渡邊幸子
早いもので東日本大震災から5年、被災地では復旧・復興工事が進められておりますが、いまだ不自由な生活をされておられる方々も見え、一日も早い安心な暮らしが戻ることを願うばかりです。
先日、市長の平成28年度施政方針でも述べられましたが、本市は今月20日、市制施行10周年という節目を迎え、「健康快適都市~誰もが安全・安心に暮らせるまち~」をスローガンに歩んできました。人口も10年で約5,700人の増加で、28年度中には人口8万5,000人を突破するのではないかと思われます。
平成25年、全国では国民の4人に1人が高齢者となるなど、日本は世界でトップクラスの高齢化率となっています。本市でも例外ではなく、高齢者人口は年々増加してきています。合併当初は20%以下であった高齢化率ですが、平成28年2月現在、総人口8万4,411人、65歳以上の人口1万9,895人で高齢化率は23.6%と、毎年約0.3%ほどふえております。
そんな中、平成25年における刑法犯に係る高齢者(65歳以上)の被害件数は13万7,847件、刑法犯被害件数に占める高齢者の割合は13.1%となっています。高齢者の被害件数を主罰種別に見ると、窃盗が71.0%で最も多く、詐欺8.5%、暴行1.6%、傷害1.5%、強盗0.3%となっています。また、高齢者が被害者となる割合の高い罪種について見ると、詐欺45.6%、殺人30.1%が全刑法犯罪被害件数に占める高齢者の割合より高くなっています。
高齢者の被害に遭う割合の高い場所は、窃盗及び詐欺などについては一戸建て住宅です。少子・高齢化社会は地域コミュニティーの低下を招き、隣人の顔が見えないというコミュニティーの希薄な地域社会ができており、それが犯罪者にとって狙いやすい環境となっています。
特殊詐欺とは、振り込め詐欺と、それに類似する詐欺の手口の総称です。平成27年度中の愛知県における被害状況は875件、前年比187件増、被害総額約33億円、前年比約マイナス3億円となって、極めて深刻な状況であるということです。本市においても9件の被害が報告されております。本年も既に3件の被害が起きております。本市は県内でも被害の多い地域となっています。これは届け出があったものの数で、中には誰にも言えず泣き寝入りしている方々も多いと思います。詐欺被害は犯人の電話から始まることが多く、息子や孫への愛情を悪用した卑劣な犯罪です。振り込め詐欺について知っている、知っていたという方々が被害に遭っています。
先月、2月3日節分の日、高田寺で豆まきがあり、県警西枇杷島警察署長、署員の参加で、「鬼は外」のかわりに、にせ電話詐欺被害防止のキャッチフレーズ「俺は誰」と呼びかけ、詐欺を外へ追いやれと豆まきがされました。こうした啓発活動は、警察だけではなく、本市においても出張講座、パンフレット配布などをしておりますが、なかなか効果があらわれていないような状況にあります。
高齢者の危険を考える上でのキーワードは、無防備、無関心、孤独です。子供や孫と同居しない高齢者がふえているなど、昔の大家族時代とは社会環境が大きく変わってきていると思います。特に詐欺被害の根底には、高齢者の多くが現金などの財産をある程度持っており、そしてその管理に関しては、ゼロ金利時代の影響もあり、家でのたんす預金等無防備になっていることもあります。詐欺被害の一部では、判断する情報が少なく、そして何かトラブルに巻き込まれても、相談する人が身近にいないため犯罪被害に遭っているケースが多いのです。高齢者の安全・安心を確保するためには、無防備、無関心、孤独に陥らないようにする必要があり、地域コミュニティーが必要であり、ご近所とのつき合いが不可欠となってきます。地域ぐるみでの防犯意識の高揚や防犯情報の提供が必要です。
そこで、詐欺被害の防止について3点質問いたします。
1.被害の防止に取り組む上で、福祉課と他課との連携はどのようにとっているのでしょうか。
2.各金融機関は被害に遭う直前でとめることのできる最後のとりでとなっております。北名古屋市も高齢者等地域見守り活動の協定を結ぶなど、その連携強化に努めておりますが、より巧妙化してくる詐欺に対し、今後、市として各金融機関にどのような働きかけを行っていくのでしょうか。
3.地域コミュニティーの活性化により詐欺被害の防止の効果も期待できると考えますが、各地域の民生委員や自治会、老人会等の協力のもと、元気な高齢者が高齢者を支えていくなど、新しい仕組みづくりが必要と考えますが、当局のお考えをお聞かせください。
新たな10年に向け、誰もが安全・安心で健康に暮らせるまちづくりのためにも早急に検討をすべきと考えますので、当局の積極的な答弁をお願いいたします。
福祉部次長兼高齢福祉課長(柴田忠利君)
高齢者の詐欺被害に対する安全対策についてお答えいたします。
高齢者の詐欺被害は、メディアでも大きく報道されるにもかかわらず、被害に遭われる方が後を絶ちません。高齢福祉課に寄せられ把握した件数は、今年度2月末時点で未遂を含めて7件情報が寄せられています。直近では、駅にかばんを忘れ、会社の金を弁償しないといけないと泣きついてきた孫の電話にだまされ、実際に数百万円の詐欺に遭ったケースがあります。巧妙に高齢者の心理をついた手口で、理性というより孫がかわいそうという感情でついだまされてしまう傾向が見受けられます。被害の金額も高額であり、老後の生活をも脅かせることになるため、より一層の予防対策が必要と考えております。
1点目の被害の防止に取り組む上で、福祉課と他課との連携はどのようになっているかについてお答えいたします。
消費生活被害担当課である商工農政課とは、ケアマネジャーなど介護関係者、民生委員協議会への周知のためのパンフレット配布や研修会講師としての相談員の派遣、防犯を担当する防災交通課を通じて老人クラブ総会等での西枇杷島警察署員による詐欺被害の講和を依頼するなど関係者への啓発活動を行うとともに、被害の遭ったケースの共有など連携を図っています。
2点目の市として各金融機関にどのように働きかけを行っていくかについてお答えいたします。
金融機関は最後のとりでという点では、まさしくそのとおりだと思います。平成26年度から開始しました市内金融機関との高齢者見守り活動協定は、現在7行と締結しており、年に数件の通報をいただいております。この金融機関との協定を生かし、詐欺被害予防も見守り活動の範囲の中で金融機関にお願いしていくことを考えております。また、警察など関係部署との連携もとりながら進めてまいりたいと思います。
次に、3点目の各地域の民生委員や自治会、老人会などの協力のもと、元気な高齢者が高齢者を支えていく等の新しい仕組みづくりが必要ではないかについてお答えいたします。
現在、高齢福祉課では、被害の一報を受けたときは、その日のうちの高齢者の集まっているデイサービス事業所等にファクスしたり、おたがいさまねっとメールで情報発信するなど、高齢者への周知を行っています。また、民生委員の見守り活動の中で、ひとり暮らしや高齢者世帯が詐欺被害に遭わないよう声かけをしていただいています。
もちろん、これだけでは予防対策としては十分とは言えません。ご提案いただきました元気な高齢者が高齢者を支えていく仕組みづくりとして、老人クラブ連合会や笑楽クラブ、いきいき隊など、介護予防教室の卒後の会などに所属している会員数はおおむね6,000人ほどで、高齢者人口の3分の1に当たります。
そのような元気高齢者の人や民生委員、ケアマネジャーなど高齢者を支えていく人たちとともに、予防対策として、自分だけで判断せず気軽に相談できる仲間をつくる、高齢者の集うサロンや老人クラブ活動などで定期的に詐欺予防について学習するなど、被害防止につながる取り組みを検討してまいりたいと存じますので、ご理解賜りますようよろしくお願いします。
渡邊幸子
答弁いただきました。
最後の私の最大の質問でありました高齢者が高齢者を支えていくことに対して、いろいろな取り組みをしていただいているようでございますけれども、いろんなサロンとか、それからクラブ、そういった形で入る方はいろんな情報が入ってみえると思いますけれども、まだまだ家庭の中で1人で困っている方、誰に相談していいかわからない方に対して、今後どのようにしていったらいいのかということ、1人ひと声かけ運動のようなことがしていただければ、もっと安全に暮らせるまちになるのではないかと思いますけれども、そこの点のところで新たな取り組みができればと思いますけれども、お願いいたします。
福祉部次長兼高齢福祉課長(柴田忠利君)
高齢者、今、うちのほうで老人クラブとか、笑楽とか、いろんな予防教室に出た方々は、うちのほうから情報を流して皆さんそれを把握。ですから、今後そちらの教室のほうに、今の手口ですね、ここ最近、先週2件電話が入ったケースが、西枇杷島警察署の何々だがという切り口で入って、通帳がどうこう、その後に生活センターから電話が入りますと、10分後に、これが2件続けて入りました。
これの情報も高齢福祉課にたまたま先週入りましたので、そういう西枇杷島警察の何々ですよと名乗るパターンが先週2件ありましたので、そういうパターンがあるとか、そういうのをサロンとか皆さんに教えながら、その人たちが地元へ帰って、自分の知っておる知り合いに、今こういう手口がはやっておるよと、喫茶店とかどうこうで話をしていただいて、うちのほうの会員の方が幅広く、日ごろ外に出ない、教室に出ない人たちに、こういう手がはやっているよというのを教えていけるような仕組みにしていきたいなと思っていますので、よろしくお願いします。