熊澤真澄
認知症施策の現状と対応について伺います。
日本の認知症の高齢者は2012年で462万人、2025年には約700万人に達すると推計されており、65歳以上の高齢者の5分の1に該当すると言われています。
認知症の人は社会生活上様々な障害を抱えていますが、金融資産の管理、詐欺被害の防止も重要な課題の一つとなっており、安全・安心な暮らしを脅かされる場合があります。
認知症が進行し、時間がたつほど意思の確認が難しくなり、家族の介護力など周辺の状況も変化します。家族、地域、行政がどんなことに気づき、支えていくことができるか、まだまだ考えなければいけないことが多くあります。
近年、評価されている日本の取組の一つは、認知症についての啓発です。
厚生労働省が2005年から、認知症を知り地域をつくるキャンペーンを認知症サポーターキャラバンと名づけ、認知症サポーターの養成に取り組み、2015年からは「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者にやさしい地域づくりに向けて~」新オレンジプランの下、推進してきました。
2018年12月には認知症施策推進大綱をまとめ、大綱に沿った施策を着実に実施していくことにしています。
認知症サポーターの養成は、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域や職域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする人を増やそうという試みです。
90分ほどの認知症サポーター養成講座を受講すると、オレンジリングを受け取ることができ、これを手につけることで認知症への理解を示しながら支援に参加する人を増やすことを目指しています。
こうした認知症に対して正しい知識を持ち、地域とともに、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができるまちとして本市も様々な取組がなされていると承知しております。
認知症の方の介護は、家族も支援している職員も大変であります。
実際に介護されている方から話を伺うと、初めはだんだんと会話がなくなり、進行するにつれ昼と夜が逆転し夜中に徘回されるなど、家族は24時間365日介護を行う必要があり大変だそうです。
しかし、30年前の頃から比較しますと今は介護保険が行き届き、家族への支援もあり助かっていると感じているとのことでした。
認知症高齢者が急激に増加していく中、私は今行われている現状の介護サービス、家族への支援等が今後も維持できるのか、介護スタッフが足りるのか、危惧するところであります。
そこで質問させていただきます。
1つ目は、認知症施策全般の現状と対応についてお聞かせください。
2つ目は、認知症を抱える家族への支援等、取組についてお聞かせください。
3つ目は、認知症の方が可能な限り住み慣れた地域で生活を続けていくための対策及び対応についてお聞かせください。
4つ目は、今後増えてくる認知症の高齢者に対して、今行われている介護サービスを維持するための介護職員数等を含めて、対策があればお聞かせください。
以上、4点を質問させていただきます。
福祉部次長兼高齢福祉課長(青山美枝)
認知症施策の現状と対応について、お答えいたします。
1つ目の認知症施策全般の現状と対応についてですが、認知症の理解を広める活動である認知症サポーター養成講座が国の施策として推進されており、本市でも10年以上にわたり取り組んでおります。
講座の対象は、一般市民だけでなく市役所職員や民間企業、また小学校でも開催し、幅広い世代への啓発を行っており、現在、市内の認知症サポーター数は令和2年11月末累計で1万4,925人となっています。
講演会の開催も続けており、認知症の知識とともに見守りや支え合いの意識啓発を進めております。
また、回想法をはじめ高齢者サロン、地域での体操教室やコグニサイズなど社会的な交流や運動、脳を働かせる活動などを支援し予防活動も推進しております。
2つ目のご質問の認知症を抱える家族への支援等取組についてですが、「ほっとひといきリフレッシュ」を毎月開催しております。
この事業は、介護者家族のリフレッシュや交流、情報交換を主な目的としており、各地域包括支援センターや特別養護老人ホームとも協働して開催しております。
また、認知機能の低下が見られるもののかかりつけ医がいない方、受診を拒否している方などには、認知症初期集中支援チームにより専門医による診察や専門職からの適切な支援を受けられるようにしております。
徘回を心配する家族にはGPSを貸出しする事業や、基本情報の登録により警察と情報共有する仕組みがありますし、万が一の事故の補償のため、今年度から個人賠償責任保険の加入制度を開始するなど多方面での支援を行っております。
続いて、3つ目の認知症の方が可能な限り住み慣れた地域で生活を続けていくための対策及び対応についてですが、さきにも述べました認知症サポーター養成による市民啓発とともに、民生委員、児童委員をはじめとする地域見守り活動や、金融機関等の企業との見守り協定の締結により、認知症が疑われる方の早期把握や早期支援につなげる体制の整備を進めております。
4つ目の今後増えてくる認知症高齢者に対して、今行われている介護サービスを維持するための対策ですが、介護職員の人材不足に対する対策は一自治体ではなかなか解決が難しく、厚生労働省が実施している人材確保のための対策に協力をしていきます。
認知症の介護は軽度の時期から期間が長く、認知症の本人や家族の状況を十分に把握し、適切な時期の相談支援や地域の見守り等の地域づくりが必要です。それらを担う主軸は地域包括支援センターです。
今後、生活圏域を分け、市内の身近な場所で相談ができる体制づくりを進める予定です。
ご理解賜りますよう、よろしくお願いいたします。
熊澤真澄
ありがとうございました。
先ほどの答弁で、認知症の方への様々な支援として介護者、家族へのサポート、また地域での認知症が疑われる方の早期把握、早期支援など見守り活動、また社会的な交流や運動、脳を働かせ認知症の予防活動も行っておられ、私も大変頼もしく感謝申します。
それらを担当する主軸が地域包括支援センターであり、今後、生活圏域を分け、市内の身近な場所で相談ができる体制づくりを進めるとの答弁がありました。
私も認知症の方、介護者家族が信頼して相談できる支援センターの役割は大きいと感じています。
そこでお聞きします。
今後増えるであろう認知症の高齢者に対して、現状の地域包括支援センターの職員数でサービスを維持できるのか。
また、身近なところで相談ができる体制として、職員、相談場所を増やされるかなど見守り等の地域づくりを踏まえた上で、長期計画等具体的な考えがあればお聞かせください。
福祉部次長兼高齢福祉課長(青山美枝)
今議員がおっしゃられるように、認知症も含めた高齢者が増加する中で、4年ほど前から地域包括ケアシステムの構築が地域で急務となっていると盛んに言われるようになっております。
このケアシステムは、ご存じかと思いますが、高齢者が介護状態になっても地域で最後まで暮らせる体制づくりということで、医療と介護、それから住まいとか保険、生活支援などが一体的に確保されるシステムなんですが、これを担っているのが地域包括支援センターになります。
施設整備も同時に進めなければいけないですが、地域包括の支援センターもいろんな地域の様々なサービスを一体化して整備する、確実にサービスが届くように体制を構築するのとともに、包括支援センターの職員は地域に入り込んでそこの住民の方々と対話をしながら、いわゆるお互いさまの互助の精神の醸成を図るために様々な地域づくりに取り組むという活動もしなければいけません。
実際にやっている状況なのですが、そういう意味でも現在北名古屋市は直営で包括をやっていますが、おっしゃられるようにどんどん認知症高齢者が増えております。
様々な困難な症例も増え、孤独死も特に今年は多くなっている現状がありますので、今の職員だけではとても十分な支援が行き届く状況に、今後大丈夫かなという不安がどうしてもございます。
身近な場所で包括支援センターがあり、一緒に地域づくりをしてもらえるという、包括支援センターが身近にあるという状況をやはり必要かと思っておりますので、今後、財政のこともありますので、財政当局と相談をしつつ進めてまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りますようお願いいたします。