災害時要援護者の個人情報保護の在り方について

渡邊 幸子 渡邊幸子

昨年どおり、田んぼには緑のじゅうたんが敷き詰められましたが、5月は雨も少なく、例年以上の暑さに、皆さんも体調管理が大変だったと思います。
昨今の異常気象もさることながら、昨年の御嶽山の噴火や大涌谷の活発化、さらには先月末の口永良部島の大噴火、小笠原沖の地震など、日本を取り巻く自然環境の現象は不気味ささえ感じるきょうこのごろです。ちまたで騒がれている南海トラフを震源とする地震も、いつ起きてもおかしくないと言われております。

さて先月、北名古屋市洪水・地震ハザードマップが各家庭に配布されるなど、行政におかれましては災害に対する啓発を進めておられます。
自然災害に対する備えは、まずは個々の準備から始まり、自助・共助・公助の区分でいえば自助ということになると思います。ただ、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯などでは、なかなか自助というわけにはいきません。

平成26年7月1日現在の北名古屋市の統計によれば、65歳以上の高齢者人口は1万9,008人、70歳以上のひとり暮らしの方は1,768人、また要介護認定者(要介護3以上)は755名となっております。

昨年6月、他の議員の方が、災害時要援護者登録と、その運用に対して質問された際、行政側の答弁では、平成25年に導入された災害時要援護者台帳管理システムと住宅地図との連携もでき上がり、避難経路などの表示設定も整い、この台帳は民生委員と自主防災会会長へ提供されたとお聞きしました。

今回、私がお伺いしたいのは、北名古屋市地域福祉計画第2期(平成23年~27年度)の中に重点事業「地域のネットワークで災害時要援護者も大丈夫!水害・地震に備える地域支え合い事業」とうたわれ、20世帯に1人を目標に防災サポーターを置き、安否確認や避難誘導など共助の充実を図るとあります。
個人情報保護の関連もあり、むやみに災害時要援護者台帳を公にするわけにはいきませんが、少なくともどこに要援護者が住んでいるかという地理的情報だけでも公にするわけにはいかないものでしょうか。
民生委員と自主防災会会長への開示だけでは、自然災害が起きたとき、初期共助は自治会規模でもなく、民生委員の管掌範囲でもなく、いわゆる向こう三軒両隣というご近所の共助と考えますと、情報さえあれば発揮できたご近所の共助が、知らなかったがゆえにできなかったとなりかねません。
せっかく作成された情報を市民全体で活用し、結果的に減災につながれば、共助・公助の崇高な実践につながるのではないでしょうか。

ここで、災害時要援護者台帳と自主防災会のあり方についてお伺いいたします。

1.災害時要援護者の地図上での表示が可能とのことですが、それらの情報は災害時、どのようにして市民に伝えるお考えですか。
2.災害時要援護者のみではなく、例えば妊婦、小学低学年以下の子供など、いわゆる弱者を含めた地図上の表示を作成する自治会単位の活動を啓発し、支援する体制を整備してはいかがでしょうか。

これらの地図情報を毎年更新することで、いつ発生してもおかしくない自然災害に対する市民の心構えの向上にもつながると思います。
現実的には、自主防災会(自治会)の力をかりることはもとよりですが、自主防災会(自治会)に伝えたからいいのではなく、市民個々の公助意識の啓発が行政の重要課題だと思いますが、いかがでしょうか。水野福祉部長のお考えをお聞かせください。

 

gray-man 福祉部長(水野高作君)

災害時要援護者の個人情報保護のあり方につきましてお答えいたします。

災害時要援護者台帳に記載されている個人情報は、警察署、消防署、市の関係部署及び民生委員、自主防災会等の地域支援者の方へは、要援護者の方からの同意を得ているため提供が可能となっております。ただし、情報の開示に同意されているからといって無制限に開示することはできませんので、その取り扱いには十分留意しながら、必要なときに必要な情報が行き渡るよう、効率的かつ効果的な災害時要援護者支援システムを構築してまいりたいと考えております。

現在、2つの自治会、加島、中之郷がモデル地区として地域支え合い事業を進めているところでございます。災害時には、自主防災会が所持している災害時要援護者台帳を活用し、地域の方の役割分担の取り決めなどを行い、災害時を想定した避難訓練で検証され、要援護者の情報を地区の総代までおろし、いざというときに迅速に救いの手が差し伸べられるような体制づくりに努められております。

1点目の地図情報の市民への提供方法についてでございますが、地図情報は平常時から民生委員と自主防災会へ提供しております。
なお、災害時には必要に応じて市民の方からの問い合わせに応じていきたいと考えております。

2点目の災害弱者を含めた自治会単位の地図作成の支援についてですが、これらの方の情報を自主防災会で一括管理することは、日々刻々と移り変わる情報の更新など難しい面はありますが、名簿を災害時に有効に活用できるよう、地域の実情に合った互助、近助である共助をもととした地域力を生かした方法を、中之郷、加島での取り組みを参考といたしまして全ての地区に浸透するよう、自主防災会と一緒になって検討してまいりたいと考えておりますので、ご理解をいただきますようお願いを申し上げます。

 

渡邊 幸子渡邊幸子

ただいま答弁いただきました。

今後は、自主防災会と一緒になって検討されるということでありますけれども、何かいい策で浸透できるようなお考えがあれば、再度お伺いしたいと思います。

 

gray-man 福祉部長(水野高作君)

先ほど申し上げました加島と中之郷が平成22年から進めていただいております。
その後も、何とかほかの地区でもという意思はありましたが、その後、なかなか進まない状況であり、いろいろな地区でのいろいろ難しい面が出てくるかと思います。
そういったこともありますので、今後はもっと積極的に市のほうから自主防災会さんのほうへ働きかけをし、少しでも広がるようにしていきたいと思っております。

 

渡邊 幸子 渡邊幸子

じゃあ、積極的にしていただけるということですけれども、来年、28年度から第3期北名古屋市地域福祉計画に向けて、紙面上ではなく重要事項として、ますます進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

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