10月2日・3日・4日で、沖縄県宮古島エコアイランド政策全般について、那覇市・南風原クリーンセンターへ、行政視察にいってきました。
宮古島市では、エコパーク宮古にて、エコアイランド宮古島(いつまでも住み続けられる豊かな島持続可能な島づくり)の取り組みについて、宮古島市企画政策部エコアイランド推進課の方から、宮古島市の概要説明を受けました。
宮古島は四方を海に囲まれた隆起珊瑚礁からなる平坦な島で、大きな河川等は無く、台風や干ばつを受けやすい厳しい自然環境にある。宮古島は、一部を除き降った雨のほとんどが海へ流れる地形にある。又主な産業については、農林水産業と観光業であり、農業は基幹作物であるサトウキビの他、葉たばこ、マンゴーなどの果樹栽培、野菜ではゴーヤ、かぼちゃ、とうがんなどの栽培が盛んで、さとうきびと葉たばこについては国内屈指の生産高を誇っています。水産業については、カツオ、マグロなどの魚類漁に加え、クルマエビやモズク、海ぶどうの養殖が盛んに行われている。その他地場産業については、泡盛の製造やミネラル豊富な地下水でつくる製塩業などがあります。そうした厳しい自然環境にある宮古島は、過去に干ばつなどによる大打撃を受けてきたことから、豊富な地下水を利用することによる水無し農業からの脱却を目指し、透水性の高い琉球石灰岩(スポンジの様な地層)の地下に止水壁で貯水ダムを建設し、水源開発を実施ししたことにより、現在の様な農産物の安定した生産ができる様になった。
宮古島次世代エネルギーパーク構想図
調査・視察内容
1 バイオエタノール実証設備の視察(1日目、宮古島市)
2 市街地型エコハウス視察(2日目、宮古島市)
3 メガソーラー施設視察(2日目、宮古島市)
4 地下ダム資料館視察(2日目、宮古島市)
5 資源リサイクルセンター視察(2日目、宮古島市)
6 クリーンセンター視察(2日目、宮古島市)
7 那覇市・南風原クリーンセンター視察(3日目、那覇市)
視察内容について
1 バイオエタノール実証設備の視察
宮古島市の取り組み(現在実証は終了しています)
宮古島は、沖縄県でも有数のサトウキビ生産地です。市では、サトウキビ産業を支援しながら、製糖工程の副産物である糖蜜を利用して、エタノール燃料を作り、E3燃料として島内消費を進める事業を展開しています。さらに、蒸留や発酵の過程で発生する残渣液は、有機肥料や飼料として還元。農産物の増産と化学肥料の減少をはかるとともに、宮古島の地下ダムの水源を守るため自然循環型システムを取り入れている。
バイオエタノール施設を視察
2 市街地型エコハウス視察
エコハウスとは
地域の気候風土や敷地の条件、住まい方に応じて、自然エネルギーが最大限に生かされ、身近に手に入る地域の材料を使うなど、環境に負担をかけない方法で建てられ、住まい手にも快適な住宅のことです。
強い日差しや台風による暴風から身を守る壁
通気性の良い格子窓
3 メガソーラー施設視察
概要
4,0000kwの太陽光発電と4,000kwのナトリウム硫黄電池(NAS電池)で、系統規模の小さな離島の独立型系統へ太陽光発電設備を大量導入した場合の実系統へ与える影響を把握するとともに、太陽光発電と蓄電池の運用データを解析しながら、系統安定化対策に関する実証研究に取り組んでいる。
再生可能エネルギーの平準化
不安定な風力や太陽光発電による電力をいったんナトリウム硫黄電池(NAS電池)に蓄えることで変動を吸収し系統の安定に寄与する。
メガソーラー展望台
持続可能な地域エネルギー対策として、沖縄電力により太陽光発電、蓄電池を設置し、再生可能エネルギーによる変動に対する安定化対策の実証を実施している。
4 地下ダム資料館視察
概要
宮古島地下ダム資料館では、世界で初めての大型地下ダムの建設技術や構造、地下水のメカニズムを映像やナレーションで、わかりやすく解説している。
地下ダムとは
地中に水を通さない壁(止水壁)をつくって、地下水の流れをせき止め地下水を貯める施設のこと。
地下ダムの必要性
宮古島は、河川がなく農業用水の確保が困難で不安定な営農のため、地下水を利用する地下ダムを建設した
地下ダム及び用水路図
水位観測施設
宮古島の地層ができるまで
地下ダム
掘削機
琉球石灰岩
5 資源リサイクルセンター視察
概要
資源リサイクルセンターは、「家畜の糞尿、生ゴミ、剪定枝等を堆肥化して農地に還元し、知力の向上環境改善を図り農産物の品質向上や食の安全に資するとともに、地下水の保全、環境改善を図る」を事業目的として建設された。
微生物の力を利用し、高温で発酵させ堆肥を製造している。
視察時は、台風24号により被害をうけ倒木した樹木の搬入が多かった
6 クリーンセンター視察
安全で安心な環境に優しい施設
・運転の自動化、燃焼温度の連続監視により、適正な処理を行います。
・焼却炉から発生する排ガスは、万全な大気汚染防止対策を施すことで、環境負荷低減を実現
します。
・焼却処理により発生する熱を回収し、焼却処理のための燃焼用空気および施設内温水利用と
して有効利用します。
・太陽光発電設備の導入により、自然エネルギーを活用し、地球温暖化防止に寄与します。
ゴミ焼却の流れ
施設概要
敷地面積:26,300㎡
建築面積:クリーンセンター 2,520㎡
管理棟 583㎡
処理方式:ストーカ方式
処理能力:63t/日(31.5t /16h×2戸)
7 那覇市・南風原クリーンセンター視察
3日目に予定をしておりましたクリーンセンターの視察ですが、台風接近に伴い視察を中止しました。環境施設組合の皆様におかれましては、事前準備をしていただき訪問することができませんでした、大変申し訳ありませんでした。
視察を終えて
今回、エコアイランド宮古島の取り組みについて視察をしてきました。宮古島がなぜエコアイランドなのかと質問をすると、宮古島市は、大きな川がなく、飲料水や農業用水など、生活に利用する水を全て地下水に頼っている。「命の水」という言葉があるように、人々は昔から水の重要性を理解しており、環境に向き合わなければならかった最も大きな理由である。近年、社会資本整備やライフラインの変化などにより、生活は豊かで便利になったが、地下水汚染や海洋汚染など環境への影響が現れ始めたことから、自然環境を保全する必要性が高まってきた、また、離島県である沖縄県のさらに離島に位置する宮古島では、食料やエネルギー資源を島外依存のため、地産地消による資源循環が必要とされ、国・沖縄県によるさまざまな実証事業を行い、その中で島全体をエネルギーパークとして位置付け、環境モデル都市として、地下水を守り、美しい珊瑚礁の海を守り、限りある資源とエネルギーを大切にした、いつまでも住み続けられる豊かな島としました、ある意味宮古島特有な地形をうまく生かした政策であると感じました。
北名古屋市においても、近くには大きな河川・ダム湖からの水の供給がありますが、数年前の夏場に、雨が降らず渇水により各施設で節水を呼びかけたこともあり、命の水という意味がよく理解できました。
ゴミの焼却灰についても、埋立地の確保が難しいため、ゴミの減量化が求められています。北名古屋市でも、ゴミの減量化に取り組んでおり、今後も取り組んでいきます。また、宮古島市の取り組みについては、応援していきたいです。
台風接近に伴い一部視察ができなかったことは残念に思いますが、沖縄の台風の威力を肌で感じました。4日午前より風が強くなり、モノレールおよび各施設は閉館されました。夕方には最接近しホテルも揺れました。北名古屋市は内陸の方で海からの風は弱くなっていますが、沖縄は海の風が直接であり吹き返しも接近時と同じ様でした。1日中外には出られませんでしたが、貴重な経験をさせていただきました。これを北名古屋市の防災に役立つ様提言していきます。