1.「どうなった火葬場」から検討委員会設置

 神田 薫

どうなった火葬場から検討委員会設置について、一般質問をさせていただきます。

厚生労働省がまとめた「今後の高齢化の進展~2025年の超高齢社会像」から2025年を要約すると、高齢者人口は2015年にはベビーブーム世代が前期高齢者(65歳から74歳)に到達し、その10年後、2025年には高齢者人口は約3,500万人に達すると推計される。

高齢者の世帯の見通しとしては、世帯主が65歳以上である高齢者の世帯数は2005年現在1,340万世帯程度であるが、2025年には約1,840万世帯に増加すると見込まれる。

また、2025年には高齢者の世帯の約7割を独り暮らし、高齢夫婦のみ世帯が占めると見込まれる。中でも高齢者の独り暮らし世帯の増加が著しく、独り暮らし世帯は約680万世帯(約37%)に達すると見込まれる。

さらに、死亡者数の推移としては、年間死亡者数(2004年現在約100万人)は今後急増し、2015年には約140万人、うち65歳以上約120万人、2025年には約160万人、うち65歳以上約140万人に達すると見込まれるとの概要が示されている。

今後40年で高齢化が急速に進展することになり、人口減少の主因死亡者数が出生者数を上回る状況の常態化を多死社会と言われ、人口動態を踏まえ不可避な多死化は避けられないと言われています。

そこで、どうなった火葬場について、今までの火葬場に関する代表質問、また一般質問から編年してみると、初見に平成19年第3回定例会で青山喜代一議員が火葬場整備について一般質問をしています。

その質問内容を要約、引用すると、火葬場整備について、少子高齢化が今後もますます進む中、子育て支援や高齢者施設の充実に努め、安心して暮らせるまちづくりに努めなければいけないと考える。

その安心の重要な施設の一つとして、火葬場の整備が急務である。

衛生行政の事業が展開されている中、火葬場の未整備という状況下にある。

平成17年3月議会で、旧師勝町のとき、火葬場についての一般質問の答弁は、豊山町の責任において適切に対応されるものと捉えている。

今後も東部3町(現在1市1町)を基本とした火葬場の整備を近隣の利用状況を踏まえ考えていきたいという内容でした。

その後、本市は豊山町に対しどのような話合いをしたか、また他の方法も検討しているのかの質問に、当時の市長である長瀬市長の答弁は、火葬需要の高まりは必至と予想される状況の中、火葬場の整備は非営利性、継続性の観点からも自治体が行うべきであることは十分理解している。

火葬場の整備について、立地環境及び住民の理解、法規制等の社会条件が整うことが必要であり、広域的視野で検討する事業であると考えている。

今後、豊山町をはじめとした近隣市町に対し、機会あるごとに話題を投げることで整備促進に努力していく。

さらに、火葬場整備については豊山町の過去の衛生行政事業の経緯を踏まえた中で進めていくものだと思うことから、豊山町に対し市長の率直な思いはとの再質問があり、先ほど答弁で申し上げました広域的見地ということは、さらにこの合併前という一つの見識で言いますと東部3町という形を取っておりました。

そういう中で、振り返って考えたときに、私がまだ一幹部職員であったときに、時の前町長でありました大野定則、この町長の時代の話でありまして、この一つ一つの町が3大事業と言われるし尿処理、ごみ処理、そして火葬処理、これについて一自治体で取り組むということは至難の業だと。

これを広域的に捉えていく。

その前提として、東部3町、すなわち旧西春、旧師勝、そして豊山町、それぞれが各分野に分担して取り組むということをこの3町長で約束してきた(略)それに従ってごみ処理、そしてし尿処理が旧西春、旧師勝で取組をされた。

そういう中で、火葬場だけが現在なおかつはっきり明確に示されていないというのが現実である。(略)

豊山町は尾張東部聖苑に加入されているという事実をどのようにクリアしていくかが大きな課題であります。

しかしながら、私は現在豊山町が衛生組合、水道組合、消防組合に参画している以上は、そうした旧3町の約束のテーマに対して真摯に、また取り組んでもらえるものと現在も確信しているところであります。(略)

豊山町にその中心的な役割を果たしていただきたいと大きな期待を寄せていると市長が再答弁しました。

次に、平成24年第1回定例会にて、大野 厚議員が火葬場整備について一般質問をされ、本市は現在、名古屋市など近隣自治体の火葬場を利用しているが、今後、豊山町を柱とした広域行政による火葬場整備を進めていくのか、隣接する清須市及び名古屋市との広域行政による整備にするのか、方向性を明確に示す時期が来ていると思う。

本市として今後どのような方針で進めていくのかに、当時の副市長である海川副市長が答弁。

火葬場は地域社会に必要な社会基盤施設であり、本市には不可欠な施設だと理解している。

合併以前から旧西春町、旧師勝町と豊山町は、現在も引き続き基盤整備をともに広域行政で取り組むことで合意を得ており、残された火葬場の整備は、その主体である豊山町の責務において取り組まれるものと認識している。

また、八事火葬場が近い将来火葬能力を超える可能性があり、豊山町は現在、尾張東部聖苑に加入し粛々とやっている。

この問題は非常に長い歴史があるが、もうそろそろ真剣に結論を出してもらう時期だと思う。

再答弁として、豊山町には尾張東部聖苑の構成団体に入れてもらうことをお願いしているが、これらを含め豊山町が結論を出さない限りは責任を持って進めていただくようお願いをしていく。

次に、令和4年第2回代表質問で永津正和議員が、火葬場についてお聞きします。

今までは過去の経緯を踏まえあまり話題にしておりませんでしたが、この機会に新市長のお考えをお聞きしますとの質問に対し、豊山町との紳士協定的なものがあったことは前市長から引き継いでおり承知しているところでございますので、引き続き協議を行ってまいりますが、近隣市町との広域連携についても可能性を探り検討に努めてまいりますと太田市長が答弁されています。

生きる者の社会が中心の施策が主眼となり、火葬場は後回しにされてきました。

財政状況の悪化や家族形態が変わってきている現在、従来の考えのままでは火葬場未整備の解決は困難になってきていると思われます。

本市の令和5年から令和6年にお亡くなりになった方は953名です。

今後は多死社会に突入し、不可避な死は平等に訪れ増加すると思われます。

また、大規模災害等が身近になってきており、火葬場が未整備なのは深刻な問題と考えます。

令和5年度第2回北名古屋市行政改革推進委員会会議録からの抜粋ですが、行政改革推進委員からも対策の必要性が述べられています。

E委員、(前略)火葬場がないことも本市の課題。

他の市町に行くのは市民の負担になるので、いずれ検討が必要では(後略)、それに対して市長、火葬場に関しては紳士協定の中で豊山町が設置することになっていたが、現実は厳しい。

市内に設置するのも難しいが、大規模災害等への対応を考慮すると検討していかなければならないと述べられています。

そこで、市長として、本市の今後の火葬場の在り方、火葬事務の方向性等々について、過去の議論を踏まえつつ現状分析を行い、検討委員会の設置を考えていただきたい。

重い政治決断をお願いいたします。

 

 市長(太田考則)

どうなった火葬場から検討委員会設置について、お答えをいたします。

代表質問で答弁させていただきましたが、火葬場を有する近隣の自治体に頼らなければならない現状であり、多死社会の到来及び大規模災害等への対応を鑑みると、重要な課題である認識しております。

したがいまして、平時及び災害時における火葬場の利用について、周辺の火葬場を有する自治体と友好的な関係を築くため、地道に情報交換を行いながら広域連携の可能性を模索しておりますが、本市における火葬場の整備の方針も定まっていない中、やみくもに検討委員会を設置するよりも、火葬場を所有する自治体のご苦労や周辺住民の気持ちも推しはかる洞察力を持ちつつ、信頼関係を構築し一歩ずつ進めていくことが大切だと考えておりますので、ご理解を賜りますようお願いいたします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.