山下隆義
7月の終業式の翌日、小学校4年の孫の成績表を見ました。各教科の総合評価として数字が書かれ、さらに内容別評価が4項目もありました。また、右側には活動評価がされ、いずれにも所見が記入されていました。児童35人の成績を公平に、しかも神経を研ぎ澄まして記入しなければならない、逃げたくなるほどの大変なハードな仕事ではないかと想像いたします。追い打ちをかけるように父兄からは、うちの子の成績がおかしいとクレーム。学習生活指導についての細心の配慮、クラブ活動への思い入れ、業務負担増など、55人学級の昭和30、40年代のそれとは、その質と量において雲泥の差があるものと想像いたします。多忙をきわめている教職は、聖職の名のもとに大変な苦労人ではないかとご同情いたします。
さて、その多忙で混乱しがちな教育の現場に、中央教育審議会 ── 以下「中教審」と申し上げますが ── の次期学習指導要領の審議まとめ案が公表されました。文部科学省の教育局教育課程課企画室に問い合わせて閲覧・印刷しましたところ、170ページにも及ぶ膨大なものでした。
学習指導要領は、小・中・高校の教育目標や内容を教育基本法、学校教育法の目的等の実現のために告知するもので、国公私立全ての学校が原則守らなければならないものであります。10年ごとではありますが、社会生活環境の変化、世論の動向、政府の政策転換等によって、その意図する内容が異なります。教育現場にとってはその都度、指導方法の改善や新たな業務量が発生、その対応に労力を使われております。
以下、学習指導要領に関する質問をいたします。教育長にご答弁をお願いいたします。
第1番目に、次期学習指導要領の運用についてでございます。
その1番といたしまして、学習指導要領の10年ごとの改訂について。
1980年、ゆとりある充実した学校生活の実現。小4での週2時間、小5・6年での週4時間の授業削減。1992年、社会の変化にみずから対応できる心豊かな人間の育成。小1・2年で生活科の新設。1998年に教育内容を3割削減。2002年、ゆとりの中で生きる力を育むの完全週5日制の導入。小学校で授業時間2時間削減、小学校3年以上で総合的学習授業の導入。2011年には、ゆとり教育からの転換(脱ゆとり)。小・中学校で主要教科の授業時間の1割以上増加、小5年から外国語授業を新設などと変化してまいりました。
私は旧師勝町議会で、総合的学習現場での対応について、ゆとり教育での抽象的な生きる力への疑問と学力低下懸念、あるいは土曜日の児童・生徒の場づくりについての不安などについて質問して提案してまいりました。
さて、以上のような変遷について、学習指導要領の10年ごとの告示、変遷について、学校運営上の率直なご意見、ご感想をお聞かせください。
1980年代から2002年のゆとり教育で国際学力到達度の順位低下と学力低下批判が高まり、2011年のゆとり教育の転換、脱ゆとりについて、北名古屋の教育現場での初期対応及び7年経過後の教師の指導方法の質的変化と及び児童・生徒の学力面での質的進化について簡単に説明してください。
2番目、中教審の次期学習指導要領の審議まとめ案について。
2020年度から順次実施される次期学習指導要領の審議まとめ案が公表されました。その具体的な内容は、来年4月ごろには成案されるとのことであります。学びに向かう力、人間性の涵養、そのための生きて働く知識、技能の習得、未知の状況に対応できる思考力・判断力・表現力の育成などと記述されております。我々には方針の本質は従前と余り変わりないと思いますが、この審議案に対する感想、所見及び教育現場ではどのように捉え実践しなければならないとお考えですか。
現行学習指導要領に基づく真摯な取り組みが、改善傾向にある国内外の学力調査結果などにあらわれてきております。一方で、判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを述べることや社会参画の意識等について課題があるとされております。これについて、以下の点についてお聞かせください。
北名古屋市の小・中の児童・生徒でも、この課題は同様に劣っているものと考えられますか。
この課題は、学習評価では具体的にどの部分にあらわれ、把握できますでしょうか。例えば、先ほど配布されました27年度分の教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検評価報告書ではどのようでございましょうか。
この課題に対して、教育現場での学習方法の対応は。
学校教育では外国語教育の充実を求めております。先ほども申し上げました点検評価報告書からは、当市の外国語教育活動の児童英検レベルは、平均正答率が全体で89%台と極めて優秀であると推察されます。中学生の英語能力判定テストの分野別平均正答率も良好でありました。
次期学習指導要領では、外国語教育の改善、充実について詳細に記述されております。その改善策として、2020年度には、小3・4年生では現行なしでございましたが、外国語活動という名前のもとに年間35こま、小5・6年生では今度は外国語科と教科として格上げし、現行年間35こまを70こまにされております。
教育現場としては、英語教師・講師の増員が必須と思います。もちろん、国・県の指針が示されると思いますが、当市の小・中学校の現状の英語教師の正規・非常勤講師の人数、また現状クラスの数での年間105こまのためには何人の増員が必要と思われますか。世界語として通用する英語はますます重要となります。市独自の採用も確保すべきではと思いますが、どのように予定されているのか、もう来年度から準備する必要があると思います。
小・中・高校を通じて学びを接続させることが必要で、文法、語彙等の知識偏重を避け、聞く、話すこと、書くことを中心としたコミュニケーション能力の育成が必要と述べています。当市における現在及び将来の小・中交流を含めた外国語教育の接続性、連続性について述べてください。
情報教育の一環として、コンピューターを動かす基礎的なプログラミング教育も必須とされています。算数、理科、総合学習の中で消化するように要望しております。基礎的とはいえ、特殊な技術・技能が必要であります。現況の教師枠では無理と思われますが、いかがでしょうか。その対策は。
何ができるようになるかのために、何を学ぶか、どのように学ぶかについて論述されております。この中で、どのように学ぶかについて、主体的・対話的で深い学びの視点からの学習過程の改善のための手段として、能動的なアクティブ・ラーニングという言葉を用意しております。全教科に取り入れました。指導要領が授業方法に言及するのは異例であり、文部科学省も会見で、教え方を指導要領で具体的に規定しないと新聞報道されました。大学のゼミ等では既にアクティブ・ラーニング形式で行われていることが多いのでございますが、教師が一方通行的に教える授業ではなく、全児童が主体的・能動的に参加する学習方法です。
教師にはこれまでとは異なる技量を求められ、授業のやり方だけではなく準備や教材なども大きく変わり、負担が大きくなります。答申や告示までにどこまでわかりやすく示されるかわかりませんが、学習風景も変化して、規律、礼儀、敬愛を重んじてきました日本の学習様式に不具合を生じ、目標である、自由奔放独創的な自分の考え方よりも、むしろ逆説的に自己中心の得手勝手な行動を引き起こす児童・生徒が育つのではないかと心配いたしております。この件に関してはいかがでしょうか。
この学習方法では、小・中ではどんな形式がふさわしいか。また、当市の小・中学校でも現在、これに準じた授業形式をされている具体的事例はありますか。しかし、現行の総合的学習と類似していますが、同一化してはいけないと思っております。その違いについての見解はいかがでしょうか。
教師の導き方により、混乱したり方向性を間違えたりする可能性が大であり、また教師間、学校間の格差が生じることが想像されます。このことを防ぐためには、アクティブ・ラーニングの教師向けの研修制度が必要と思いますが、どのレベルで、どのようなものが用意されていますか。今後設定される国・県での教員研修には率先して派遣されたい。
第2番目、次期学習指導要領実施のための環境整備について。
市長、市部局と教育委員会とは、法律改正により、教育の独立性とは別に密接で良好な関係が要請されました。教育部長は本市の教育目標を達成するための環境整備等のために一層の努力をしなければなりません。
以下、条件整備の内容について教育部長にご質問をいたします。
新学習指導要領の実践には、予算措置を含め、学校の環境整備の構築が不可欠。さもなければ理念ばかりが先行して、学校現場が置き去りになることは間違いございません。教職員定数の拡充など、多数条件整備がなければ不可能とまで思われる内容であります。国・県でもその配慮がなされなければなりません。それとは別枠で、市独自で外国語教師・講師、情報技術に秀でた教師・講師の採用枠について、どのように考えていらっしゃるでしょうか。
事務体制の強化、とりわけ人員確保、複雑多様化する学習方法にふさわしい専門スタッフの採用、教職員の雑務処理補助員の採用について。
前述しましたとおり、教師の力量を発揮してもらうためには、校内外研修の機会を設けることも重要でありますが、そのための研修諸費用、例えば講師料、モデル校視察等の旅費といった特別な予算枠の確保について、どのように考えていらっしゃるでしょうか。
教科書はもちろん、必要な副教材や情報機器の見直し整備について、あわせてICT(情報通信技術)環境の充実に必要なインフラの整備について。
小・中学校の教師間における学習の連携のための交流の機会醸成の組織、場づくりの対策について。
授業時間の増加、教師自身のスキルアップの努力、なれないアクティブ・ラーニング教育の導入等で、精神的苦痛、重圧が極限に達した教師の体調予防、あるいは体調を悪くした場合の事務方の対応について。
以上のほかに、この新指導要領の実施に当たっての環境整備についてのプランがあれば、お聞かせ願いたいと思います。
以上、ご質問してまいりました教育論は、崇高な理念と時代の変遷、要請のはざまで議論される未来永劫のゴールの見えない永遠のテーマでございます。当市の規模は、小・中16校、7,400人余、教師等500人余り、いつどこで何が起こっても不思議ではございません。学校現場でのいじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊等、多種多難な問題解決をも要求されております。企業は人なりと言いますが、行政市町も人なり、教育委員会及び単位学校も人なりと言いかえることができると思います。教育全体の質の高さも果実も結局は指導者のマネジメント能力、教師の能力・資質と確かな使命感と意欲だと思います。
教育基本法第2条、教育の目標、第5条、義務教育を理念として告知されます学習指導要領を指針にされ、市独自の学習指導方法を創造・勘案されますよう、より一層評価される北名古屋市の教育を目指していただきたく、ご質問を終わります。
教育長(吉田文明君)
初めに、学習指導要領の運用についてお答えいたします。
初めに、学習指導要領の10年ごとの改訂についての所感と状況についてお答えします。
日本の子供たちは長年、国際的に見て決して見劣りしない高い学力水準を維持しております。これは、10年ごとに改訂される日本の学習指導要領を初めとするナショナル・スタンダード(教育の国家基準)によるところが大きいと言われています。各国の垂涎の的となっています。もちろん、この状況は子供たちの努力と先生方の研さんなくしてあり得ないことでもあります。
本市の学力状況は国と同様な変遷をたどっています。現在は現行の学習指導要領に基づき、生き抜く力、学力を育んでおり、基礎・基本についても。思考力・判断力についても、義務教育9年間を経ておおむね良好な状況にございます。
次に、中教審の次期学習指導要領の審議のまとめ案についてお答えいたします。
教育は国の未来を左右するとして、世界中がすぐれた国家基準の策定にしのぎを削っております。日本においても同様であり、各分野の最先端で活躍しておられる方々の未来予測や今後必要とされる資質・能力等の提案に基づき、これからの教育の方向性を議論し、まとめられます。それを受けて第一線の教育関係者が教育の視点から具体化に向けて整理・検討して、まとめたものが日本の学習指導要領でございます。
第4次産業革命を意識した今回の審議のまとめ案は、現行の学習指導要領が求めてきたことを今後必要とされる視点から再編・整理し直して、さらなる強化を図るものです。今後、新しい学習指導要領として移行準備期間を経て実施されます。したがいまして、いましばらくは現行の学習指導要領に基づく指導方法を駆使して指導内容を確実に習得させていくことが大切であると考えております。
ご指摘の根拠を示して考えを述べるという課題につきましては、本市に限らず全国的な課題でございます。この課題は、知識や技能を使って考えたり、判断したり、それを表現したりする授業を通して、子供たちから既に持っている知識や思考力、判断力、表現力を引き出して結びつけ、課題解決を通して知識や技能を使って考えれば解決するという実感を味わわせる、あるいは学んだ成果を自覚させる、こうした学習経験の繰り返しを通して、この根拠を示して考えを述べる力がつきます。既にこのような指導方法は、国語、算数、数学、理科を初め、各教科の授業に言語活動として意図的に行われています。
続いて、次期外国語教育の充実についてお答えいたします。
まず、小学校英語指導者ですが、現行の体制を充実・強化することで対応したいと考えています。特に小学校の先生には、市単独配置の英語指導助手と英語活動を行っている現在、日々の授業実践を通して指導力の強化を図るよう再度指導してまいります。今後は点検、見直しを行い、一層の充実を図ってまいります。
また、小・中の連続性につきましては、小・中学校が共同して事業研究会を設定して、連携を図ることによって強化を図ってまいります。
プログラミング教育についてお答えいたします。
プログラミング教育は、小学校段階でプログラム言語を教え、習得させることはありません。例えばコンピューターにA地点からB地点に移動するように指示することを体験しながら、この移動を実現するにはどのような動きの組み合わせが必要であり、どのように組み合わせたらいいのか、どのように改善していけばより早く移動できるのかといった論理的に考える力を育てるものでございます。将来どのような職業につくとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としてプログラミング的な思考を育むものでございます。特殊な技術や専門的知識を必要としておりません。
最後に、アクティブ・ラーニングにかかわる現場への懸念についてお答えいたします。
アクティブ・ラーニングは、主体的・対話的で深い学びを目指す指導法で、形式的に対話を取り入れた授業や特定の指導の形を目指した指導技術の改善ではなく、子供たちそれぞれの興味や関心をもとに、一人一人の個性に応じた多様で質の高い学びを引き出すことを目指すものであります。子供にとっても、教員にとっても、知的緊迫感のある厳しいが楽しい授業です。アクティブ・ラーニングは、現行の学習のあり方そのものを問い直すものであり、授業改善の取り組みを活性化し、教育の質を世界のトップレベルにするものでございます。
現在、小・中学校では、教員がお互いの授業を検討しながら学び合い改善していく授業研究が日常的に行われています。今後もご懸念されていることが起きないように、改めて教員が学びの本質を捉えながら教えることに一意専心、子供たちに求められる資質・能力を確実に育み、必要な学びのあり方を絶え間なく考え、授業の工夫・改善を重ねていく授業研究の充実・強化を図ってまいります。
いずれにしましても、時間もかけず、努力もせず、お金もかけずに力がつくことはなく、誠実で熱意ある教育が子供たちを支えます。それには、家庭、学校、地域の信頼・支援・協力が必須であります。よろしくお願いを申し上げます。
以上、答弁といたします。
山下隆義
教育長は大変すばらしい方で、全部完全な答弁でございましたけれども、あとは実践がどうなるかでございまして、それは教育長を初め学校校長関係の力関係によると思いますけれども、しっかりとやっていただきたいと思います。
ところで、次期学習指導要領については、今はまだテスト期間があるとおっしゃいましたけれども、これからの、テスト期間があるといいましても、その立ち上げが非常に重要だと思いますね。立ち上げについての組織とか、あるいは立ち上げについてのプランニングとか、あるいはその構想について何かあったら教えてください。あるいはタイムスケジュールも含めてね。
教育長(吉田文明君)
大変難しいご質問でございますが、タイムスケジュールにつきましては、正式に文部科学省より日程が現在のところ示されておりません。だから、正確にお答えすることはできませんことをお許しいただきたいと思います。
前回の改訂スケジュールを参考にした単なる想定としてお答えいたしますことをお許しいただきたいと思います。
今年度、28年度中に、審議のまとめを受けた中央教育審議会は、次期学習指導要領の改善に向けた答申を今年度中に文部大臣に出します。それを受けて文部大臣は次期学習指導要領を告示いたします。告示を受けて初めて現場のものとなってくるわけです。それまではまだ仮定のものでございます。29年度の1年間は、その内容の周知徹底期間として設定されております。この間に文部科学省は都道府県、都道府県は各市町村教育委員会、市町村教育委員会は各学校に、各学校は教職員に学習指導要領の説明会とか研修会を開催し、周知徹底を図ります。この周知徹底は、その後5年ほど毎年組織的に行われます。
なお、小学校においては、30年度、31年度は対応した新しい教科書がないこともあり、文部科学省が示す一部の内容について先行実施することが可能になるだろうと思われます。そして、32年度から教科書も決まり全面実施になると、今までの経験からいきますと、そういうことが想定されます。
中学校は、多分1年おくれで、33年度から全面実施になると思われます。30年度から32年度までは一部指定された内容が小学校と同様に先行実施することが可能になります。
いずれにしても、両方ともその間に教科書という大事なものが準備されます。教科書が準備されて初めて、小・中学校とも全面実施になるということでございます。
全くの想定であることをお許しいただきながら、答弁とさせていただきます。
山下隆義
ちょっと確認しておきますけれども、先ほどの英語が70こまふえるようでございますけれども、増員はしないで研修をしてやるということをおっしゃいましたけど、それはそういう意味に理解してよろしいでしょうか。
教育長(吉田文明君)
お答えいたします。
原則は担任がやりますので、担任の補助として英語指導助手は入りますので、現状の体制で多分対応できると思います。ただし、少しの増員は必要かもしれません。
教育部長(村瀬雅彦君)
次期学習指導要領実施のための環境整備につきまして、7点ほどご質問をいただきましたので、順次お答えをさせていただきます。
初めに、市独自で外国語や情報技術に秀でた教師・講師の採用枠についてのご質問でございますが、現在、外国語教育に関しましては、外国語指導助手を小・中学校それぞれに配置し、外国文化への理解や実践的なコミュニケーション能力の向上を図っているところでございます。そうした中、愛知県教育委員会では平成29年度の職員採用選考試験において、小学校教諭の受験区分に小学校英語特別選考を設けまして、次期学習指導要領への対応に着手したところでございます。これにより本年度以降、新たに高い英語力を持つ教員が小学校に配置されることを期待しているところでございます。
また、コンピューター等の情報教育につきましては、現在、本市では民間企業と契約し、ヘルプデスクを設置し、教員や学校現場からのコンピューターやインターネットなどの情報通信技術に関する問い合わせに随時対応しており、実務を通して個々の教員が研さんを行い、情報技術の向上を図っているところでございます。
こうした状況を踏まえまして、外国語や情報技術に秀でた市独自の講師採用に当たりましては、新たに特別枠を設けるというよりも、これらの能力を有する者を退職者補充の際に考慮していく形で行ってまいりたいと考えております。
次に、2点目の教職員の雑務処理補助員の採用についてでございますが、現在、教職員以外の職員として、一般事務員のほか、特別支援員、用務員、給食補助員など、各小・中学校に現状に合わせて配置し、業務に従事しておるところでございます。こうした中、平成27年4月には北名古屋市学校事務共同実施組織を設置し、市内の小・中学校を3つのブロックに分け、庶務、人事、経理、管財などの学校事務をそれぞれの学校ごとに行うのではなく、事務を分担し、専門的かつ横断的に行うことで業務の効率化を図っております。今後はこの機能をさらに充実させ、教員の事務負担を軽減させ、子供たちに触れ合う時間の確保に努めてまいりたいと考えております。
3点目の教師の力量を発揮するための研修、諸費用の特別な予算枠の確保でございますが、ご質問にありますように、次期学習指導要領では、グローバル化や情報化への対応など基礎的なスキルから、問題解決力や創造力等の思考力、さらには子供たちの自立性や人間関係などの社会性の育成まで、教員には広範な指導力が求められております。こうした枠組みの中で成果が期待できる研修であれば、予算計上することはやぶさかではございませんので、個別具体に検討してまいりたいと考えております。
4点目の副教材や情報機器の見直し、整備及びICT(情報通信技術)環境の充実に必要なインフラ整備についてでございますが、副教材の選定では、学校現場の意見を考慮するとともに、その内容が教育基本法や学習指導要領の趣旨に従い、かつ児童・生徒の発達段階に即したものを選定しております。
また、情報機器の見直し、整備及びICT(情報通信技術)環境の整備に必要なインフラ整備につきましては、本年度、小・中学校16校の教師用コンピューター、校内LAN等の情報機器やネットワークの整備を行っており、教育環境の拡充と充実に努めているところでございます。
5点目の小・中学校の教師間における学習の連携のための交流の機会醸成の組織、場つくりの対策についてでございますが、次期学習指導要領の策定に際しまして中央教育審議会では、子供たちを学校だけではなく、学校と家庭や地域との連携・協働によりチームとして成長を支えていくチーム学校を提言しております。本市におきましても昨年、北名古屋市豊かな学び創造推進協議会を設置し、地域とともにある学校と市民協働による学び支援を一体的に進めております。この豊かな学び創造推進協議会では、全体会のほかに小中連携部会を設置し、小・中9年間の学びの視点で連携活動の方策について協議を行っております。今後はさらにこの協議会を地域や学校間の連携や情報交換の機会として進め、チームとしての学校づくりを進めてまいりたいと考えております。
6点目の教師の体調予防、体調を悪くした場合の事務方の対応につきましては、現在、教員自身のストレスへの気づきを促進するため、ストレスチェック検査の実施に向け準備を進めているところでございます。これにより高ストレスと判断された者に対しては、医師による面接指導を実施するなど、その対象を支援することによりメンタルヘルス不調となることを未然に防止し、健康を保持するよう努めてまいりたいと考えております。
7点目、その他環境整備についてのプランでございますが、次期学習指導要領では語学力などの言語スキルや情報化社会に向けた情報処理能力等の基礎的な力から、日常生活や社会環境の中で問題を見つけ、みずから判断する思考力、さらには学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性の涵養が求められております。そうした中、本市といたしましては、土曜英語教室や海外への語学留学、また発明クラブなどによる基礎的なスキルの向上のための環境整備を初め、コミュニティ・スクールや豊かな学び推進協議会などを有効に活用し、学校、家庭、地域を含めた社会全体を共同チームとして捉え、学校を支え、子供たちの主体的・対話的で深い学び、いわゆるアクティブ・ラーニングが実践できる環境を整え、急激な社会変化の中でも対応可能な生きる力を育成してまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りますようお願いいたします。
山下隆義
財政を担当する教育部長としては大変だと思いますけれども、もちろん国・県でも独自に採用枠とか、あるいは何かが出てくると思いますけれども、そのときにおきまして、県・国がやったのに対して上乗せとか、あるいは財政が厳しい中ではございますけれども、時には上乗せ、あるいは横出しという関係が出てくるかと思いますけれども、それについてはその都度また考えていかれるつもりでしょうか。いかがでしょうか。
教育部長(村瀬雅彦君)
次期学習指導要領に伴う国の補助ですとか県の補助については、まだ未確定な部分が大変多うございます。そうした中で、答弁のほうでもお話しさせていただきました英語教育ですとかプログラミングを初めとしたそういった基礎的学力、それから子供たちがみずから問題を見つけて考えていく思考力、さらにはそれを社会で生かしていく生きる力と、そういった幅広い能力が求められているわけでございます。
そうした中で、学習環境の整備ですとか、それから研修など、ハード面・ソフト面でさまざまな予算化が必要になってくるかなと思っております。そうした中で、議員のほうからもお話がございました厳しい財政状況下ではございますので、単純に職員が楽するためというか、利便性ですとか形にこだわるというものではなく、子供たちの学びに確実につながるものから優先的に予算化してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。