桂川将典
本日は、北名古屋市消防団についてお尋ねをいたします。
さきの平成26年12月定例会では、私ども市政クラブの山下議員が質問をいたしました。その折には、福永防災環境部次長も消防団が地域の防災力の中枢を担う存在であるとご答弁なさっていらっしゃいました。北名古屋市消防団の強化、育成、支援に関して、私からも強くお願いしたく、先回のことを踏まえて、さらにもう一歩踏み込んでお尋ねをいたしたいと思います。
まず初めに、地域防災力の向上のために取り組むべきことの前段として、北名古屋市の課題をひとつ皆さんと共有しておきたいと思います。
それは北名古屋市の住民の姿そのものです。私はこれまでにも、コミュニティーを小学校区程度の範囲で再構成を進めなければならないという趣旨での一般質問をさせていただいておりましたが、それはこれからの地域社会に対応した新たな住民コミュニティーをつくっていかねばならないところに来てしまったのではないかと考えているからです。
つまり、この北名古屋市にお住まいの住民の皆様の生活の多様化が、北名古屋市にとって一つの大きな課題であるということです。そして、住民の生活の多様化が住民の自治、すなわち地域社会での共助にとって、そしてこのまちの未来に大変大きな脅威となり得ることです。
1960年代に村から町制をしいて、現在までのおよそ50年の間に田園地帯の村社会からベッドタウンへと急速に変化する中で人口は10倍にもなりました。昔は当たり前であったことが当たり前でなくなりました。住民の多様化により、地域のコミュニティーを支える慣例が失われてきました。こちらにお集まりの皆様は、そのことについて私以上によくよくご存じの方ばかりかと思います。
住民構成や社会の変化とあわせて少しずつ変化してきた住民意識が、雪崩のように連鎖することによって地域コミュニティーが持っていた自治が機能不全に陥るのではないかということを私は危惧しております。
この問題を改めて整理すると、従前から住んでいる住民と新規住民との活動における隔たり、エリア型自治会等のコミュニティー参加者の高齢化、テーマ型コミュニティーの啓発不足、若者世代、子育て世代が地域に定着しづらいこと、転居者、住民にとって地域の活動を行わなくても別段困らないといったことが考えられるかと思います。
中でも特に人命にかかわる防災の面では、災害の規模が大きくなればなるほど、そして命にかかわる初動の体制は、行政だけでは十分に機能し得ないという点に注目しています。
大災害のときに西春日井広域事務組合の保有する6台、うち北名古屋市に配備されたたった3台の救急車で一体どれだけ対応できるというのでしょうか。だからこそ私は、住民の皆様自身にも、自分の命を救うことができるのはまずは自助の力、次が共助の力だということに気づいていただきたいのです。本当の大災害のときに公助の助けが自分のところに来るころにはかなり時間が経過しており、自分自身の命は失われている可能性が高いということがおおよそほとんどの場合だということです。だからこそ、北名古屋市としての責務はできるだけ多くの命を救うことであり、そのためには地域の防災力を向上させることです。その方策として、それぞれの地域住民同士の共助の力を育てることであると考えます。
地域防災力の向上のために必要なことは、大きくは次の2点、すなわち地域防災の担い手を育成すること、活動拠点を整備することになると言われております。それぞれ順に論じていきたいと思います。
まず初めに、地域防災の担い手を育成することについて。
自助、共助として地域の防災を担うことができる住民を育てることが課題となります。愛知県が平成24年に行った消防団に関する県民意識調査によれば、消防団という名前は知っているが、どんな活動をしているのか知らないと回答した住民が過半数を超える54.3%となっています。しかし、この5,040件のアンケート調査の母数に対して回答者数は1,788人となっていることから、ある程度行政に関心のある方が回答してくださっていると想定できますから、実際には、残念ながら54%どころかほとんどの住民は消防団の活動を知らないと思われます。特に、若年層は回答率も低かったことから、知っている人はほぼいないと言えるでしょう。
マンション住まいと核家族化が進み、年配の方との接点が薄くなっていることも消防団の活動を知らない住民の割合をふやすことにつながっていると思われます。まさに危機的といっていいのではないでしょうか。住民の地域活動への関心度が低下しつつある今、ここでブレーキをかけることができなければ、地域の防災力はより厳しい状況に立たされると考えるべきだと思います。
消防団員の団員数と、構成の推移についてお尋ねをいたします。
北名古屋市のウエブサイトで紹介されているデータを確認することができました。これは現在を知るために大変役に立ちました。平成26年4月当初の団員数などについては、こちらですくに知ることができました。また、これまでの出動・活動状況もこちらに掲載されておりました。
平成25年度には、火災出動が8回、延べ116名が出動。演習、訓練は何と68回、延べ2,103名もの方がご参加くださっておることがわかりました。このデータを見るまで実感がなかったのですが、演習・訓練参加者が延べ2,103名、これほど多くの方がご参加くださっていることに本当に驚かされました。観閲式で見せていただいたあの整然とした隊列行進の舞台裏が、これらのデータで語られているような気がします。
消防団員の皆様それぞれがお仕事をなさっていて、本当に大変な中で、ご家族にも理解をいただき、これだけ多くの団員の方が訓練にご参加なされている。この皆さんのこつこつとした努力の積み重ね、これこそ万が一の有事に備え、なくてはならないものです。北名古屋市の生命を1つでも多く救うことに直結します。私はこの消防団の活動に敬意を持って、大きな期待を寄せております。
この演習訓練参加者の数の多さは、すなわち消防団の活動に参加するきっかけさえつくることができれば、非常に熱心に活動に参加していただけるということだと考えます。そして、そのときの経験が消防団活動を引退してからも地域に残るというところが大きな力になると考えます。
それでは、この消防団の概要データをもとに、1つ目の質問をいたします。
ウエブサイトのデータに示されていなかったのが、合併後、消防団を構成される団員の方々がどのように変化してきたのかということです。平成26年4月のデータを見ますと、消防団の平均年齢は43.6歳、年齢構成がやや上昇してきているのではないかという気がしております。団員数や年齢など、消防団員の構成について、合併後の平成19年4月と本年度当初とを比較してお答えください。
また、分団の団員の大半が別の地域の居住者であり、分団のエリア内に住んでいらっしゃらないということを耳にしておりますが、これは事実でしょうか。
続いて、消防団の拡大など今後の取り組みについてお尋ねをいたします。
北名古屋市消防団の女性団員は現在9名、女性の消防団員が年々増加しております。また、本定例会に上程された議案第17号では、大学生等の消防団への加入促進を図るためとして条例の一部改正が提出されております。
条例定数は170名ということですが、12月議会では、今後の取り組み次第で定員数の増員を議会へ諮るとのご答弁がありました。
以上のことから、今後は学生消防団員の募集をなさるお考えがあるように推察します。私としては、ほかにも消防団協力事業所制度の活用とPRもあわせて進めていただき、市外にお住まいで日中は市内の事業所に勤務なさる方々や学生を機能別消防団員として組織し、北名古屋市消防団を支えていただくよう進め、これまでの消防団の活動とは少し違った役割を与えるなど、防災というもっと広い視野で消防団の取り組みを考え、地域の防災力の向上、消防団活動の認知度の向上につなげていけばよいのではないかと考えます。
これらのことについて、今後何かお考えのことがございましたらお聞かせください。
最後に、活動拠点を整備することについて。
消防団の詰所の建設が課題となります。そこで、消防団の活動拠点の整備についてお尋ねをいたします。
先に上げました消防団の活動の充実、そして消防団組織の拡大やPRの面から見ましても、消防団詰所の存在は大きいと考えます。現在、東地区では北名古屋市役所東庁舎に、詰所とは名ばかりの倉庫が1つある限りです。
北名古屋市の東地区、鹿田坂巻の寄附された土地の一部に消防団詰所を含んだ複合施設の建設をご検討いただきたいと考えます。この土地の寄附の経緯も伺っておりますが、土地の東側では、既に多くの木々が下水工事のために伐採されてしまっています。寄附者が言われた公園とは、人が集まり、心を休める交流の場のことではないでしょうか。
これからの地域コミュニティー創造にも寄与することにつながり、また消防団活動を地域にPRするためにも、備蓄倉庫の機能を持たせた上で、地域防災力の核となる都市防災の複合施設は地域コミュニティーの安全・安心と発展に必要なものです。
ぜひ寄附された方の遺志を深く酌み取ってご検討いただきたいと考えます。災害時のことを考えれば、市全体から見ても防災拠点としてバランスよく人口密集地に避難場所となるオープンスペースの防災公園としてイメージされてもおかしくないのではないでしょうか。
また、小規模な駐車場スペースの確保は必要となるはずです。例えば、小さなお子様連れの公園利用者が徒歩だけとは限りません。よい公園であればあるほど、自家用車での来園者も考えられるはずです。消防団詰所を含んだ複合施設をつくるつくらない、いずれにせよ都市公園にも駐車場は必要なのではないかと考えます。
さて、12月議会では福永次長も、詰所の建設は必要であろうとお考えとのご答弁でしたが、今もそのお考えにかわりはございませんでしょうか。
愛知県名古屋市では、国土強靱化計画を検討している途中のようですが、北名古屋市は、今後のナショナル・レジリエンスの推進にどのような考えを持っているのでしょうか、お聞かせいただければと存じます。
長々とお話をさせていただきましたが、この北名古屋市にいらっしゃる全ての人と人との間に一つでも多くの接点をつくっておくことが、万が一の有事のときに大勢の方の命を守ることができる防災の基盤になると考えております。繰り返すようですが、消防団の活動に一度だけでもいい、どこからでもいい、何らかのきっかけを持ってくださることには大きな意味があると考えます。
ですから、どうか今回東地区にまず1つ、シンボルとなる消防団詰所の建設を前向きにご検討いただきたいと願っております。ぜひどうか今後の消防団の発展、地域防災力の向上に向けて、さらなるご尽力をいただきたいことをお願いさせていただき、私からの質問とさせていただきます。
防災環境部次長兼防災交通課長(福永直吉君)
消防団員の団員数と構成の推移について、お答えいたします。
消防団員数は、北名古屋市消防団条例第4条に規定されておりますとおり定員は170人でございます。平成26年4月1日現在の消防団員数は169名で、合併後の平成19年4月1日現在の消防団員数156名と比較しますと13名の増加となっております。
年齢構成につきましては、平成19年度対比で18歳以上29歳以下、3名の増加、30歳以上34歳以下、5名の減少、35歳以上39歳以下、11名の減少、40歳以上44歳以下、1名の減少、それに対しまして、45歳以上49歳以下、13名の増加、50歳以上、14名の増加となっており、平均年齢は2.3歳上昇している状況でございます。
分団の団員の大半が別の地域の居住者であり、分団のエリア内に住んでいないとのお話ですが、消防団員の任命につきましては、北名古屋市内に在住し、または勤務していることが要件の一つとなっております。
現在、市外に居住している団員は8名、全団員の4.9%で、全て市職員でございます。また、分団のエリア内に居住していない団員は15名で、全団員の9%でございます。その理由としては、消防団役員人事により他分団への異動のほか、婚姻等による転居でございます。
いずれにしましても、発災時において消防団員が地域の核として活動ができるよう、消防団員の資質の向上及び消防団員のさらなる確保に努めてまいりますので、ご理解を賜りますようお願いいたします。
防災環境部次長兼防災交通課長(福永直吉君)
消防団の拡大など今後の取り組みについて、お答えいたします。
市では消防団員確保のため、自治会からの推薦を初め市の広報紙やホームページ、消防式典やあいち消防団の日に行う街頭キャンペーン活動を通して、市民の皆様に消防団活動を広くPRし、応募を呼びかけているところでございます。
現在の消防団員の内訳は、平成26年4月1日現在、学生団員2名を含む男性団員160名、女性団員9名が在籍しております。また、平成24年5月には、消防団OBの方々が中心となり北名古屋市消防団後方支援隊が組織され、消防団観閲式や年末夜警等による消防啓発活動、さらには消防操法大会へのご支援などをいただいております。
消防団の拡大につきましては、ご指摘いただきました地域防災体制のさらなる強化を図る消防団協力事業所制度の導入を検討するとともに、災害時において特定の活動に特化した機能別消防団員制度につきましても研究してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
防災環境部次長兼防災交通課長(福永直吉君)
消防団の活動拠点の整備について、お答えいたします。
本市の消防団は市域を6ブロックに区分し、分団ごとに担当区域を定めて本部と6分団で編成し、消防団活動を展開しているところでございます。
東地区の消防団の活動拠点としましては、ご指摘のとおり消防車両3台を保有する車庫としての機能を有しておりますが、消防団員の情報交換や出動する際の待機及び休憩する場所がなく、長時間の災害に対応する機能は備わっておりません。
消防団が地域に密着した消防防災活動を展開するに当たり、災害時における分団の活動拠点を整備することは消防団員の士気の向上が図られ、地域住民の皆様が安心感を得ると同時に、地域の防災意識の向上が期待できるものと考えております。
今後の東地区への活動拠点の整備につきましては検討段階であり、いまだ具体化していない状況ではございますが、鹿田坂巻地区のご寄附いただいた土地も視野に入れ、関係各課と調整しながら検討してまいります。
また、ナショナル・レジリエンス、国土強靱化につきましては、ご存じのとおり愛知県と名古屋市が国から先行的に計画づくりに取り組むモデル団体に選定され、国土強靱化地域計画を策定中でございます。
この国土強靱化地域計画は、総合計画、地域防災計画などの全ての計画の上位に来る計画で、広域連携を念頭に置いた計画と考えておりますので、愛知県や名古屋市の計画、近隣市町の動向等を踏まえ対応してまいりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。