいかがでしょうか。

本市では、奨励費について、平成25年度予算額9,984万3,000円、平成26年度予算では1億3,840万8,000円、前年度比138.6%と大幅な改善がなされました。
これは、幼稚園と保育園の負担の平準化、すなわち補助額格差、また私立と公立の幼稚園の格差解消のためであり、近い将来での幼児教育の無償化に向けた環境整備の一環として進められました。
この結果、低所得者世帯及び多子世帯の保護者負担軽減がなされました。
市内5私立幼稚園では、25年度比較で金額、人数面でどのような軽減効果があり、私立幼稚園の理事長の皆さんの反応はいかがでしたでしょうか。

次に、全日本私立幼稚園連合会の平成26年度就園奨励費予算案の報告では、国の予算では、25年度比較で44%アップの339億500万円と記載されていました。
当市では38.6%となっていますが、同じ基準でありながら、どうしてそのギャップができたか、この理由がわかれば簡単にご説明してください。

本市の補助金は、他の市町と同様、国の基準と同じ計算方法で交付されていると思いますが、いかがでしょうか。

26年度予算書及び資料から判断いたしますと、私立幼稚園奨励費の一般財源は1億1,590万円、市独自は977万5,000円ございますけれども、対象園児数は何名で、一般財源のみでの単純年平均1人金額は幾らになりましょうか。私の試算では9万8,000円程度と考えております。
一概に比較はできませんが、市立保育園の平成26年度予算及び資料での運営費6億223万9,000円のうちの一般財源は2億2,987万1,000円を26年4月予定保育園児数1,693人で除しますと、1人平均金額13万5,777円となります。先ほどの9万8,000円とは差がございます。
これに、さらに保育施設管理費9,679万2,000円と正規職員保育士等の人件費を合わせた総額での保育園児数1,693人で除しますと、予算資料に1人平均65万8,150円とありました。
両者を私立幼稚園と保育園、内容は違いますけれども、比較した差についてどのようにお考えでしょうか。単純に考えれば、私立幼稚園の父兄は不公平感を持たれる可能性があります。

もちろん、行政サービスは効率性ではございません。満足度であります。保育園運営費の効率性の判断については、行政改革の視点から捉えるもので、ここで批判することは毛頭ございません。

平成26年度改正による第4階層、年収360万超680万以下で、これはデータによりますけれども、イメージ的には第1子では保護者負担は年24万5,000円、月平均2万500円と計算されています。
同じ階層で市立保育園の場合の負担額はおよそ幾らになりますでしょうか。
多子世帯第2子特例での680万円以下については、両者でそれぞれ幾らになりますでしょうか。
生活保護世帯は、私立幼稚園7万8,800円、公立幼稚園5万9,000円、保育園はゼロ円とお聞きいたしております。

さて、補助金の交付申請は、6月末ごろに各私立幼稚園から出されると思いますが、例年、市からの交付は幼稚園経由と思いますが、例年、何月ごろ施行されますでしょうか。可及的、速やかにされるべきであると思います。

次に、ただいまは対保護者負担額でございましたけれども、次に、対幼稚園補助金について質問させていただきます。

私立幼稚園の理事者、園長、職員の皆様は、みずからの学園の教育理念、方針のもと、預かったお子さんの幼児期における人格形成の一端を担うべく、昼夜の分け隔てなく奮励、努力されておられます。
本来ならば国の責任のもと、地方自治体がなすべき幼児教育を引き受けていただいている私立幼稚園は、学校法人ゆえに、健全経営で存続発展をしていただかなければなりません。

当市において、5私立幼稚園で1,100名余が通園されております。市として、誠意を持って配慮する必要があると思います。

対幼稚園補助金についての質問に入ってまいります。

市独自の平成26年度の対幼稚園補助金交付事業の一つに、園割り補助金がございます。
年1園当たり10万円です。恐らくこの制度が発足した旧師勝町以来、平成24年度まで、運動会の飾り経費にも満たない5万円でございました。少ない金額なので誰も気づかずに放置されていたと思います。
25年度以降、市政クラブの予算要望によりまして10万円になりました。
私の調査によれば、愛知県下で10万円未満の園割り補助金は江南市、大府市、田原市、弥富市、長久手市のみでございました。全部で35市ございます。
近郊市では、岩倉市が33万5,000円、稲沢市は50万円、あま市が55万円、愛西市は25万円となっております。これも何らひもつきではございません。制約のない補助金でございます。

私立幼稚園の担当部課長と園側との意見交換会の中で、園割り補助金について、その額、使途について話題になったことはありましたでしょうか。

また、この金額の過小を含めて、所見を述べてください。多分紳士的な私立幼稚園側からは要請がないかもしれません。担当部としては、早急に予算要求をして、これから提案したほうが好感を持たれると思います。いかがでしょうか。

私見ではありますが、我が市の幼児の1,404名を受け持っていただいている幼児教育貢献度から推しはかれば、それ以上でもそれ以下でもない30万円程度が適当ではないかと考えております。

今までは園割りでございますけれども、園児1人当たりの園児割りでは、制度発足以来、平成23年度まで1人当たり7,220円で、平成24年度以降、200円増額されました。これも私たちの市政クラブの要望でございましたけれども、7,400円になりました。全園で1,000人といたしましても2万円の増額でございました。

私は、旧師勝町時代の平成10年ごろ、予算委員会でこの計算方法7,220円について質問いたしましたら、担当者も曖昧模糊で不可解でした。改めてご質問いたしますが、この計算根拠がわかればお示しください。もし計算根拠があれば、年々変わるはずでございます。園児割りだけで見た場合、本市は確かにハイレベルな金額に見受けられます。

平成25年6月6日の幼児教育無償化に関する関係閣僚・与党連絡会議のその基本方向の文書で、幼稚園と保育園の負担の平準化や未就園児への対応、幼児教育の質の向上の観点から、5歳児について無償化を段階的にしたい旨、記載されています。父兄の中で関心のある方は、5歳児無償化についての経緯について、情報があればお聞かせください。

主として、消費税増税分を財源として、27年度からスタートする予定の子ども・子育て支援制度について質問いたします。

多様なニーズにきめ細かに対応する新制度のことです。
その事務も複雑、多様化すると思います。難解な制度ですが、市内の私立幼稚園、公立保育園の新制度の対応を含めて、簡単にご説明してください。

内閣府子ども・子育て支援新制度施行準備室会議の作業スケジュールとしては、自治体における当面の作業等として、子ども・子育て会議の設置、検討、これは当市も出されているようでございます。ニーズ調査もなされているようでございますけれども、事業の量の取り込み、確保方策、既存の施設に対する意向確認、認可、確認等の事前確認、そして27年3月確定となっていますが、本市では現在どの段階まで行っているでしょうか、お答えください。

市内5私立幼稚園は、新制度、特に施設型給付には入らないという意見をお聞きいたしておりますが、いかがでしょうか。その主な理由、またその場の財政支援等の取り扱いはどうなりますでしょうか。直近の今月の6日ごろには、県と私立幼稚園との懇談もあったようでございますけれども、その辺もわかればご説明していただきたいと思います。

最後に、市長の公約と担当部課の推進業務について水野部長にご質問申し上げます。

財政困難な状況下では、就園奨励費の国の基準の壁は越えられないとしても、以上ご質問を申し上げたとおり、他市では政策的見地から独自の助成が講じられている自治体も多々あります。
市長の選挙公約に乳幼児保育の項目で、私立幼稚園の授業料軽減制度の拡充を掲げられ、所信表明では、私立幼稚園の支援にも十分な取り組みをすると述べられております。
二元代表制であり、選挙で選ばれて執行権のある市長の発言は絶大であります。
担当部課は、その意図を酌み取り、具体的な施策の実現を図る責任と義務があります。市長の公約、所信表明と担当部課の業務推進、特にこの私が質問申し上げました私立幼稚園の補助の関係について、業務推進の関係について、昨年7月に就任し、意気軒高でやる気満々な水野部長に、その所見をお伺いいたします。

もちろんこのことは、全ての部長さんに共通する質問かもしれません。幼児教育の質の向上、少子・高齢化対策としての家庭への財政的援助、夫婦ともに働ける環境整備を子ども・子育て支援の囲みの中で、政府の重要な国策として取り上げてまいります。自治体としては、国・県の動きを機敏にキャッチして、地域のニーズにマッチして施策を先進的に行っていただきたいと思います。

地方分権化時代の住民サービスの地域間格差は、首長、行政マン、議会議員、それぞれの資質と能力の差と言われております。ご期待を申し上げて、一般質問を終わります。

 

gray-man 福祉部児童課長(山下康之君)

私立幼稚園振興事業についてお答えいたします。

まず1点目の幼稚園就園奨励費を国基準以外で実施しているところについてでございますが、愛知県内の私立幼稚園が所在する35市のうち62.9%に当たる22市において、国の補助基準対象外の方へ単独補助を実施しております。
近隣では、小牧市が国庫補助対象外の園児を対象として一律1万2,000円を支給しておられます。
幼稚園児を持つ保護者の方に対する負担軽減は多くの自治体が実施されていることからも、実態を真摯に受けとめ、本市における助成制度を検討していきたいと考えております。

続いて、幼稚園就園奨励費の平成25年度予算との比較でございますが、全体で対象人数が152人、金額では3,856万5,000円の増となります。なお、各幼稚園へは、本年度分申請関係書類を配付いたしておりますが、この件についての反応は特に聞いておりません。

次に、全日本私立幼稚園連合会の予算と本市の予算のギャップについてですが、増額要因は、あくまで同じ多子世帯の保護者負担軽減の拡充でありますので、その予算積算方法の差ではないかと推測いたしておりますが、はっきりとした内容は現段階ではわかりません。

次に、本市の幼稚園就園奨励補助金は、国の基準と同じ計算方法で交付しております。
その対象児童数は1,067人であり、一般財源のみの1人当たりの平均金額は10万8,622円です。

次に、保育園経費と幼稚園経費における利用者1人当たりの金額比較をいたしますと、54万9,532円という金額の差が生じております。
ただし、私立幼稚園経費には県からの補助制度もありますので、単純な比較は困難と考えております。

次に、保育園の保護者負担額についてですが、世帯を両親と子供2人であり、かつ第1子で年齢が3歳と想定した場合、月額2万3,200円となります。続いて、第2子特例の場合、保育園の保護者負担額は2分の1の1万1,600円となります。
また、幼稚園利用者については、就園奨励費補助金が増額となるため、はっきりとした金額ではお示しできないのですが、保護者負担としてはほぼ同水準の軽減となっております。

続いて、幼稚園就園奨励費補助金の交付申請時期については、例年、保護者から6月末までにご申請をいただき、11月に補助金交付決定を行い、その翌年1月に各幼稚園を通して保護者へ給付いたしております。
この補助金が保護者負担の軽減という目的でありますので、半年以上在籍が支給条件となっていることから、10月以降の支払いとはなりますが、給付事務にご協力いただいている幼稚園事業者とも調整を図り、できるだけ早期に給付できるように検討いたします。

次に、私立幼稚園への園割り補助金についてですが、私が知る範囲では、その額や使途に関して話題になったことはありません。
また、この金額が過少とのことについてでありますが、この補助金は、幼稚園への運営経費としての補助金であり、市からの制約はつけておりませんので過少とは考えておりませんが、今後幼稚園運営の実情を勘案し検討してまいります。

なお、今後の補助につきましては、事業補助とし、特定の事業を行っていただいた場合に助成していく制度も検討するとともに、平成27年4月からの実施が予定されております子ども・子育て新制度においては、これまで幼稚園は県が所管、保育園は市が所管という制度の枠組みであったものが、市へ一本化するとの制度変更がなされます。
幼稚園は、その新制度の参加が任意とされていることから、不確定ではございますが、今後の検討にはその影響を考慮しなければならないとも考えております。

次に、園児割りの内訳についてですが、保育園の園医報酬等を積算根拠としております。
具体的には、保育園医の年額報酬単価に幼稚園数を掛け、その額を幼稚園児数で割り返して、1人当たりとして算出した1,513円にその他の関係経費を加算し積算しております。

次に、5歳児無償化に関する情報についてですが、最近、一部の新聞報道はありましたが、正式に愛知県からの通知などは届いておりません。

以上で質問に対する答弁とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

gray-man 福祉部児童課長(山下康之君)

子ども・子育て支援制度についてお答えいたします。

まず1点目の、平成27年度からスタートする新制度についてご説明を申し上げます。

この新制度の特徴は、幼稚園と保育所で別々になっていた利用手続や公費負担の仕組みなどを一本化し、幼児期の学校教育、保育を総合的に提供することで、待機児童を抑制するとともに、消費税率の引き上げにより財源を活用し、子ども・子育て支援の量、質の充実を図るというものでございます。

なお、私立幼稚園に関してですが、新制度に参加しないと選択することも可能であり、建学の精神を大切にして、今までの制度の運営とされる場合もあります。あくまで各学校法人の任意な選択となっております。

次に、公立保育園については、今後新制度の趣旨を十分に検証して、制度に合わせた運営方法を検討してまいりたいと考えております。

次に、本市の計画策定の段階でございますが、量の見込みの精査の段階となっております。

次に、市内5幼稚園事業者の動向でございますが、現在のところ、新制度に入らない旨のはっきりとした意思表示はお聞きしておりません。なお、幼稚園側が判断できない理由として、新制度における園児1人当たりの運営費の国基準となる、いわゆる公定価格が示されていないため、経営的な判断ができないとのことでございましたが、この公定価格につきましては、5月26日付で開催された国の子ども・子育て会議において仮単価が示されました。また、この件に関する県主催の初めての説明会が、昨日の6月9日に行われたことから、本市では、7月をめどにその意向確認を行う予定としております。

次に、新制度へ参加されない幼稚園への財政支援等の取り扱いでございますが、今までと同様に、愛知県から交付されるとの説明を受けております。

以上で、ご質問に対する答弁とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

gray-man 福祉部長(水野高作君)

市長公約と担当部の業務推進についてお答えいたします。

市長の公約並びに所信表明の内容につきましては、当然のことではございますが、目的達成のため、最大限努力する所存でございます。とりわけ私立幼稚園に対する支援につきましては、質問の中にもございましたが、5歳児から義務教育化するとの案があると報じられているところでございますが、現在、幼保一体化への移行など、大きく制度改正が進められているところでございます。

そうした中で、具体的には今後検討していくこととなりますが、保護者並びに幼稚園運営の支援について、保育園との格差が生じないよう、補助制度を設計していきたいと考えております。本市が目指す「子どもがすてきに育つまち 北名古屋」のさらなる充実に向けて努めてまいりますので、よろしくご理解賜りまいようお願い申し上げます。

 

山下 隆義 山下隆義

部長と課長から大変前向きとも後ろ向きとも、わけがわからないご答弁をいただきましたんですけれども、しっかりと頑張っていただきたいと思います。

1つだけ質問いたしますけれども、今回、単価の基準が、私も新聞で見ましたんですけれども、特に人件費あたりの単価が上がるということでございますけれども、概算でいいですけれども、何割ぐらい上がるような形で考えておりますでしょうか。平均単価の値上げね。

 

gray-man 福祉部長(水野高作君)

今のご質問でございますが、まだ数字的にはこちらのほうに来ておりませんので、実際に人件費等、どの程度が現状に比べてアップしているかというのは、ちょっと今申し上げられませんので、また連絡が来次第報告させていただきます。

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