桂川将典
初めに、空き家対策についてお尋ねをいたします。
住宅の供給過多と人口減少を背景に、日本では全国的に空き家の増加傾向が続いています。
総務省の調査によると、空き家総数は2013年10月時点で820万戸もあり、20年前の約1.8倍と、年々増加が続いているそうです。また、住宅総数から見て、空き家の割合は13.5%であるとのこと。これは、自宅の玄関から近隣を見回したら、1軒は空き家であるということです。
この空き家ですが、より細分化していきますと、賃貸や売却用、別荘など、資産として価値のある空き家を除いた残り、すなわち放置された空き家が何と318万戸もあるということです。
おおよそ住宅総数の5%に該当いたしますから、町内の20軒に1軒くらいは放置空き家という問題があると言えます。手入れをする人もおらず、雑草がぼーぼーに伸び、割れたガラスや崩れた屋根、外壁が外から見えると。ご自宅のご近所に、そんな空き家があるなあと思い当たる方もおられるのではないでしょうか。
さて、この空き家問題について、空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空き家対策法」)が平成26年11月27日公布され、そして本年、平成27年5月26日に全面施行されました。
さきに述べたとおり、放置状態の空き家は全く手入れがなされておりませんから、治安や防災上の問題が懸念されるわけですが、こうした空き家については、「特定空き家」として市区町村が空き家の所有者に撤去や修繕を勧告、命令できると規定されたものです。ここで勧告を受けた物件は、固定資産税の軽減を受けられなくなります。
また、命令違反には50万以下の過料を科し、強制撤去も可能であるとされています。
これらのことから、この法律の運営を任された自治体の権限は非常に大きく強力なものであることに留意をするべきです。
これまでの固定資産税の軽減が解除されるというだけでなく、私有財産に対する規制という性質ですから、それゆえに、この法律で定められた特定空き家の判断基準の運用は重要な課題であると認識をしております。
法の目的にあるとおり、防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命・身体または財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空き家等の活用を促進するため、北名古屋市での対策については積極的な発想での推進と個々の事情をしんしゃくした慎重な対応を期待するものであります。
北名古屋市における空き家対策について、今どのようなお考えがあるか、次の3点を踏まえてお聞かせいただければと存じます。
1点目、北名古屋市での空き家対策の所管部門はどうなるでしょうか。該当する空き家に対しての助言・指導・勧告の判断については、この所管部門により行われることになるのでしょうか。
2点目、空き家等に関するデータベースの整備等は実施しているのか。また、データベースの整備に当たって、特定空き家と疑わしい物件の情報収集はどのように行うのか。空き家バンクなど、空き家活用促進についても行わなければならないが、これについて何かお考えのところがあるでしょうか。
3点目です。空き家対策法に上げられている空き家等対策計画や対策協議会について、今後どのようにしていくのか。現時点でお考えになっていることはあるでしょうか。
以上、空き家対策についてお尋ねをいたします。
続きまして、防犯カメラの設置と貸し出しについてお尋ねをいたします。
北名古屋市では、空き巣、自動車の盗難や車上荒らしなどの事件が多いと言われております。犯罪被害を未然に防ぐ目的での防犯カメラの設置に対して、北名古屋市として自治会を対象とする固定式防犯カメラの設置費補助金が定められ、本年予算化されております。
1つ目、防犯カメラの設置補助金について、設置場所の選定方法をお聞かせください。
2つ目、防犯カメラを設置した場合の行政と自治会の費用及びその分担について例示してください。
このたび愛知県では、「あいちビジョン2020」に掲げられた「犯罪がなく安心して暮らせる地域社会の実現」を目的とし、地域の防犯力の向上のため、地域の目となって活動する自主防犯団体の活発化を想定した事業メニューの一つに、防犯カメラの貸し出しが組み込まれました。
この防犯カメラの貸し出しというのは、画期的なアイデアであると考え、情報収集を行いました。防犯カメラを貸し出すに当たっては、その設置場所への固定や電源並びに通信手段の確保といった問題がありましたが、実際には非常に簡易な小型の可搬式防犯カメラを活用することで、数万円程度でも効果を上げることも可能であるということがわかってきました。
固定式防犯カメラの設置に当たっては、ポールを立てたり電源を確保せねばならないことから、どうしても設置場所の確保と設置工事費がかさんでしまいます。それと比較して可搬式防犯カメラの場合は、電池式のものなど設置に係る条件が簡便なものとなり得ること、またその機材が低価格なことから、自治会もしくは町内会でも賄うことが十分にできる程度の費用負担で運用が可能であると考えております。
これまでに北名古屋市長からの表彰を受けられた実績のある取扱店で見積もりをいただいたところ、月額1万円以下の費用負担で機材レンタルも可能であるということもわかりました。
また、これまでに可搬式防犯カメラを活用した近隣市町に所在する自治会などでの活用事例から、このカメラの運用によって高い抑止効果を出しているとの実績もありました。
さて、少し話は変わりますが、市内の幾つかの場所で、いつまでたってもごみの不法投棄がやまない、何とかしてほしいという相談をいただいております。
これまでにも、「〔警告〕不法投棄巡視区域」「不法投棄禁止!」といった看板を設置し、啓発する取り組みなどを行っていただきましたが、その看板に目の前に捨てられているといったことまで起きている状態です。
3点目、現在、ごみの不法投棄への対応はどうなっていますか。
北名古屋市に見られるごみの不法投棄は、規模も個人的な荷物程度の分量であり、新聞をにぎわすようなトラックで何杯分の産廃といった大きな事件ではありません。だからこそ警察も重大犯罪として捜査をされるわけではありません。警察へ通報したから、これで終わりというわけではないということを職員の皆さんもよくよくご承知のことと考えております。
だからこそ、このごみの不法投棄問題は、周辺住民、そして町内会の役員さんの頭を延々と悩まし続ける非常に厄介な問題であると考えております。
以上、質問を終わります。ご答弁をよろしくお願いします。
統括参事(岩越雅夫君)
空き家対策の推進についてお答えをいたします。
ご質問にございますとおり、人口減少や核家族化の進展に伴い、空き家は増加傾向にあります。私自身も以前から、ごみ屋敷や空き家問題について相談を受けており、空き家は放置され老朽化することにより、周辺地域に防災・防犯、衛生、景観面において悪影響を与え、地域全体の不動産価値の低下や、土地や建物が有効に活用されない結果として地域活力全般が低下することが懸念されているところでございます。
1点目のご質問でございますが、本市においては本年度、地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金を活用し、いわゆる地方創生関連の交付金でございますが、経営企画課におきまして、市内にある空き家の実態調査を行います。この調査により、市内における空き家の大まかな数、場所、分布状況を把握し、現地確認を行って、該当する空き家の状況調査を行います。これらの調査結果を踏まえ、該当する空き家に対する助言・指導・勧告の判断を、防災・防犯、衛生、景観、税務の観点から状況に適した部署を指定し、対策を講じていく考えでございます。
2点目のご質問でございますが、今回の空き家の実態調査とあわせ、法のガイドラインに沿って空き家のデータベースを整備してまいります。現状では市内の空き家の実態が把握できていないため、データベースの整備を進めることにより、市内にどのような空き家が存在し、所有者の方や地域の方のお話を聞きながら、個々の空き家に合った対策や有効利活用について関係部署と検討してまいります。
3点目のご質問でございますが、空家等対策の推進に関する特別措置法では、市町村の責務として、空き家等対策計画の策定や、この計画に関する協議を行うための協議会を組織することができるとした、いわゆるできる規定となっておりますが、人口がふえている本市にあっても、諸事情により放置された空き家があり、今後、市内にも空き家がふえることは予想されますので、空き家対策計画の策定及び対策協議会の設置についても考えてまいりますので、ご理解をいただきたいと存じます。
桂川将典
ご答弁いただきまして、ありがとうございました。
まず、所管部門については、これから空き家の状況を見ながら判断していかれるというように受けとめました。
2点目の空き家等に関するデータベースの整備について、今、ご答弁いただきましたけれども、ちょっと詳しくお尋ねをいたしたいと思います。
今現状、空き家や空き地について、これから調査を行っていくということなんですが、今後、空き家・空き地についての活用のために、今ある資産、固定資産、空き家・空き地の情報の公平な形で流動化を進めるために、市内の不動産企業などを通じて積極的に推していっていただきたい、情報発信をしていっていただきたいと考えております。
すなわち、今までこの北名古屋市というところ、名古屋市から近く、利便性もよく、住宅を欲しい、あるいは事業をそこで行いたいとおっしゃっていただける方が多いところでございますから、こうしたデータベースの整備を行うに当たって、それを通じた情報発信というものを今後ぜひ積極的に検討いただきたいなあと。と申しますのは、欲しいとおっしゃられる方が大勢いらっしゃる。
この北名古屋市という便利な立地上、民間の手に委ねることによって、行政側からひょっとしたら補助金とかそういったものも必要とせずに、うまいこと活用していくことが可能ではないかなと。
そのためには、この法の目的でもある空き家の特定空き家と疑わしい物件についてどうしていくかという情報調査に基づいて、できた情報は民間にオープンにしていく、そういったような取り組みを進めていただきたいと考えております。
それで、このデータベースの整備に関してなんですけれども、具体的にこれからどうやって行っていくのか、その点についてだけお尋ねをいたしたいんですが、職員さんが回られるのか、それとも民間の企業に委託してやっていくような形で今お考えなのか、データベースの整備の方法について、具体的なところ、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
統括参事(岩越雅夫君)
データベースの関係でございますが、これは非常に重要なところでございまして、当然我が市につきましては、名古屋市に近いと、大都市に近いということで、ほとんどの物件が民間活用でできるんじゃないかなあと考えております。
ただ、そういった面をどう発信していくかということなんですが、これもほとんど民間にお任せしてやっていったほうがいいんじゃないかなあと考えております。
ですので、データベース化というのは、そういった面を含めてきちんと、どういう物件があり、どれぐらいの面積があって、築何年とか、そういった不動産関連の業者さんと相談しながらやっていこうかなあと思っております。
これからデータベースをどういうふうに構築していくんだということなんですが、当初は民間の力をおかりして調査をするんですが、最終的には私どものほうの担当のほうできちんと確認して、そういったものをつくっていく必要があるんじゃないかなと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
防災環境部長(福永直吉君)
防犯カメラの設置と貸し出しについてお答えいたします。
本市では、防犯カメラは犯罪抑止に効果があるものと認識し、安全で安心して暮らせるまちを目指し、犯罪抑止と防犯力の向上を図るため、今年度から自治会が設置する防犯カメラへの補助事業を実施することといたしました。
1点目の防犯カメラ設置場所の選定方法につきましては、平成26年中の犯罪多発地域、特に住宅侵入盗が多発した地域の2自治会を選定し、その自治会の中で犯罪者が通行すると思われる道路や交差点を撮影するために、西枇杷島警察署員と市職員で現地を調査し、防犯上効果的であると判断した箇所を自治会に提案してまいりたいと考えております。
2点目の防犯カメラを設置した場合の行政と自治会の費用及びその分担につきましては、自治会が設置する防犯カメラに係る経費のうち市が補助する金額は、1自治会当たり50万円まででございます。したがいまして、防犯カメラ設置等に係る経費が50万円以下であれば、全額が市の補助となります。そのほかに自治会が負担する費用といたしましては、防犯カメラ設置後の保守・点検料、電気代等で、年間約1万円を負担していただくこととなります。
3点目のごみの不法投棄への対応につきましては、不法投棄の通報及びパトロール等により発見した場合、警告シールを不法投棄物に貼付し、自主回収を促しております。また、不法投棄者を現認した場合や不法投棄物から投棄者を特定できる場合は、個別に指導を行い、悪質な場合は、関係機関と連携し、警察署への通報により厳しく対処をしております。
ご質問にもありましたように、市内で発生する主要なごみの不法投棄はごみ袋で数袋程度のため、可罰的違法性のある住宅対象侵入盗などと異なり、可罰性が低く、不法投棄の抑止を目的に可搬式防犯カメラの貸し出しを検討してまいりたいと存じます。
いずれにいたしましても、不法投棄のない住みよい環境を維持するためには、パトロールの強化、市民、地域、事業所等の皆様による監視などのご協力を得ながら、今後も不法投棄を許さないまちづくりに努めてまいりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
桂川将典
ただいまご検討いただけるというご答弁をいただきまして、ありがとうございました。
実際に、今、僕のところにも、こういったことでご相談をいただいております。
町内会の予算ではなかなかここまでたどり着けないということで、自治会でやるかどうかといったようなところで、今、私のほうにご相談いただいておるんですが、ただ、こうしたところで、ごみの不法投棄も犯罪といえば犯罪だということを行政としてもしっかりご認識いただいて、その上で身近なところでの問題を解決するということにちょこっとだけお力添えをいただければと思います。今後、どうぞよろしくお願いいたします。