清水晃治
地域の見守り体制の構築について。
本市において、これまで自治会は地域福祉、防災、防犯など多岐にわたる役割を担ってきました。
しかしながら、近年の社会構造の変化により自治会の加入率は年々低下し、地域活動の維持が困難になりつつあると感じております。
本市の自治会加入率はおよそ70%程度と言われております。一見すると加入者がまだ多数派を占めているように感じますが、実際に地域活動を行う中で私が感じていた自治会への危機感とは乖離があり、違和感を覚えていました。
ただ最近、その違和感の要因の一つが分かった気がしますので、共有をさせていただきます。
本市で使用されている自治会加入率は、その地区の世帯数を分母に、自治会加入世帯を分子としてその比率で算出されます。
しかし、この自治会加入世帯数には自らの意思で加入した世帯だけでなく、意思に関係なく自動的に加入している世帯も含まれていることがポイントとなります。
例えば、分譲マンションでは管理費に自治会費が含まれ、自動的に自治会に加入しているケースがあります。
また、賃貸マンションではオーナーや管理会社が自治会に自治会費を支払い、居住者は組長などの役割が免除されているケースがあります。
これらの場合、居住者は自治会に加入していることすら意識していないのではないでしょうか。
このような意識せずに加入している世帯を除き、自らの意思で自治会加入を選択した世帯のみで算出した実質加入率を私が住む院田町内会(約440世帯)と鹿田自治会(約6,240世帯)で算出したところ、一般的に使用されている自治会加入率より少なくとも5から10%程度低下することが判明しました。
その結果を踏まえると、自治会によっては実質加入率が50%を下回り、既に加入者が少数派となっている地域もあると考えられます。
この数字を現実として認識すると、一般に言われている自治会加入率と私が地域活動の中で感じていた危機感との乖離について納得することができました。
これまで私は地域社会を維持するために、従来の自治会活動をいかに存続、活性化させるかに注力してきました。
しかし、今後の地域社会を守るためには、自治会の維持だけでなく少子高齢化やライフスタイルの多様化、地域コミュニティへの関心の低下といった現実を踏まえ、新たな地域の見守り体制を構築することも一方で検討しなければならない段階に入ってしまったと感じております。
では、従来の自治会活動が縮小されていくと仮定したとき、どのような課題が生じるのでしょうか。
独り暮らしの高齢者の増加により安否確認が困難になること、防犯・防災の情報共有が不十分となり災害時の対応に不安が生じること、また子供たちの登下校時の見守り活動が減少し通学路の安全確保が十分でなくなることなど、地域の見守り機能の低下が懸念されます。
こうした課題に対応するためには、自治会に依存しない新たな地域見守り体制の構築が必要であり、全国の自治体では、郵便局や宅配業者との協定を締結し、異変があれば通報する見守り協定の導入、スーパーやコンビニと連携し、徘回する高齢者の保護や、家族、警察への連絡、振り込め詐欺の未然防止、学校、保育園、児童館と連携し子供の異変を察知する仕組みの強化といった施策も進められ始めました。
また、デジタル技術を活用した見守りも重要です。高齢者の安否確認ができる見守りアプリの開発、活用や、電力・ガスの使用量をモニタリングし異常時に通知するシステムの導入、LINEなどのSNSを活用した住民同士の情報共有などにより自治会が担ってきた見守り体制の補完もできるかもしれません。
このように、全国では様々な施策が展開され始めておりますが、本市においても地域特性に合った施策を選択していくことが重要となります。
そこで質問です。
自治会活動がこのまま縮小していった場合、当局はどのような方法で地域の見守り機能を補完するお考えか。
2.それを実現するためにどのような施策を進めていくお考えか。
地域の見守り体制の継続的発展のために。
昨年10月、名古屋芸術大学アートスクエア内に市民活動センターμ-base(ミューベース)がオープンしました。
このセンターでは、地域で活動をしている様々な個人や団体をマッチングし、まちづくりをテーマに課題解決や新たな価値創出の取組が行われております。
このセンターの活動は、前述の地域課題の解決につながる可能性を秘めており、より広く展開していくことが市全体の地域力向上にとっても重要な鍵となる施設であり事業であると私は思います。
ただし、センターの活動を継続発展させていくためには、活動規模に比例した財源の確保が必要となります。
その際に、市の財政状況によって財源が十分に確保できないとなってしまってはいけません。そのためにも、市の予算だけでなく、センターの活動を応援したいという個人や法人の皆様から資金を集められる仕組みについても構築しておく必要があると私は考えております。
そこで、今回私が提案させていただきますのは、本市のふるさと納税寄附金の使い方の選択肢に、新たにまちづくりの推進、市民活動センターの活動費を追加するというものです。
センターの活動に直接触れて、センターを応援したいと考えてくださった方においては指定寄附という直接的な手段もありますが、それは主に活動エリアである市内の個人または法人である可能性が高くなります。
今後、センターの活動が今まで以上に活発となり、SNSやメディアなどを通して広く広報されていった場合、センターの活動を応援したいと思ってくださる全国の方々から広く手軽に資金を集められる仕組みとして、ふるさと納税という寄附の形態が有効になると私は考えております。
ふるさと納税の寄附金を活用して市民活動センターの活動がより活発化し、もっと多くのコミュニティが生まれて魅力のある地域特産品やサービスといった返礼品が新たに生み出されれば、さらに多くのふるさと納税を本市に呼び込む大きな正の循環にもつながるのです。
市民活動センターで生まれた地域特性に根差した新たなコミュニティや活動は、新たな価値の創出だけでなく従来自治会が担ってきた地域の見守り機能を補完する役割を果たすことにも期待されます。
また、これらの活動を通じて地域住民同士の交流や支え合いが促進され、結果的に従来の自治会そのものの活性化にもつながるのではないかと私は期待しております。
そこで質問です。
市民活動センターの活動財源確保のために、ふるさと納税寄附金の使い方の選択肢にまちづくりの推進、市民活動センターの活動費を追加するお考えはありますか。
消防団員の担い手確保について。
自治会などの地域活動が縮小していくと、地域の防災力の低下にもつながっていきます。
特に近年、本市においても消防団員の数は減少傾向にありますが、消防団は地域防災の重要な担い手であり、災害時においても迅速な対応を期待される存在です。
しかし、若年人口の減少、就業構造の変化、地域活動参加の意識低下などの要因により新たな団員の確保も難しくなっているのが現状です。
地域の防災力を維持するためには、若い世代の関心を高め、消防団の活動に親しみを持てるような施策が求められます。
特に、子供たちが幼少期から消防団を身近に感じ、憧れを持つ環境を整えることが重要であると私は考えております。
そのための施策として、ほかの多くの自治体では子供消防団の活動が取り組まれております。
学校や地域活動の一環として、地域の消防団と連携し、小学生、中学生向けの体験プログラムを実施、消防訓練や防災教育を通じて子供たちが防災意識を高められる機会を提供、子供消防団の活動を通じて地域とのつながりを醸成などが行われております。
そこで質問です。
幼少期の体験が将来の職業へと影響を及ぼすように、消防団への参加を促すためにも幼少期に消防団活動に触れる機会を増やすことが有効だと考えますが、子供消防団を設立するお考えはありますか。
以上、当局の見解をよろしくお願いいたします。
生活安全部まちづくり推進課長(安田道秋)
地域の見守り体制の構築について、お答えいたします。
1点目の自治会活動が縮小した場合における地域の見守り機能の補完につきましては、これまでの地域の見守り活動は自治会組織を中心とした下支えの下に民生委員・児童委員制度や交通安全協会、防犯協会並びに見守り隊や防犯ボラン
ティアなど善意に基づく取組により進めてまいりました。しかしながら、自治会の加入率の低下と併せてこれらの活動を担う人材の高齢化や成り手不足の補完が各団体においても同様の課題となっております。
こうした課題を解決する方法として、例えば令和6年9月末の北名古屋市総合防災訓練において、五条小学校区に属する自主防災会が児童館、子ども会、社会福祉協議会、スポーツクラブ及び学校運営協議会などの団体や関係機関、企業と連携したように、多様な主体がそれぞれ得意とする機能を持ち寄って連携することが必要だと考えております。
2点目の見守り機能の補完の実現に向けた施策につきましては、市として地域包括ケアシステムや要保護児童対策地域協議会といった関係団体の連携による枠組み、並びに郵便局や宅配業者などによる見守り協定や迷い人の早期発見など、企業や市民の協力による取組も進めております。
地域の見守り活動にもこのような多様な主体による取組が必要と考えますので、今後も市民活動センターを拠点として自治会との連携や自治会同士の連携が図られるよう、自治会だけでなくメンバーシップ登録をしていただいている個人、団体及び企業にも働きかけを行ってまいりますので、ご理解賜りますようよろしくお願いします。
清水晃治
ただいま答弁いただきましたように、自治会だけでなく各種団体や関係機関、企業などが得意とする機能を持ち寄って連携することが必要だと。
その実現の施策として、市民活動センターを拠点として、そういったマッチングといったことを行っていこうという話で、私も全く同感です。
非常に有効な施策じゃないかなあというふうに私も感じております。
ただ一つ、私たちが忘れてはいけないことをここで申し上げますと、先ほど例で五条小学校での総合防災訓練、お話しされましたけど、まず自主防災会そのものもそうですし、児童館、これは児童館単独の組織というよりかは、そこを支える地域ふれあい会の中にいる民生さんだったり老人会さんだったり、様々な団体もそうですし、それから子ども会、スポーツクラブ、こういった先ほど今後のいろんな団体と協力するという中で例で出されたこれらの団体は、全て今現状としては自治会をベースにして、自治会が下支えをしている団体であるということを忘れちゃいけないんですよ。
自治会がこけてしまったら全部こけてしまうのが今の現状であるということを忘れてはいけないことをまずここで申し上げさせていただきたい。
ですから、市民活動センターでいろんなところのマッチングは非常に有効だと私も思います。
自治会同士の連携も必要だと思いますし、いろんなことが有効だと思うんですけど、市民活動センターのマッチングがあればいいものではなくて、そこには必ず今の既存の自治会が存在しなければ全く有効にならないということですね。
市民活動センターの活動と、既存の自治会が両方そろって初めて有効な状況だというふうに私は考えております。
じゃあその自治会の活動は今冒頭にも申し上げましたように、下手するともう既に少数派になっているかもしれないというような非常に危険な状況まで入ってきている。
そういった状況を加味しますと、今まで同様ではなく、今まで以上にあの手この手、あらゆる手を使って自治会を維持することを自治会に委ねる。
もちろん自治会のことなので、まず自ら自分たちはこうしたいという意見を出してもらうのももちろんです。
ただ、それを待って自治会から何も出てこないからそのまま見過ごしたではなく、行政側からもあの手この手を、手を差し伸べてていただくことがやっぱり必要なんですよ。
私は、ですから市民活動センターだけでなく、今までの自治会にも、これからそういったあらゆる手を尽くして、てこ入れしていかなければならないと考えておるんですが、その点、当局のほうはどのようにお考えか、教えてください。
生活安全部まちづくり推進課長(安田道秋)
まさに先日の自治会長会において、自治会長さんたちからいろいろとお話をいただいたところなんですけれども、やはり一番のニーズは自治会長さん同士の情報交換の場が欲しいということでした。
自治会の課題というのは地域によって異なっておりますので、市が一律に対策を講じるというわけにはまいりませんので、清水議員おっしゃいますように地域ごとにこういった手だて、こういった手だてと、それぞれ手だては異なると考えております。
まずは行政としては、引き続き自治会の負担軽減を図りつつ、市民活動センターのほうで自治会長同士が情報交換とか意見交換をできる場を設けることを市のほうで行った上で、そこに集まっていただいて市も自治会と一緒になって検討してまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
生活安全部まちづくり推進課長(安田道秋)
まさに先日の自治会長会において、自治会長さんたちからいろいろとお話をいただいたところなんですけれども、やはり一番のニーズは自治会長さん同士の情報交換の場が欲しいということでした。
自治会の課題というのは地域によって異なっておりますので、市が一律に対策を講じるというわけにはまいりませんので、清水議員おっしゃいますように地域ごとにこういった手だて、こういった手だてと、それぞれ手だては異なると考えております。
まずは行政としては、引き続き自治会の負担軽減を図りつつ、市民活動センターのほうで自治会長同士が情報交換とか意見交換をできる場を設けることを市のほうで行った上で、そこに集まっていただいて市も自治会と一緒になって検討してまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
生活安全部次長兼危機管理課長(牧野一)
消防団員の担い手確保について、お答えいたします。
消防団の団員数につきましては、全国的にも減少傾向に歯止めがかからず、本市におきましても令和7年2月末現在143名と、定数に対し47名の欠員となっております。
消防団員の中でも、特に必要とされる若い世代の方々がなかなか消防団に入団していただけないことが課題となっております。
そこで、消防団員の確保につきましては、まずは消防団の活動を知っていただくことが先決であると考えており、多くの市民が集う平和夏まつりや商工会青年部主催の学防祭に消防団ブースを出店し、消防団勧誘チラシの配布や子供たちの消防車両への乗車体験などを実施し、消防団員との交流を通し仲間づくりを進めているところでございます。
小・中学校の児童・生徒を対象とした少年消防クラブの活動については、子供たちの防災リーダーとして、また将来の地域防災を支える人づくりに寄与する活動の場として大変有効であると認識しておりますが、本市では平成21年度まで市内小学校に少年消防クラブを組織し活動を推進しておりましたが、様々な事情により解散した経緯がございます。
そのため、小・中学校への防災教育の一つとして消防団活動の体験学習や消火訓練などを計画いただくよう小・中学校校長会に提案してまいりたいと考えております。
また、総合防災訓練や地域の校区自主防災訓練への児童・生徒による積極的な参加につきましても小・中学校へ働きかけてまいりますので、ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。
清水晃治
今いろんな子供たちが接する機会をご検討いただける答弁をいただいているところですけど、その点、そういったことは非常に有効な手段だと私も思いますし、本文の中でも述べさせていただきました。
ただその体験をもっと子供たちにより印象づけるためには、これはちょっと子供の気持ちになって考えてみますと、僕も消防団というヒーローになれたとか、そういった消防団というヒーローの仲間になれたという帰属意識を芽生えさせることがすごく印象づけにもなりますし、有効だと私は思うんですね。
だから、何か体験することはもちろん有効なんですけど、そこにそういった意識をより上乗せすることが重要だとすると、例えばユニフォームだとか帽子だったり、あとバッジだけでもいいかもしれんし、委任状でもいいかもしれません。
君も消防団の仲間なんだという、子供消防団の一員であることを証明できるような何か形あるものを渡しておくと、時を経て大人になったその子供たちが正式に消防団への入団へとつながる動機づけになるんじゃないかなあと私は思うわけですけれど、その点どのようにお考えかお聞かせください。
生活安全部次長兼危機管理課長(牧野一)
ただいま議員からご提案いただきました方法につきましても、正義のヒーローに憧れを抱く小学校の児童さんに取りましては大変有効な手だてであると思っておりますが、まずは北名古屋市消防団の活動に対する啓発が一番重要であると考えておりまして、将来の消防団員の担い手であります児童に対しまして働きかけを行っていく中で、さらにそういったご要望等がございましたら、さらに検討させていただきたいと考えておりますので、ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。