1. 児童生徒の不登校問題について

浅利 公惠 浅利公惠

年々増加している児童・生徒の不登校問題についての質問です。

令和5年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、全国の小・中学校における長期欠席者数は、小学生21万8,238人、中学生27万5,202人、合計で49万3,440人、前年度は46万648人です。

うち不登校の数が小学生13万370人、中学生21万6,112人、合計34万6,482人(前年度29万9,048人)と全国で30万人を超え過去最多となり年々増加しています。

文部科学省は、不登校支援の充実と問題解決に向けて、全ての児童・生徒が安心して学ぶことができるよう誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)と不登校・いじめ緊急対策パッケージを策定しましたが、いまだその効果は限定的であると言えます。

不登校になった要因は様々ですが、学校へ行かなくなると1日家から出ることなく過ごすことが増え、運動不足になり体調を崩しやすくなります。

また、保護者は育て方に問題があったのではないか、何がきっかけで不登校になってしまったのかなど自分を責めてしまい、不登校児を抱えているストレスでどんどん疲弊してしまうことも聞いています。

あるいは、子供から目が離せなくなり満足に働くことができないために貧困へ向かっていくなど、対応が遅れることで状況の悪化につながってしまいますので、不登校支援は最優先に取り組むべき喫緊の課題と考えます。

支援の方法としては、保護者が不登校の兆候を感じた時点で相談できる適切な窓口が必要であり、特に初動の対応が重要であると思います。

これらに対応するのは、担任の先生、学校、教育委員会となります。

担任の先生は、子供が学校に行けなくなったときに様々なやり取りをしていると思いますが、不登校児童・生徒が増えている状況において、担任の力に頼る体制では無理が生じているのではないでしょうか。

また、学校全体を見ても、通常業務に加え様々な対策会議、社会の変化に対応した新たな取組、保護者や外部団体等からの要望や要請の対応などにより多忙化しています。

結果として、教員が疲弊し離職が増えている要因の一つとなっていると思います。

さらに、教育委員会の取組においても、より効果的な対応手段を見通せていないのではないかと感じています。

学生時代に不登校となってしまい、そのまま卒業してひきこもりになってしまう場合が多いことは知られています。

また、不登校だった人はひきこもりやニートを経験する割合が高いというデータもあり、将来、社会の損失につながる問題として不登校を考えていかなければなりません。

不登校の要因が多様化、複雑化しており、不登校を一括りに扱うことができない現状において、不登校支援を行政の枠組みだけで行っていることに無理が生じてきているように思います。

そのため、もっと民間のフリースクールなどの多様な学びの場を活用していくことが必要ではないでしょうか。

民間のフリースクールの活動は様々で、出席認定を受けられるフリースクールもあれば訪問塾型、放課後デイサービス型、自然学校などがあります。

しかし、公立の学校と違い月額1万円から3万5,000円程度の費用が必要となり、多くの場合給食もありません。

低所得世帯では通うことが難しい金額であると思います。また、月額を払ったとしても、不登校の子ですから毎日行くとは限らず、入学に踏み切れない場合もあると思います。

ある市では、世帯の課税状況によるフリースクール等利用支援補助金があり、これまでの利用は少なかったものの徐々に利用が増えてきているようです。

実際に不登校となっているお子さんをお持ちの保護者にお話を聞く機会があり、無理に学校へ行かせなくてもいいという意識が高まっていると感じています。

確固たる意思の下、学校とは違う場での学びを選択しているご家庭のお話も聞いています。

確かに、不登校の解決は学校へ行けるようになるということだけではありません。

子供たちは一人一人違い、家庭もそれぞれですが、元気に学校生活を送ることを望んでいたご家庭において、何らかの理由により不登校となった場合、まずは学校への復帰を目指し、児童・生徒の事情、助けを求めている声に耳を傾け、保護者と学校、そして関係機関が連携して対応していく。

その課程を経た上で、事情により学校へ通うことが難しい場合には、そのお子さんの気持ちをしっかりと受け止め、多様な学びの場を支援していくことが求められていると考えています。

以上のことから質問をさせていただきます。

1点目、令和4年度と令和5年度の北名古屋市の不登校児童・生徒数はどのような状況ですか。

2点目、保護者が不登校の兆候を感じた場合の初期対応が重要だと思いますが、相談できる窓口はどこになりますか。

3点目、不登校のお子さんをお持ちの保護者の不安を和らげるための支援に取り組んでいますか。

4点目、不登校児童・生徒が登校したいと思ったときに、新たな環境づくりを進める考えはありますか。

5点目、民間のフリースクールとの連携について、どのように取り組んでいますか。

6点目、不登校児童・生徒の減少や解消に向けた取組の方向性をお聞かせください。

 

 教育部次長兼学校教育課長(安井政義)

児童・生徒の不登校問題について、お答えいたします。

1点目の令和4年度と令和5年度の北名古屋市の不登校児童・生徒数の状況についてですが、令和4年度の小学生が126人、中学生が205人、合計が331人です。

令和5年度の小学生が168人、中学生が203人、合計371人です。令和3年度と比較すると、令和5年度は約1.4倍の増加となっています。

2点目の保護者が不登校の兆候を感じた場合の初期対応として、相談できる窓口について、お答えいたします。

議員ご指摘のとおり初期対応が重要となりますが、理想は登校渋りや教室に入りづらいなどの兆候が現れる前段階において、子供が毎日同じように過ごしている中で発する何らかの異変に担任や保護者が気づき、子供の感じている疑問や不安に寄り添い、早期に話を聞く機会を設けることです。

子供の中に生まれた問いを話したいという気持ちへ向けることができれば、担任を中心とした学校が相談先となり、スクールカウンセラーや養護教諭も含めたチーム学校として対応しています。

また、教育支援センターやこども家庭課所管のこども若者支援センターに相談窓口があり、学校に相談しにくい内容も含めて保護者からの相談を受けています。

3点目の不登校のお子さんをお持ちの保護者の不安を和らげるための支援についてですが、令和6年度の新規事業として、公認心理士を講師に招き、教育支援センターを利用されている保護者を対象とし、参加者が悩みを共有する時間を設けるなどの相談会を2回実施しました。

この相談会は令和7年度も実施する予定です。

4点目の不登校児童・生徒が登校したいと思ったときに新たな環境づくりを進める考えについてですが、市内6中学校に校内教育支援センターの位置づけで教室に入りづらい生徒を受け入れる別室を設けます。

別室においては、学習のサポートのほか、集団生活への適応や生活習慣の改善など、学校復帰に向けた支援に取り組みます。

また、個々の状況に応じて友達や教職員との交流を深めながら、教室復帰に向けた取組を進めたいと考えています。

なお、別室に配置する講師については、愛知県の補助金を活用して対応します。

5点目の民間のフリースクールとの連携について、どのように取り組んでいるかについてですが、現在、民間のフリースクールへ通っている小学生は7人、中学生は6人、合計13人です。各学校では、児童・生徒の通っているフリースクールとメールや電話により連絡を取り、児童・生徒の様子や学習内容等を把握するとともに、当該児童・生徒及び保護者とのつながりを積極的に努めています。

なお、教育委員会ではフリースクール等の利用に関する費用面の支援については先進地の動向を注視している状況です。

6点目の不登校児童・生徒の減少や解消に向けた取組の方向性について、お答えいたします。

不登校の要因として多い状況にあるのが、小学生では家庭生活にかかること、中学生では学業の不振と成長段階によって異なります。

心と体、環境の関係により不登校の要因が複雑化しており、不登校児童・生徒の人数に着目した場合、一変して減少や解消することは難しいですが、好転させなければなりません。

学校の教職員は、児童・生徒にとって安心して過ごせる場として学校を築き上げ、教育支援センターパレットの指導員は、個別の学習や小集団での活動を通して学校復帰や社会的自立に向けて努めています。

市の施設に通うことが難しい児童・生徒に対しては、児童・生徒の気持ちにより添い、学びの場の確保に努め支援しています。

いずれの支援においても、人間的な触れ合いの中で行われますので、あらゆる場面で支援する者のスキルを高める必要があります。

学校と教育委員会が一丸となって、児童・生徒の心の叫び、言葉にならない言葉の意味、言葉の奥にある本音の心の理解に努めることで不登校問題に取り組んでまいりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

浅利 公惠 浅利公惠

ご答弁ありがとうございます。

令和5年度の一般質問でも2度ほどこの不登校の問題について取り上げられておりました。

その後もなかなか問題の改善策が見つからないまま、どんどん不登校の生徒が増えていっている状況かと思います。

不登校の児童数、小学校、中学校合わせて令和4年度が331人、令和5年度371名で1.4倍とご答弁いただきましたが、令和5年371人中の民間フリースクールへ通っている小・中学生を合わせて13人との答弁がございました。

教育支援センターパレットに登録している人数は、毎年大体40人前後と伺っています。

そうすると、300人を超える児童・生徒に対してはどのようなつながりを持って対処されているのでしょうか。お答えください。

 

 教育部次長兼学校教育課長(安井政義)

教育支援センターパレットや民間のフリースクールに通えない不登校の児童・生徒のつながりについてですが、児童・生徒の変容や様々な家庭の事情がありますので、教員の献身的な取組を積み重ねてつながりを持っている状況でございます。

具体的には、例えば夕方なら学校へ来れるお子さんも見えますので、そこで時間を取ったりですとか、あと家から出れないお子さんについては家庭訪問ですとか電話やタブレットを使ったりして連絡を取っています。

あと学校からの連絡を拒否されるご家庭もありますので、学校からのアプローチだけでは行き詰まっている面もありますので、令和7年度からは、教育支援センターパレットの統括指導員がおりますので、そちらの者が学校を巡回して児童・生徒や保護者の多様化するニーズに対しまして新たなつながりというか、支援に努めてまいりたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。

 

浅利 公惠 浅利公惠

様々な努力をしていただいていること、感謝申し上げます。

教育委員会なんかでは今回、令和6年度の新規事業として公認心理士の講師を招いた子育て相談会を開催していただきました。本当にありがたいことだと思っております。

以前、チラシで見せていただきましたが、この講演会についてはパレットさん、支援センターに登録しているお子さんが対象だということで、もっと広い面で対象者を広げて、例えばオープンな形で気軽に相談できるような環境、例えばμ-base(ミューベース)で保護者の集まりなどがあれば、悩みを共有したり、不登校から学校へ登校できるようになった成功例なんかを話し合える、そういう企画とかがしていただければ大変いいと思うんですが、そういった案が持ち上がった際に教育委員会さんのほうでは協力、望むことは可能でしょうか。

 

 教育部次長兼学校教育課長(安井政義)

そうですね。

今、教育委員会ではそういった取組とかそういう計画はないんですけれども、もしそういった取組が実施されるようでしたら、企画される方と協議の場を持ちまして教育委員会として協力できることを進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

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