神田 薫
文書にて質問させていただきます。
先ずは、この度新型コロナウイルスにてお亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上げます。
また、新型コロナの猛威に対して身命を賭して立ち向かっておられます医療関係者の皆様には感謝しかございません。
本県では、特定警戒都道府県として前代未聞のコロナの猛威にさらされ、「自粛」生活に置かれた市民の間では、先の見えない不安が広がっていました。
子どもたちは憲法第26条義務教育を受けさせる権利を始め諸法で教育保障がされていますが、臨時休校によって、学力・心身の健康等々に大きな不安、やり場のない状況に置かれていることは言うまでもありません。
この状況下、本市の教育行政に携わっておられる皆様には、日々変化するコロナ禍対応の状況変化に走りながらの対策にご尽力頂き感謝申し上げます。
その意味から現時点での検討状況を吉田教育長に質問いたします。
1.学校再開とその後の諸対応について
(1) 学校再開後の登校・授業は分散登校で、ひとつの教室に20名程度と聞き及びますが、教員配置・授業計画、教室環境の見直し等の取組みはどのようになりますか。また、週休2日制は維持するのか等々のお考えをお聞かせ下さい。
(2) 感染症対策・衛生面等怠りない様に取組まれると思いますが給食時は、フェイスシ-ルドの着用が有効ではないでしょうか。お考えをお聞かせ下さい。
(3) 学年・履修主義に重きを置く我が国の教育制度ですので、1学期の学力保障と授業時間数確保は表裏です。不足時間数確保策及び民間プールの活用といった授業計画等の取組についてお聞かせください。また、学校生活の思い出として欠かすことのできない特別な活動、例えば修学旅行や体育祭等について、どのような取組をお考えか伺います。
(4) 1学期の通知表等の評価についての取り扱いをお聞かせ下さい。
(5) 臨時休業期間が長いので、児童生徒への心のケア対策また、いじめ・不登校・虐待等々への取組をお聞かせ下さい。
(6) 日頃からの児童生徒の健康管理対応、また、秋冬にもコロナ禍第2波第3波も予想されるとの重大性に鑑み医療的ケアと医療との連携できる学校看護師設置案をご検討下さい。この機会を逃さず健康教育推進のため是非ともご推進お願いします。
(7) 本市の小中学校の夏休みについてお聞きします。本県内でも夏休みについて江南市案は、7月21日から8月7日・8月24日から31日までの間は平日授業を行い8月8日から23日までの間を夏休みとしています。東三河案は、7月31日まで1学期。2学期は8月17日 給食ありとしています。本市の1学期の終業日、登校日、夏休み期間等々についてお聞かせください。
(8) 熱中症対策として夏場のエアコン使用は欠かせないものですが、感染症対策との兼ね合いについてどのようにお考えでしょうか。万が一に備え、エアロゾル化による感染についてもご配慮いただきたいのですが、お考えをお聞かせください。
2.ICT利用教育の早期推進について
コロナ禍にさらされて「自粛」生活に置かれた中、臨時休校措置に伴う家庭学習、学力を心配する声に対し、報道等で話題になったのがICT利用教育です。
家庭学習、学力を心配する声に、各地で紙教材、テレビ放送、教育委作成動画、デジタル教材、双方向型オンライン指導等々千差万別の対応がなされてきたと思います。
文科省もギガ構想を打ち出していますが、この機会を逃すことのないようにしていただきたい。また、これは教育史の中で約150年の大転換です。
本市でも補正を組んだICT利用教育の更なる推進をお願いします。中でも、教育委作成動画等で名芸大との連携は図れないものかと考えていますがお聞かせください。
3.9月新学期について
当面の学力保障の確保と授業不足時間数確保を解決した上での学校制度改革ですが、今、文科省でも大変重い課題が議論され始められました。
コロナ禍第2波第3波も予想される状況下での「9月新学期」について教育長のお考えをお聞かせ下さい。
教育長
学校再開とその後の諸対応について、お答えいたします。
(1)の教員配置・授業計画・教室環境の見直し等についてですが、学校は5月18日から分散登校により段階的に教育活動を開始しており、6月1日から通常の教員配置で国の示す授業計画・内容に基づく教育活動を開始します。
しかし、通常の授業では、感染症対策を講じてもなお感染リスクが高い学習活動については当分の間行わないようにするなど、指導の順序を入れ替えた計画で行います。
教室環境については、密閉、密集、密接の3つの条件が重ならないようにすることはもちろん、1つ1つの条件が発生しないよう配慮します。
例えば、教室等のこまめな換気を行い、席の配置が対面とならないことや可能な限り距離を開け、児童生徒及び教員等はマスクを装着して学習活動を行います。
なお、健康面への配慮から土曜日の授業は計画しておらず、現時点では週休2日制を維持します。
(2)の給食時のフェイスシールドの着用については、ご指摘のとおり、マスクを外す必要がある給食時に飛沫感染を防ぐため、フェイスシールドを全ての児童生徒に配布できるよう準備を進めています。
(3)の授業計画等の取組みについてです。標準の授業時数は、学校教育法施行規則に規定されています。通常、小学校4年生以上は、年間総授業時数1,015時間を35週以上にわたって行うこととされています。
臨時休業により不足する授業時数を確保するため、夏季休業等を短縮して授業日を設定することにより、標準の授業時数を確保し、なお余裕がある計画となっています。
授業時数の単なる積み上げを目指すのではなく、児童生徒の負担過重にならないよう行事等を精査し、重点化を図り、学びの保障に努めます。
水泳指導については、連続する2年間の中で教えるとされており、本市の児童生徒については、今年度水泳授業を実施しなくても、すでに必要な授業時数及び内容を実施しています。
通常6月中旬頃から水泳授業を始めますが、必要となる感染症対策を十分に講じることが難しいと判断し中止としました。
なお、民間プールの活用については、今後の感染拡大の状況や安全対策を含めた運営状況により判断してまいります。
運動会や文化祭、修学旅行等の学校教育ならではの各種行事については、児童生徒の健やかな学びを保障するとともに心情等にも十分に配慮し、新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ、実施方法・実施時期を延期・中止を含めて適切に判断してまいります。
(4)の1学期の通知表等の評価については、夏休みの短縮等により授業時数が確保できたことから、通常の評価を行います。
(5)の心のケア対策についてですが、臨時休業期間中において、児童生徒の心身の健康状態を把握するため、学級担任が中心となり電話や家庭訪問を行いました。
学校再開後においては、児童生徒が抱えている様々な不安を、学級担任、養護教諭等が中心となり、スクールカウンセラーによる支援も行いながら、学校全体で児童生徒を注意深く観察して状況を把握し的確に対応します。
また、進級等による環境の変化もあり、いじめ・不登校・虐待への対応が求められますが、児童生徒へのアンケートや相談しやすい体制づくりにより心配事等を把握するとともに、日常の変化に注視し、未然防止、早期発見・早期対応を徹底する等、きめ細かく心の健康問題に対応します。
(6)の日頃からの児童生徒の健康管理については、養護教諭が中心となり学校全体で取り組んでいますが、医療的ケアができる看護師を学校に配置することは、より安全で安心な児童生徒の健康管理につながるものと思います。
しかしながら、今年度、医療的ケアが必要となる児童を支援するため、看護師資格を有する方を公募しましたが、社会的に看護師が不足していることもあり、残念ながら応募がありませんでした。
また、看護師の不足は継続すると考えられるため、今後においても配置が難しいと考えています。しかし、努力してまいります。
(7)の夏休みについては、7月21日から8月7日までの土曜日、日曜日、祝日を除く12日間授業を行い、8月7日を1学期終業式とします。
さらに、8月24日を2学期始業式とし、8月31日までの土曜日、日曜日を除く6日間について授業を行い、この授業を行う全ての日に給食を提供します。
なお、冬休みにつきましても、12月24日・25日と1月5日・6日の4日間について授業日とします。
(8)のエアコンの使用と熱中症対策の兼ね合いについてですが、これから暑くなる時期においては、教室のエアコンを十分に活用するとともに、感染症対策として、こまめな換気を行います。
エアロゾルを介しての感染については、国内の感染状況からは空気感染に特徴的な現象は確認されていないとの報告もありますが、今後も専門家から示される新型コロナウイルス感染症対策に注視し、必要となる対策に努めてまいりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
教育長
ICT利用教育の早期推進についてお答えします。
国では、GIGAスクール構想を前倒し、令和5年度までに整備予定であった児童生徒1人1台の端末整備を加速し、学校の臨時休業等緊急時にも学びを保障できる環境を実現していくことが示されました。
本市においても、この国の動きに合わせ整備を進めてまいります。
さらに、国の新たな補助事業として、緊急時に家庭でオンライン学習ができるよう、通信機器の環境が整っていない家庭にモバイルルータを貸与する方針が示されました。
本市においても、国の支援を活用し、全ての児童生徒がオンライン学習に取り組めるよう学習環境を整えてまいります。
なお、配信動画を作成するにあたり名古屋芸術大学と連携することについては、同大学が持つ知見及びノウハウを必要に応じて活用してまいりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
教育長
コロナ禍第2波第3波も予想される状況下での「9月新学期」についての考え方についてお答えいたします。
これは、児童生徒が2か月に及ぶ臨時休業により、学ぶべき内容が十分に学習できていないので、改めて9月から新学期をスタートすることとすれば、しっかりと学ぶことができ、遅れを取り戻すことができるというものです。
このことについては先にお答えしたように、本市においては、長期休業の短縮、学校行事の精選等を行い必要な授業時数を確保できています。
一方、政府におきましては、一斉実施と段階的実施の2つのパターンを仮想設定し、課題整理のための意見交換に着手し、早急に論点を整理し方向性を示すとしています。
いずれにしましても、各方面で積極的に議論されていますが、9月入学は、児童生徒はもちろん、社会全体に大きな影響を及ぼすものでありますので、感染症の流行の状況及び学校の状況を見極めつつ、今回の議論や結論も含めて様々な選択肢を検討し用意しておくのが重要なことであります。
拙速な議論、結論は避けるべきと考えています。ご理解賜りますようお願い申し上げます。