1.北名古屋市野外彫刻ロードについて

福岡 福岡 康

北名古屋市野外彫刻の活用について質問します。

北名古屋市の野外彫刻設置事業は、合併前の西春町と名古屋芸術大学の協同により始まりました。

1990年に、名古屋芸術大学西キャンパス前の県道名古屋豊山稲沢線沿いを中心としたアートエリアロードとして彫刻の展示設置が行われました。

1995年には、県道名古屋江南線の線路に沿って展示設置されました。

2006年に師勝町、西春町が合併して北名古屋市となりましたが、野外彫刻展示事業は引き継がれ、2009年には西春駅西側のにぎわい、交流を目的として、モニュメント作品を全国から公募し設置されました。

北名古屋市のホームページには、エリア別に、アートエリアロード20作品、名古屋江南線エリア15作品、西春駅西線エリア9作品、西春駅東エリア9作品、名古屋芸術大学アートスクエア周辺エリア3作品、東庁舎周辺エリア2作品の58作品が紹介されています。

2013年4月には、北名古屋市より名古屋芸術大学へ依頼して「北名古屋市彫刻ガイドブックしむしむ」を作成しています。

「北名古屋市彫刻ガイドブックしむしむ」は、当時の名古屋芸術大学非常勤講師で現在芸術部デザイン領域准教授 片山 浩氏及び学生によって作成されました。

ガイドブック名の一部「しむしむ」とは、彫刻を楽しむ、親しむ、いとおしむの末句「しむ」を取っています。

作品名「春夢」「西の国より」の制作者である神戸峰男氏は名古屋芸術大学名誉教授で、2008年日本芸術院賞を受賞しています。

作品名「浮島の幻想」の市之瀬廣太氏につきましては、1991年に出身地の瑞浪市に市之瀬廣太記念館が開館されました。

作品名「雄叫び」「菩提樹」の石田 清氏は西春町の出身で、中日文化賞を受賞しています。

作品名「語らい」「BALLERINA」「和」の石田武至氏は石田 清氏のご子息で、2001年第33回日展内閣総理大臣賞を受賞しています。

作品名「踏」の吉田鎮雄氏は、1994年日本芸術院賞を受賞しています。

紹介した以外にも著名な彫刻家の作品が展示されています。

「北名古屋市彫刻ガイドブックしむしむ」を活用した事業として、2013年に愛知トリエンナーレ2013のパートナーシップ事業の中で活用され、2014年、2015年には名古屋芸術大学が「北名古屋市彫刻ガイドブックしむしむ」のワークショップを行っています。

愛知県では2007年、54市町村から一般公募して美しい愛知づくり景観資源600選をホームページで公開しています。

北名古屋市の景観資源として、アートエリアロードが紹介されています。

添付されている紹介文は、「芸術の径にふさわしいアート感覚にあふれた親しみのある魅力的な空間。

名古屋芸術大学北側の歩道上約1,500メートルにわたって、芸大講師や学生の手による様々な彫刻やモニュメントが並びます。

春には満開の桜が通行者の目を楽しませてくれます。

アートエリアロードは当時の西春町が整備し、平成3年度に愛知県快適空間賞を受賞しています。

道路沿線には個性的なポケットパークを4か所設置、芸術を身近に触れ合える場として開放しています。

また、電柱、信号機及び照明灯をブラウンに塗装する等、色やデザインについても落ち着いたものを選び、街路全体の景観に配慮しており、北名古屋市の代表的な景観です」と紹介しています。

愛知県快適空間賞受賞から、あれから30年、現在の状況を比較すると寂しさを覚えます。

ちなみに、美しい愛知づくり景観資源600選のうち、愛知県の38市の中で北名古屋市の紹介景観は1件です。

残り37市は3件以上の紹介があり、最多は尾張旭市の39件です。

美しい愛知づくり景観資源600選に北名古屋市に類似した紹介景観を調べたところ、知立市の野外彫刻プロムナードがありました。

内容は、毎年9月から翌年8月までの1年間の展示で作品を入れ替え、野外プロムナード展を開催しています。

出展は、愛知県教育大学、愛知県立芸術大学、名古屋芸術大学、名古屋造形大学などから公募して出展開催しています。

2000年に第1回野外彫刻プロムナード展を開催して、2020年には20周年記念事業を開催しています。

記念事業内容は、出展作品のフォトコンテストの作品展示、小・中学生の出前講座作品展示などを行って1週間で922名の来場者があったとのことです。

展示作品で市民の方から購入希望があったときは、作者と購入希望者の仲介を市が行っているとのことです。

北名古屋市の彫刻展示と知立市の彫刻展示は、展示内容、方法が違うことから比較ができませんが、差を感じざるを得ません。

北名古屋市の彫刻エリアを生かした事業ができないでしょうか。

彫刻清掃ボランティアを募集して年に1回程度の彫刻清掃活動を行うとか、彫刻説明会を定期的に毎年行って北名古屋市の彫刻芸術を広めてはと思いますが、当局のお考えをお聞かせください。

北名古屋市の美しい景観資源は、彫刻・モニュメントのアートエリアロード1か所ではなく、他にもあります。

春には美しい五条川の桜、幻想的なイメージをさせる名古屋芸術大学アートスクエアの夢童由里子氏作、からくり人形「天空の春」、歴史ある47か所の神社、51か所の寺院があります。

8コースの北名古屋市ウオーキングマップが北名古屋市のホームページでも紹介されていますが、行政、団体、法人、企業、小売業、市民が一体となって北名古屋市の景観資源を生かしたまちづくりを図って、市外から人、物、金を呼び込む施策は取れないでしょうか。

当局の前向きな答弁を期待して一般質問を終わります。

 

 総務部企画情報課長(西依勝男)

北名古屋市野外彫刻ロードについて、お答えいたします。

北名古屋市における彫刻等モニュメント設置事業は、合併前の旧西春町時代、平成元年度に始まった景観づくり事業を継承したもので、平成20年3月に策定された第1次北名古屋市総合計画及び北名古屋市モニュメント設置計画に基づき、まちに風格ある文化の薫りを持たせ、魅力ある地域社会の創造を図ることを目的として実施しておりました。

事業発足当初は、バブル時代の好景気を背景とし、地元の大学である名古屋芸術大学の美術学部の全面的なご協力をいただきながら整備を進めておりましたが、特に合併後は長引く不景気の中、彫刻の買取り方式から学生展示スペースでの作品の入替え方式に変更するなど、事業内容の見直しを重ねてまいりました。

同様に、名古屋芸術大学の中でも彫刻作品を制作する学生が減少し、入替え用の学生作品の安定供給ができないことから、第1次総合計画の計画期間の終了に合わせ彫刻等モニュメントに関する事業を終了することとなりました。

議員ご指摘のとおり、北名古屋市の景観資源は彫刻モニュメントだけではございません。

景観の形成に関する事業は、現在縮小傾向となっておりますが、今後の市の財政状況に合わせ市民活動団体や企業の皆様など民間活力の導入を含め様々な景観資源を生かした魅力あるまちづくりについて調査・研究してまいりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

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