■開催日程:令和元年10月8日(火)~10月10日(木)
■視察訪問先:10月8日(千歳市)、10月9日(富良野市、美唄市)、10月10日(旭川市)
●10月8日(火)午後:千歳市防災学習交流施設 【千歳市】
1.目的
防災学習交流施設の機能と役割を視察
2.総括
市内に自衛隊駐屯地を有するため、建設事業費の財源は防衛省所管の民生安定化事業を活用し国庫補助率は75%である。また広大な敷地を有するのは北海道ならではであり、同様の施設を北名古屋市に望むことは困難と思われる。但し、本施設のように市民、ボランティア、防災関係機関が、防災に関して学習・疑似体験・訓練が行える施設が常設されていることは、市民の防災に対する意識向上や防災関係機関に対する理解を深めるのに有効であるため、北名古屋市においても、市民が利用する公共施設のエントランス等を利用して、身近な防災に関して常設ブースを設置することは検討する必要があると感じた。
3.千歳市における防災・減災の構想
4.施設について
1)目的
平時は市民や防災関係機関の防災力の向上を目的とし、災害時には災害対策の拠点として使用する
2)施設概要
総面積8.4haで、A~Cの3つのゾーンからなる。
・Aゾーン:災害備蓄倉庫を兼ねた各種訓練施設、ヘリポート、駐車場、災害を疑似体験できる施設「そなえーる」
・Bゾーン:雨水調整池と消火体験や救出体験を通して自助・共助を学べる広場
・Cゾーン:野営生活訓練広場、調整池を兼ねた多目的広場、河川災害訓練広場、土のう訓練広場など
3)事業内容
市民の防災意識を高めるため、千歳市総合防災訓練や町内会・自主防災組織等による消火・救出等の 防災訓練、救急救命率向上への救急講習会、市民を対象とした千歳市民防災講座や町内会、自主防災組織および事業所等を対象とした防災関連講座や防災イベント等を行う。
4)今後の課題
単なる展示・体験施設としての利用だけでなく、防災学習や防災訓練などに多くの市民に参加して頂き、自主防災組織や防災関係団体などと連携できる体制づくりが必要である。また館内の展示物や体験設備等の更新に伴う多額な経費の予算確保も大きな課題となっている。
●10月9日(水)午前:富良野市役所、フラノマルシェ 【富良野市】
1.目的
中心市街地活性化基本計画について視察
2.総括
フラノマルシェはTVドラマで名前が全国区になった富良野ブランドを活かして、市民発案の行動力によって誕生した 民間施設である。市道を含めた区画内全ての再開発を「TMOまちづくり会社」が主導で行い、「まちづくり会社」が 稼げるまちづくりを行ったことが成功のポイントであったと考えられる。但し富良野市の場合は、まちづくり会社を立ち上げる際に、資金面も含めて民間の強力なリーダーが現れたことがとても重要なポイントであり、他のTMO成功事例である丸亀商店街を見ても同様である。北名古屋市においても、西春駅や徳重名古屋芸大駅周辺の再開発が今後の課題になってくると思われるが、このような強力なリーダーを如何に発掘するかが成功の鍵となりそうだ。
3.新中活法に基づいたまちづくり会社による事業展開について
1)経緯 広域でのセンター病院となっていた北海道社会事業協会富良野病院が中心市街地から移転するに伴い、約2000坪の空き地や未利用地が大量発生するだけでなく、まちなか居住人口の減少・商店街も衰退が発生し、中心市街地の魅力が喪失する危険に陥ったため
2)事業概要
公的性格を有するまちづくり会社が、国の補助金や制度資金の受け皿となり、事業主体となってまちづくりを 推進するとともに、まちづくりを持続可能なものとするためには、事業推進母体が収益性を上げることが必須条件 であるため、まつづくり会社は複合施設のオーナーとなり、賃貸収入や売上げマージン収入などで収益を上げながら、中心市街地の活性化事業に再投資、中心市街地活性化に向けた開発事業を行政との協働で行う。
地元経営者等を中心とした「まちづくり会社」主導により、まちづくりの構想実現に向け、官民連携でエリアマネジメント的かつ戦略的な連鎖まちづくりをハード・ソフトの両面で展開
・フラノマルシェ事業
集客を施設内に留まらせず、周辺に誘導するような仕掛け(飲食の運営形態はテイクアウトを基本とし、その付近にガイド機能を設置等)
・ネープルタウン事業
フラノマルシェにより地域ポテンシャルの底上げを図りつつ、既存の商業施設再配置(マルシェ2・個人商店)、医療福祉(病院・保育園・高齢者支援施設)の集約、まちなか居住性の促進
・フラノコンシェルジュ事業
コンバージョンにより新たな情報発信とおもてなしの戦略的拠点を創出
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●10月9日(水)午後:美唄市役所 【美唄市】
1.目的
グリーン・ルネサンス推進事業について視察
2.総括
基幹産業が農業である美唄市は、『農業や食を通して地域を再生しよう!』という意味を込めグリーン・ルネサンス事業を平成22年より開始し、幼稚園から高等学校まで一貫した教育プログラムを、教育のフィールドに地域を活用し、地域の住民や各種団体と共に作り上げることで『地域力の向上』につなげている。北名古屋市においては、コミュニティスクール(CS)を中心に地域と学校との連携を深めているところではあるが、現時点では小学校⇔地域、中学校⇔地域といったように単発で終わってしまい、地域への理解や愛着の醸成も結実しづらいと思われる。今後は小学校から中学校(高校)まで一貫したテーマでの教育プログラムを検討する必要があると感じた。
3.グリーンルネサンス推進事業について
1)経緯
人口減少・少子高齢化・食生活のみだれ・不登校などにより、より一層厳しい社会環境や希薄な人間関係を生んでしまう現状を打破するには「教育力」を高めることが必要であり、美唄のめぐまれた教育資源を活用した農業体験学習を始めた。
2)事業概要
コンセプトは『子供達とともに・地域住民が自ら学ぶ・地域に根差し暮らしに学ぶ』。
●10月10日(木)午前~午後:旭川市役所・北彩都あさひかわ 【旭川市】
1.目的
北彩都あさひかわ整備事業について視察
2.総括
総事業期間25年・総事業費1079.5億円の大規模整備事業であるが、本事業が成功した要因を、1専門家をアドバイザーに置いたこと、2国・北海道・JR・旭川市が一堂に顔を突き合わせて会議の中で調整しながら進めたことと 当局から説明を頂いた。北名古屋市においては、今後本格的に名鉄犬山線の鉄道高架事業および徳重・名古屋芸大前駅の区画整理事業を具体的に検討を進めるにあたり、今回旭川市から得た情報を有効に活用し当局へ提案をしいく。
3.北彩都あさひかわ整備事業について
1)経緯
都心部の衰退・市街地の北に偏った発展・鉄道による交通の阻害・混雑解消のための橋りょう整備など、旭川市を取り巻く課題が山積しており、旭川発展のための新しい都市機能を導入する必要があった。
2)事業概要
・鉄道の高架と、忠別川を横断する南北道路の整備
都心を南に拡大していくため、鉄道を高架にして忠別川を渡る南北道路を整備
・旭川市発展のための新しい機能の導入
平和通買物公園などの既存の都心部との役割分担を明確にして、「北彩都あさひかわ」には行政施設や公益施設などを導入
・忠別川の環境を活かした新たな都心づくり
地区の整備では、隣接する忠別川の自然空間と一体となり、川の空間を現在の都心にまで引き込むような自然環境を活かした街づくり
・賑わいを創出する都心づくり
歩行者や自動率の高い利便性を確保して、冬でも人々が訪れやすい街づくり
上記4つの整備方針のもと、北彩都あさひかわ整備事業は実施された。
①土地区画整理事業
駅周辺に広がる旧国鉄用地を有効活用し、都心機能の充実・強化を図るとともに、河川空間などの自然と調和した市街地を形成することを目的として、宅地整備や公園・道路の整備を行う。
・事業期間:平成8年度~平成31年度
・面積 :86.2ヘクタール
・総事業費:約210億円
・概要 :都市計画道路8路線、地区公園1ヶ所、街区公園4か所、駅前広場の整備、減歩率43.4%
②鉄道高架事業
総合的な面開発を行う土地区画整理事業と一体に施行することで、円滑な道路交通ネットワークの形成を図るとともに、これまで鉄道や河川により分断されていた都心地区と神楽地区との一体化を可能にする。
・事業期間:平成10年度~平成23年度
・総事業費:約596億円
・概要 :JR旭川運転所の移転、旭川駅を中心とした約3.5kmの高架、旭川駅舎
③橋梁整備事業
円滑な都心交通の確保や既存の都心部と隣接する神楽地区との一体化を目的に、新神楽橋、氷点橋、クリスタル橋の3本の橋を整備。また神楽橋を保存活用し神楽岡公園と宮前公園とを結ぶ歩行者橋と利用する。
・完成年度:平成15年度~平成25年度
・総事業費:約204億円
・概要 :新神楽橋(新規)、氷点橋・北彩都橋(新規)、クリスタル橋(新規)、神楽橋(改修)
④河川空間整備
忠別川の自然環境を極力維持しながら活用し、まちと川が一体となった旭川らしい都心部を形成する。
・事業期間:平成10年度~平成26年度 ・概要 :
【忠別川の左岸整備】…川のうねりを緩傾斜化した堤防や遊歩道など必要最小限の構成により整備
【忠別川の右岸整備】…階段状の護岸整備、霞堤を活用した人造池の整備
⑤シビックコア整備
拠点都市として行政機能の集積を高め、その利便性と魅力による関連サービス産業の立地誘導、業務拠点地区 の形成を図り都心部の活性化
⑥あさひかわ北彩都ガーデン
旭川駅に隣接した空間に、自然が広がるすばらしい環境を活かした市民や来訪者に親しまれるガーデニング整備。
以上