平成29年度施政方針について

 永津正和

最初に、これからのまちづくりに向けた検討についてでございますが、平成29年度は北名古屋市総合計画の最終年度となり、「健康快適都市~誰もが安全・安心に暮らせるまち~」の実現に向けて積極的に取り組んでまいりましたが、さらに活気あるこのまちの勢いを将来の発展へと確実につなげていくために、現計画の理念を継承しつつ、第2次総合計画を策定すると述べられました。

私は、この中でも名鉄犬山線高架事業や沖村西部地区の開発促進及び地域産業支援、企業誘致の推進が大変重要になってくると考えます。

そこで、今後一層企業立地を推進していくためには、住環境との調和や農地も含めた総合的・一体的な土地利用計画の見直しが必要であると考えますが、市長のお考えをお聞かせください。

次に、名古屋市との合併についてでございますが、私たち市政クラブは「まちに出て声を聞こう、声を出そう」のスローガンのもと、「名古屋市と区として合併を検討しよう」を基本方針として街頭に出て市民の皆様にお訴えをいたしてまいりました。

また、先日は国土政策フォーラムin愛知「我が国の成長を牽引する中京大都市圏づくり」に参加いたしましたが、以前、市長も述べられましたように、2027年のリニア中央新幹線開業後は東京圏から名古屋圏まで大交流圏が形成されますが、その西の拠点として発展していく名古屋大都市圏の中での北名古屋市の位置づけと果たすべき役割を見定めることが重要であると述べられました。

まさに同感でございます。こうしたことを背景に、名古屋市との合併について市長の考えをお聞かせください。

続きまして、各施策につきまして質問をいたします。

1点目の子育てと社会参加の両立支援についてでございます。

子育てしやすい環境を充実するため、多様化・拡大する保育ニーズに柔軟に対応したサービス体制の強化や子育て拠点の整備を進め、待機児童ゼロを維持していただきたいと思います。

さらに、放課後の居場所づくりの充実として、放課後子ども教室と児童クラブを連携し、全ての小学校区で受け入れ可能な体制を整備するとともに対象を全学年に拡大することで、親が安心して働ける環境を提供し、子育てと仕事の両立を支援いたしますと述べられました。このことにつきましては納得いたしましたので、質問はいたしません。

2点目の福祉と医療の充実についてでございます。

本格的な高齢化社会を迎え、医療と介護の両方を必要とする高齢者が住みなれた地域で自分らしい生活を送るために各種施策を展開していただきたいと思います。

また、母子保健事業についても大変重要なことであり、十分な配慮をしていただきたいと思います。

今回は、障害者生活支援制度についてお聞きいたしたいと思います。

私たち市政クラブは、北名古屋市知的障害者育成会の皆様と毎年意見交換会を開催いたしております。また、先日は育成会主催によりますグループホームの早期実現に向けてのテーマによります講演会にも参加させていただきました。

そうした中において、保護者の皆様の切実な気持ちを察すると、障害者が地域の中で安全に安心して暮らせるようなショートステイを併設したグループホームの建設につきまして、いろいろな事情があることはよく承知をしておりますが、この際、市長から気持ちを込めた温かい考えをお聞かせください。

次いで、国民健康保険についてでございます。

国民健康保険は、平成27年5月に成立した国民健康保険法等改正法において、平成30年度から県が国保の財政運営の責任主体となると聞いております。

しかし、年々増加する医療費に対し、財源の確保にについて保険者である市町村は困難をきわめており、この改正が今後どのような展開になると予想されておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

3点目の教育環境の充実についてでございます。

市内16小・中学校の児童・生徒が健やかに成長し、健全に成長することは、まちづくりの基本中の基本であると考えております。そうした中で小・中学校に空調設備を設置し、教育環境を整備・充実することは、学校における授業等に集中することができ、学力向上、人格の形成に大きな効果を上げるものと思います。

いずれにいたしましても、義務教育は教育委員会の所管事項であると考えますが、この機会に社会教育も含めて教育全般について、まちづくりのトップである市長の熱い思いをお聞かせください。

4点目の安全・安心なまちづくりについてでございます。

将来予想される南海トラフ巨大地震や多発する局地的豪雨など大規模な災害に備え、被害を最小限度にとどめるため、防災・減災力を向上させることは大変重要なことだと思います。各地域においていろいろな活動をしたりアイデアを提案する姿が見受けられますが、ぜひ理解し、助成していただきたいと思います。

また、済衆館病院を災害医療拠点とし、健康ドーム周辺を災害救護拠点として形成するため(仮称)「防災・健康ひろば」を計画することは、本市にとっても、周辺市町にとっても大変期待ができると考えます。

今回は水害対策について考えてみたいと思います。

平成12年9月の東海豪雨から早くも17年が経過いたしました。河川激甚災害対策特別緊急事業により新川本川の治水安全度は一定の水準に達したものの、流域の開発が進展している新川流域において、現状の河川、下水道、流域の施設では十分な安全に達しているとは思われません。

このような状況下において、平成16年に施行された特定都市河川浸水被害対策法に基づき、愛知県と新川流域の15市町が共同で浸水被害防止を図るため、新川流域災害対策計画を策定し、それぞれが計画に従い災害に強い流域づくりを目指しておりますが、現在、土地利用上の問題、財政の制約があり、遅々として進まないのが現状でありますが、平成29年度予算において鹿田調整池の設計費が計上されたのは大変いいことだと評価をいたしたいと思います。

しかし、本市の場合の水害対策は内水排除が大前提であり、市内の中小排水路より新川を通じて流下させるのが唯一の方法であります。

こうした場合にあって、新川の水位が危険水位になった場合、新川へのポンプ等による強制排水が停止させられます。こうなりますと本市の場合、上流の流入と合流し、大変な事態が想定されます。

したがいまして、こうした事態を打開するために、新川本川のさらなる流下能力向上対策を検討する必要があります。本市の場合、新川の上流市として愛知県並びに流域市町に働きかけていただきたいと思います。市長の考えをお聞かせください。

以上、多く述べさせていただきましたが、間もなく合併特例債の適用も終わりに近づき財源の確保がますます困難になってまいりますが、今こそ知恵を絞って、行政も議会も一体となって市政発展のために頑張るときだと思いますが、市長の前向きの答弁を期待し、質問を終わります。

 

 市長(長瀬保君)

私に頂戴いたしました6点のご質問に対しまして、順次お答えをさせていただきます。

最初に、これからのまちづくりに向けた検討についてということでございます。

ご案内のように、合併から10年という節目が経過をいたしました。さらなるこれからのまちづくりに向けまして、今年度から第2次総合計画の策定に着手いたしまして、来年度は第2次都市計画マスタープランの策定にも着手したいと考えておるところでございます。

名古屋圏に位置をいたします本市は、交通の利便性、生活の快適性など本市の強みによりまして、全国的には人口が減少するということでありますけれども、本市の人口は現在も増加傾向にあるということでございます。

今後ともこの地域の強みを生かしまして持続可能なまちづくりを強めていきたい、そんな思いで考えているところでございます。

そうした中で、交通の利便性など立地条件の強みを生かした企業立地の推進、これは仕事をつくり、人を呼び、まちに活力を与える欠かせない主要な施策の一つであります。既に沖村西部地区におきましては、平成30年度の企業立地の着手に向けまして現在取り組みを進めております。

今後さらに企業立地を推進するに当たりまして、受け皿となる適切な産業用地が必要となりまして、そのためには、ご質問のとおり、総合的・一体的な土地利用計画の見直しが必要になってまいります。

土地利用計画の見直しにつきましては、将来的な人口減少問題、そしてリニアインパクト、地域特性を生かした産業集積、鉄道高架と周辺まちづくり、さらには総合治水対策や農地のあり方などを総合的・一体的に検討していかなければいけないということでございます。大変大きな課題であり、作業になるわけでございます。

そうした中で、企業立地推進のための工業系の土地利用につきましては、国道や県道、こうした主要な幹線道路を十分生かせる地域におきまして、周辺住環境などに配慮しながら積極的に検討を進めてまいりたいと考えます。

具体的には、現在策定中の第2次総合計画、来年度より策定に着手いたします第2次都市計画マスタープランの中で、市民の皆様や有識者の方々のご意見、ご議論をいただきながら具体化させていきたいと考えます。

次に、今後の名古屋大都市圏形成を背景とした名古屋市との合併ということでございます。

三大都市圏を約1時間で結ぶと言われますリニア中央新幹線の開業によりまして、我が国の大都市圏構造は大きく変わってくるものと思います。

名古屋・大阪間が開業するまでに、リニア大交流圏の西の拠点となります名古屋大都市圏は、地域づくりにおきましてそのメリットを最大限生かしていくことが最も重要であろうと考えます。

本市におきましては、現在、市の将来ビジョンであります第2次総合計画の策定に向けまして準備を進めておるところでありますが、その最終年度であります2027年がリニア中央新幹線の開業年度となっておるところでありまして、企業活動や住民生活のさまざまな選択肢の拡大など、その影響を見据え総合計画を策定したい、そしてまちづくりを進めていきたい、そのように考えるところでございます。

そうした中で先日、市民の皆様に北名古屋市の将来像を描きながら合併を含めたまちづくりを考えるきっかけとしていただくために、「なぜ合併を検討するのか」というテーマで有識者の方を迎え、講演会を開催させていただきました。少子・高齢化、財源縮小という大きな課題を抱えながら人口減少に向かう私たちの社会は、どういう自治を目指すべきなのか、市民の方々に向けて将来を考えるための入り口を語っていただけたと思います。

今後も市民の皆様との情報交換の場やさまざまな立場の方々のご意見を頂戴する機会を設けながら、現在進めている検討結果につきましてわかりやすく説明させていただく機会をつくってまいります。

そして、名古屋大都市圏の中で合併を選択肢に加えた上で、本市の果たすべき役割と未来の姿を市民の皆様に地域ぐるみで考えていただくことができればと考えるところであります。ご理解いただきたいと思います。

次に、障害者生活支援制度についてのご質問をいただいておりますが、平成28年9月に北名古屋市知的障害者育成会より、グループホームに関しての親の願いとして、ショートステイを併用したグループホームの早期実現に向けてのご要望を頂戴しております。また、直接いろいろなところでお話を伺う機会がございます。重々この件に対して承知をしているところでございます。

平成27年3月には北名古屋市障害者計画・障害福祉計画を策定いたしまして、平成29年度末には地域生活支援拠点等を市内または福祉圏域に1カ所または面的な整備を行うといたしております。そこには資金や運営に当たっての人材確保など問題を抱えているのが現状でありますけれども、その方向性を2市1町で地域の実情に応じた研究や関係機関との調整をいたしているところであります。

本市におきましては、障害をお持ちの皆様が安全・安心にお暮らしいただけるように、できるだけ早い時期に方向性をお示ししたいと考えるところであります。

次に、国民健康保険ということでご質問をいただきました。

国民健康保険の今後の展開につきましては、県が市町村とともに国民健康保険の運営を担い、財政運営の責任主体として安定的な財政運営や効率的な事業の確保などの事業運営において中心的な役割を担うということで、制度の安定化を図ろうというものでございます。

現在、多くの市町村におきまして、単年度の収支は恒常的に赤字であります。決算補填を目的とした法定外の一般会計からの繰り入れが行われているのが現状でございます。

平成30年度以降は、県の全般的な赤字解消・削減に向けた取り組みとして、赤字市町村に対しまして個別の解消・削減の取り組みや目標年次を設定されるということになります。

また、保険税につきましては、平成30年度以降、県が標準的な市町村保険料率を示しまして、市町村はそれを参考にしつつ、各市町村の実情に応じて保険税率を決定するということになります。

将来的には保険税負担の平準化を検討することとなりますが、現状、市町村間におきまして保険税率に大きな差異があります。当分の間は、地域の実情に応じまして慎重に議論されていくものと考えるところでありますが、今後、国民健康保険の健全運営に努めてまいりたいと存じます。

次に、教育環境の充実ということでございます。

現在、子供たちが大人になり第一線で働くころには、人工知能を中心とした技術革新が進みまして、産業構造、就業構造、経済構造の大転換に加えまして、少子・高齢化の進行に伴う労働人口の減少が予測されております。

こうした時代を生き抜いていく子供たちは、変化を前向きに捉えまして、夢と自信を持って積極的に取り組んでいく力を育てていく教育が極めて重要だと思います。

そのために、学校教育におきましては、基礎をしっかり身につける、社会をリードする力を身につけ、ともに社会をつくること、教育行政においては、安全・安心で質の高い教育環境を整える、社会に開かれた学校、ともに学び合う地域をつくる、さらには社会教育においては、生涯学び、活躍するといったことを視点に、大切に取り組みを進めてまいりたいと存じます。

例えば、学校では一貫した教育理念のもと、確かな学力、豊かな心、健やかな体とともに、社会に積極的にかかわる力や生き方についてしっかりした考えを持つ教育が不可欠であろうと存じます。

さらには、学校と地域が連携いたしまして、子供たちがみずからの可能性に果敢に挑戦していくこと、互いに助け合いながら挑戦と失敗を繰り返し困難に立ち向かっていくことなど、豊かな学びを支えていくこともこれまで以上に重要になると考えます。

また、社会教育では、長寿命化、人生100年を見据え、地域社会と連携・協働いたしまして、市民が成熟社会の担い手となるための学びの場や活躍する機会の充実・強化を図ることも大切なことと存じます。

いずれにいたしましても、教育は人づくりであります。市民一人一人の力を引き出し、人生を豊かにし、北名古屋市全体を発展させる基盤であります。

教育は未来への先行投資でございます。教育の革新が子供たちの未来、北名古屋市の未来を開き、揺るぎないものとしなければならないと思います。

終わりに、安全・安心なまちづくりにおける水害対策ということでございますが、ご案内のように、四方を河川に囲まれ、河川への排水をポンプに依存する本市域におきまして、水害対策は大きな課題となっております。

本市の雨水対策については、ご質問にもございますように、新川流域の15市町によります流域水害対策計画に基づきまして順次雨水貯留施設などの整備を進めている状況でございますが、その雨水貯留施設の整備は、現在、目標対策容量の約21%の進捗でございますが、用地取得を進めている鹿田合田の調整池が完成いたしますと、約45%の進捗となると考えるところであります。

しかしながら、ご質問にありますように、新川の水位が危険水域に達した場合、新川へのポンプ排水は停止せざるを得なく、本市域における甚大な被害が想定をされるところであります。

そうしたことから、毎年、議会のお力も頂戴しながら取り組んでおります県に対する建設事業要望の中で、一昨年よりさらなる新川改修事業の検討を追加させていただいておりまして、排水調整を実施することなく安全に洪水を流下させるため、新川のさらなる治水安全度の向上を要望しておるところであります。

こうした要望活動を受けまして、平成28年2月、愛知県を初め排水調整の関係6市町によります新川沿川浸水リスク検討会が発足し、検討が開始されました。

その検討によりまして、新川のリスク低減のためには、効果的に内水被害を防ぐ方法を検討する必要が確認できたこと、今後さらに地下放水路やさらなる河床掘削などの段階的な整備と、その効果などの検討を実施していく状況でありまして、流域市町の要望が着実に前進しているものと受けとめているところでございます。

今後さらなる推進を図るためには、河川管理者であります愛知県へ要望だけではなく、流域市町も連携して責任と役割を果たしていかなければならないと考えるところであります。引き続き、議会皆様のご理解とご支援を賜りますようにお願いするところであります。

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