市民協働を今後どのように進めていくのか

桂川 将典 桂川将典

市民協働の今後の展望について、お尋ねをいたします。

まず初めに、この市民協働という取り組みは大変よいものであると受けとめております。将来においては、市民協働が発展した地域ほどさまざまな地域課題を解消し、ほかの地域よりもずっとすばらしい地域として発展するでしょう。この未来の姿を念頭に置いて、本日は質問を通じて市民協働の今後のあり方と進め方、そして行政の担うべき役割について確認したいと考えております。
さて、私自身も市民協働に個人的に参加しております。そこには、ほとんど行政とかかわったことがない一般の方々もたくさん参加されております。その方々の様子を見ておりますと、取り組みを通じて行政や協働に対する意識がだんだんと変化しているようにうかがえます。このことから、これまでに行ってきたそれぞれの取り組みは、評価されるべき非常に価値のある取り組みであると私は感じております。
先日、発明クラブの総会、また別の日には発明クラブ指導員の皆様の研修にお伺いさせていただきました。お集まりの方々の発明クラブの活動に寄せられる意欲、発せられる意見の鋭さ、そうした様子を観察させていただきましたが、この取り組みは学校だけでは絶対になし得ない、しかし市民だけでもなし得ない、まさに理想とする市民協働の形であると感心いたしました。

それでは、早速でございますが、まず1つ目に、これまでの市民協働の取り組みについてお尋ねをいたします。
つきましては、市職員の体制はどうなっているか、市民協働を始めてから市職員の意識変化はどうであるか、この2点を踏まえ、市民協働の取り組みの状況についてご答弁をお願いいたします。

しかしながら、活動をしておりますと気になる点も出てまいりました。
以前に開催された市民協働の報告会に参加いたしましたところ、大体いつもと同じ顔ぶれが並んでおりました。積極的であるということはいいことなのですが、同じ面々ばかりということにもっと留意すべきであると感じました。市民協働の本来の趣旨から鑑みて、市民協働の裾野が十分に広がっていないのではないかということです。そして、それこそが非常に大きな問題であると言えるのではないでしょうか。

私としては、将来の市民協働の発展のために、行政は次の4つの点について取り組む必要があると考えております。

1つ目には、地縁型組織である自治会の規模のばらつきです。
これまで市民協働では、自治会が中心的役割を果たしてまいりました。その活動や重要性はもちろん私も最大限に評価するところであります。しかし、それはそれとして、北名古屋市にある自治会の世帯数の大小の差が非常に大きいのです。
私の居住しております最大の鹿田では6,226世帯1万4,769名、最小の山之腰では146世帯355名、何と40倍以上もの大きな差があります。それほどまでに大きな差がある組織を同等に扱うのは余り妥当だとは思えません。
市民協働を進めるに当たって、自治会規模が小さ過ぎては人材不足、また一方で大き過ぎても意思決定がやりにくいなど、さまざまな問題がそこにはあります。だからこそ地縁型組織として適切な規模というものがあろうと思います。
今後の市民協働の地縁型組織の枠組みとしては、世帯数を均等にした新たな組織に再編するべきではないかと考えます。

2つ目には、日ごろからの交流を生み出し、つなぐ役割を強化することです。
市民、民間企業、NPOやボランティア、そして行政、協働の主体であるそれぞれが役割を果たすためにも、お互いが信頼関係を構築していなければなりません。これまでは行政からのアプローチでありましたが、今後はそれだけでは不十分であると考えます。
地縁型組織とテーマ型活動団体の交流を促すように、出会いの場を設けたり、ネットワーク化を進めるといった交流の取り組みを行政は進めるべきできないかと考えます。
この交流を促すために、やはり町なかに活動の拠点となるスペースを持つことが望ましいと考えています。ただし、その手法については、公共施設として整備することにとらわれず、市民協働という言葉が示すとおり、民間が運営する拠点として整備する方向も視野に入れてご検討をいただきたいと考えております。

3つ目には、市民との政策課題の共有を進めるべきであるという点です。
防災や防犯など、以前から助成金が交付されている活動の内容や、地縁型組織による公園清掃など、現在の市民協働のモデル事業はまずはやりやすいところから、とにかくスタートした市民協働とも言えるのではないでしようか。
ホップ、ステップ、ジャンプの審査に寄せられる内容はさまざまですが、憲法第89条の規定もあることから、簡単には助成はできません。ですからこそ、事業の公共・公益性についての判断を委ねられた、とりわけ統括参事を初めとする審査員の皆様方には、市民活動への助成は公金や公の財産の使用であるという原則をもとにして、難しい判断を行っていただいているということにも注意を払わなければならないと考えております。
本来の意味で、市民協働が目指すところは、行政だけ、あるいは市民だけでは解決できなかった地域の課題を行政と市民が一緒になって解決していく、そんな取り組みであるはずです。これを原則として事業を進めるべきところであり、そのためにも行政側はこれが課題なのだという点をなおさら明確にしておくことが必要であると考えます。
今後は、政策、事業評価シートなどを活用して、政策課題を明確に市民に提示する取り組みをすべきではないかと考えます。

最後の4つ目に、市民協働の将来的な価値、市民協働の目指す未来を示すことです。
市民協働のあり方や基本的姿勢について、北名古屋市ではこれまで行政主導でつくり上げてきました。しかし、市民協働の将来的な価値を見据えて考えると、それでは片手落ちであるように感じます。
兵庫県尼崎市の市民協働の事例では、平成17年に45名、うち公募30名の委員によって構成された協働研究会が、約1年の間に本当に何度も何度も協議を重ねてつくり上げてきた「市民からみた協働のまちづくりのあり方についての提言」をもとにして、現在の「協働のまちづくりの基本方向~きょうDOガイドライン~」が策定されています。内容を読むと、大変わかりやすく丁寧につくられた基本計画になっています。市民協働を進めるに当たって、何をしようとしているのかが見えてきます。
この計画書からは、主体である市民を交えてしっかり議論を持ち、出てきた意見に留意しながらじっくりとつくり上げた基本計画だということが推察されます。
この尼崎市の市民協働と比べてみますと、北名古屋市の市民協働はここまで全速力で駆け抜けてつくり続けてきた感じがいたします。4年目のこのあたりで一度立ちどまって振り返り、市民協働の取り組みの意義、これから目指すべき市民協働の未来について、市民を交えてじっくりと意見交換をしてみてはどうでしょうか。
お互いを知ること、つなぐこと、これが市民協働の初めの一歩でもあり、一番重要な点であるはずです。議論を通じて、つなぎ役になる人材が育成できるかもしれません。市民協働の価値を市民に広く受けとめていただくことこそが、このまちの将来像にふさわしい市民協働だと思うのです。

最後に、これまでの市民協働の取り組みの結果から、現在の市民協働についてご認識なされている課題について、また今後どのように進めていくお考えをお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

 

gray-man 総務部長(能村義則君)

これまでの市民協働の取り組みについて、お答えします。

平成23年度に市民活動を推進する課として、現在の市民活動推進課を設置し、課長以下6人体制で市民協働という新たなテーマへの取り組みを始めました。
そうした中、さまざまな他団体の例なども研究しながら、市民との協働事業として、まず1つのモデル事業を実施しました。それがご存じのとおり地域の皆さんで行っていただく児童遊園の草刈りなどの作業です。それが次年度以降、他の地域にも拡大し、新たなジャンルも加わって現在7件のモデル事業を各地域で実施していただいております。
また、市民協働を市民に周知するため、大学教授による講演や先進事例を発表する市民協働フォーラムの開催や、「市民協働まんがパンフレット」を名古屋芸術大学の学生と協働して作成してきました。
また、市民活動に対する補助金制度を設け、公共・公益的な事業に対して公開プレゼンテーションによる審査手法を取り入れ、団体が実施する事業を支援する新たな制度といたしました。
さらに、市民協働の裾野を広げるためには情報交換が必要であると考え、市民活動の補助団体が交流する機会を設けたり、ことしの8月からは市民協働としてフェイスブックによる登録団体同士の情報交換を実施しています。こうした事業の実施や情報については、市民や活動団体はもちろん職員にも周知をして参加、出席を呼びかけております。
また、市民協働を推進するためには、行政側の職員も市民協働の意識を持つことが必要であると考え、庁内の全ての課に市民協働担当者を配置し、連絡調整を行っております。

市民協働に対する職員の意識の変化については、アンケートなど具体的な調査はしておりませんが、もともと行政が主体で実施すべき行政サービスと、住民自治と言われる市民主体の公益的取り組みが両極にあり、その中間に協働可能な公共サービスがあるという認識がイメージとしてかなり職員に浸透してきたのではないかと思っております。以上、答弁とさせていただきます。

 

桂川 将典 桂川将典

ただいま能村総務部長からご答弁いただきました。ありがとうございました。
丁寧に一つ一つお答えいただきましたが、政策課題の共有に関してなんですけど、今やっていない、具体的な事例を提示することはできていないということでお話しいただきました。確かにそのとおりだと思う点はございます。

例えば、犬のふんだとか、あるいは地域の中でのごみの処理のこと、いろんなことが庁舎の中に市民の方から要望、あるいは連絡が来ておろうかと思います。そうした内容なんかでも、一つ一つ市民の方々のお力添えをいただけないだろうかということを、つまびらかに状況を報告、お知らせしていくことで、そういった取り組みをやらなければいけないんだな、あるいは何とかしてほしいと思っている方々を力にかえていくことができるのではないでしょうか。

その点で、私、担い手づくりの点で、先般、熊之庄で行われました熊之庄の「協働カフェ」、総務部長もご出席されていらっしゃいましたけれども、ああした取り組みは非常によいものだと考えております。これから少しずつ市民協働の土壌を市民の方の中に醸成していくためにも、非常に効果的な取り組みだなあと思っておりますので、これからもぜひ積極的にそういった活動を広げていっていただきたいと思います。

1点だけ質問をさせてください。

私、ここの中に地縁型組織の自治会の規模のばらつきについて、ちょっと以前にもこの議場でお話をさせていただいています。そのときも、行政側から手を出すわけにいかないというようなご答弁があったんですけれども、現状で、鹿田、そして最小の山之腰は40倍の差がありますね。こういったところを今後どのようにしていくのかと考えたときに、できるだけ市民の方には地域社会に参加していただきたい。でも、いつも同じ人たちばかりに負担をかけてしまっているようでは、やっぱりそれではいかんだろうというようなことも思います。

そのことから、今後、小学校の校区ぐらいを基本として、人口としては今よりかなり平準化されるもんですから、学校区あたりを基本として自治会を再編していく、そういった考えを行政の中に私はぜひとも持っていただきたい。

例えば、例を挙げますと、お隣の名古屋市なんかは小学校区で地区として活動を行っていらっしゃる、そういったこともありますし、その辺で今後行政としてこの自治会についてどのようにしていくのか、お考えがあればちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 

gray-man 総務部長(能村義則君)

自治会といいますのは、やはり地縁によるつながりでございまして、それぞれの自治会に歴史的ないろんな経緯があるというふうに考えております。恐らく地方行政よりももっとずっと長い歴史的な経緯があると思っております。ですので、行政側から自治会をどうこうするということは大変難しいことだと思っています。

そういう中で、昨今、いろんな全国的な取り組みのお話なんですけれども、ご質問にありましたように、校区を単位とした新しいコミュニティーづくりというものが進んできております。

北名古屋市におきましても、コミュニティスクールという取り組みが今始まっておるところで、それに自治会のほうが協力していく、かかわっていく、こういった歴史がこれから自治会の中でまた始まってくる、そんなふうに思っております。

これからの歴史が自治会の再編につながっていくのではないかなあと、そんなふうな期待をしておるところでございます。よろしくご理解いただきたいと思います。

 

桂川 将典 桂川将典

今お話しいただきましたけど、コミュニティスクール、そういった形でこれから北名古屋市としても取り組みを進めていく方向、特に学校関係では今3校、これから全校に広げていくと、そういったコミュニティスクールの取り組みなんかもあるわけですが、今私ここでお話しさせていただいているのは、現状の自治会が悪いと言っているわけでは決してございません。

これから先、地域内での課題解決を進めていくに当たって、ある程度の人口規模というものをベースに考えて、その地域の課題解決を進めていく取り組みができるだけスムーズに進めれるような、そうした地縁型組織を北名古屋市にも少しずつ根づかせていく、それが必要なのではないかと、そのような課題認識をしていると、そういったことがもとになってお話をさせていただいておりますので、ご理解いただければと思います。以上です。

 

gray-man 総務部長(能村義則君)

市民協働を今後どのように進めていくのかについて、先ほど述べました3つの課題を踏まえてお答えいたします。

初めに、市民がお互いに交流できる場づくり、情報交換できる環境づくりでございますが、町なかに活動の拠点となるスペースを設けることにより、一般市民や団体の皆様が交流、情報交換する機会が生まれ、それがよい刺激となって市民の方々の活動もますます活発化する、そういうものだと思います。

交流できる場づくりとしまして、市役所の中ではなく、町なかに活動の拠点となるスペースをつくることを具体的に検討したいと考えております。また、情報交換できる環境づくりにつきましては、市民活動推進課として開設しているフェイスブックを通じ情報交換している団体は現在9団体でございます。

今後は、団体数がさらにふえるようにフェイスブックの勉強会をしたり、広報することにより努力をしてまいります。
次に、市民や団体、行政との課題の共有でございますが、市民や団体の皆様から新しい提案をいただくことはもちろんとして、今後は行政が実施している事業の中から市民協働のできる可能性のある事業を洗い出し、それを整理した上で市民や団体の皆様に事業メニューとして示すことができるような取り組みを進めていきたいと考えております。

最後に、市民協働の担い手づくりにつきましては、まずは職員自身が町なかに飛び込んでいき地域の人を知ることが必要です。

例えば、自治会などのいろんな行事に職員が出向いて地域の人と会話をしたり、地域の課題をお聞きして市役所の担当する部署と一緒に課題解決をしていく。今後はそうした具体的な動きを一つの仕組みとしてつくり出し、自然に市民の中から市民協働の担い手が生まれてくるような風土づくりを狙っていきたいと思っております。

以上、3点ほど述べさせていただきましたが、今後とも一つ一つの課題に取り組みながら、市民協働を発展的に推進してまいりますので、ご協力をお願い申し上げまして答弁を終わります。

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