市政クラブ行政視

2月12日・13日にかけ、鳥取県倉吉市・島根県松江市に行政視察を行いました。倉吉市では鳥取県中部地震後の対応について、松江市では、松江市発達・教育相談支援センター「エスコ」について、お話を伺いました。

1日目

倉吉市では、倉吉市総務部防災安全課の主幹から、平成28年鳥取県中部地震を経験してと題して、概要及び初期対応・避難所の設営及び運営で、心がけたこと等を、具体的に伺うことができました。

鳥取県倉吉市

倉吉市は、鳥取県のほぼ中央部に位置し、大阪、京都、神戸からは200㎞の圏域にある。市域は、県中部4町のすべてと接しており、日本海に注ぐ天神川流域に発達した城下町である。市域中央部は盆地となっており市街地を形成し、北部は日本海沿岸の北条平野に連なっている。南西部には名泉関金温泉が位置し、大山山麓に及ぶ火山灰大地は主に畑地で、名産二十世紀梨とともに、すいか・メロン・ぶどうなど果菜類、キャベツ・ブロッコリーなど野菜類の産地である。又、東南部は主に山地で、三朝、東郷、羽合の各温泉に隣接し、城跡打吹公園とともに一帯が県立公園になっている。気象は、裏日本式気候といわれる気候区に属する山陰型に区分されている。四季を通じてしのぎやすい温暖な気候となっている。

面積 : 272.06k㎡ 人口 : 47,496人(近年は減少している)

倉吉市庁舎

会長挨拶。

説明を受けている。

調査内容

鳥取県中部地震の概要

・発 生 日 時 : 平成28年10月21日(金)14時07分

・震央・震源の深さ: 鳥取県中部・11㎞

・地震の規模 : マグニチュード6 .6

・倉吉市の震度 : 震度6弱

・地震の回数 : 437回 (平成28年10月21日〜12月20日)

※ 災害救助法の適用 : 10月21日

主な被害状況

・人的被害 : 重症5名、 軽傷6名

[重傷者の内訳]

・90歳代 女性 : 倒れてきたタンスで右足首を骨折

・90歳代 女性 : 倒れてきた暮石で腰部及び右肩を骨折

・70歳代 女性 : 階段で足を滑らせ、右前足部を捻挫

・40歳代 女性 : 沸かしていた湯により左足を火傷

・40歳代 女性 : 沸かしていた湯により左胸を火傷

住宅被害 : 9,440棟

[住宅被害の内訳]

・全壊 : 4棟 大規模半壊 : 11棟 半壊 : 235棟 一部損壊 : 9,190棟

施設の被害

公共施設の被害

庁舎等被害

・市役所本・南・東、水道局庁舎等(柱の損壊、窓ガラス破損等の被害)

公共土木被害

・道路被害 617カ所(路面の亀裂、沈下等)

・市営住宅被害 8カ所(屋根の損壊)

農林水産関係被害

・農作物被害 梨(王秋、晩三吉、あたご)等

・農林業施設被害 JA鳥取中央倉吉梨選果場、農道等の被害 : 389カ所等

上・下水道施設被害

・水道施設被害 最大断水戸数:16,000戸(推定)

・下水道施設被害 汚水管路:824m、汚水マンホール104基等

教育関係施設被害(吊り天井の落下、外壁破損等の被害)

・学校関連施設 学校給食センター 等

・体育施設 温水プール、陸上競技場 等

・生涯学習施設 地区公民館12棟

・文化財施設等 伝統的建造物230棟 等

初期対応の経過

10月21日(金)

12:12 地震発生(倉吉市震度3)

・震源は鳥取県中部(マグニチュード4.2)

・地域防災計画に基づき、災害対策本部を設置

※ 警戒本部員に、被害情報の収集と警戒体制の強化を指示

13 : 00 鳥取地方気象台に地震状況を聞き取り

・「今後、余震が発生する可能性あり」との助言あり

13 : 38 防災行政無線等により、市民に「地震に対する備え」を広報

※ 余震の可能性・家具の転倒防止等の安全対策の実施

14 : 07 地震発生(倉吉市震度6弱)

・窓ガラスの破損など本庁舎等に被害発生

※ 全職員に対し、屋外非難の指示

14 : 40 倉吉市災害対策本部設置

・市役所内は、ガラスが飛散し対策本部が立上げれなかったため、市役所隣の小学校で本部を立上げた

※ 市内全域の被害の概要調査

※ 避難所の開設準備を指示

14 : 50 倉吉市災害対策本部を県の支所庁舎に移動

※ 建築班が各庁舎の応急危険度判定を実施

15 : 59 消防団に被害情報収集を要請

※ 夕方には倒壊家屋での閉じ込めは無いことを確認

16 : 30 庁舎の安全を確認し、全職員が職場復帰

※ 本格的に災害応急・復旧対策を開始

18 : 00 小学校を中心に避難所18か所を開設

10月22日(土)

1 : 00 市内の避難者2,008人

[災害対策本部からの指示]

・各避難所に職員2名体制で対応

・市役所でブルーシールを配布

・応急危険度判定及び家屋被害調査の開始

・瓦礫の仮置き場の設置

8 : 00 ブルーシート・土のう袋の配布開始

(ブルーシート:役27,000枚配布。2〜3日でほとんど終了)配布は、年末まで行った

9 : 00 被災住宅の家屋被害認定調査(1次調査)の開始

14 : 00 被災住宅や被災宅地の応急危険度判定の開始・がれき仮置き場設置

10月23日(日)

14 : 00 福祉避難所2カ所開設

・高齢者・障がい者:最大14人(10/31)

・乳児・幼児:最大5人(10/24〜26)

10月25日(火)

9 : 30 災害対策本部を市役所本庁舎に移動

※ 本部と実施部班が同一場所で災害業務を開始(通常業務も同時に行った)

11月22日(火)

り災証明書の交付開始

・り災証明書交付数:12,492通(交付率100%)

※ 累計[平成30年6月4日現在]

11月24日(木)

被災住宅総合相談窓口設置

12月1日(木)

倉吉市復旧復興本部設置

・災害対策本部会議、復旧復興本部会議を計62回開

12月31日(土)

倉吉市災害対策本部 廃止(避難者延:8,650人)

庁舎内

耐震状況

震災後、倉吉市の震災対応で見えてきた課題

・本庁舎が被災した場合の災害対策本部の設置場所(代替施設)

※ 代替施設の優先順位と通信設備等の本部機能の整備が必要

・時間帯等による自主防災活動について

※ 朝・昼・晩・夜間等の時間帯ごとの自主防災活動の活性化

・避難所の運営の在り方

※ 避難所の開設数が多くなるほど、避難者等と協力した運営体制が必要

・生活必需品等の備蓄体制

※ 水・食料等の必要数及び備蓄場所、の見直しが必要(1ヶ所は数千人に対応できなかった)

・人員の確保

※ 通常業務と災害対応業務を同時に進めるためのマンパワーが必要

※ 他県・他市町村から円滑に人材支援を受けるための体制整備

・ブルーシート張りの実施体制の確保

※ 被害の拡大を防ぐため、屋根のブルーシート張りが不可欠

※ 迅速かつ安全に実施できる体制整備が必要

・市(公助)と自主防災組織(共助)役割分担の明確化

※ 役割分担を明確にしてお互いに連携することで、迅速かつ効率的な災害対応が可能(例えば、避難所の運営、被害調査の取りまとめ等)

今後の課題と対策

[課題1] 地震が発生した時間帯

平日の昼間に地震が発生したため、地域に残っていたのは高齢者の方が多かった

[対策]

家族や地域で様々なケースを想定し、災害時にどううごくのかを話し合っておく

[課題2] 避難所の運営体制

地震直後から様々な業務が発生し、避難所の運営には、2名の市職員しか配置できず、きめ細やかな運営ができなかった

[対策]

市職員と地域住民が一緒に避難所の運営の運営を行う。避難所で生活している人の気持ち、身体状況等を考えて行動する

[課題3] 食糧、生活必需品の備蓄

地震発生直後、避難所に多くの方が避難されたが、市からの食料等の配布が少なく、避難者全員に行き届かなかった

[対策]

行政は備蓄数量の見直し、各家庭は、非常持ち出し品の準備、家庭内の食料備蓄等を行う

[課題4] 自助、共助、公助の役割分担の明確化

市民一人ひとり、地域で対応していただくこと、行政が対応することを明確に役割分担をしていなっかたため、円滑な災害対応ができなかった

[対策]

日頃から個人や家族で行うこと、地域で行うことを話し合い、防災訓練を通じて連携体制を確認する

1日目の視察を終えて

快適な避難所を作るためには、地域住民のみなさんの力が必要であり、避難所の運営に必要な業務を、自助(一人ひとりで行うこと)、共助(地域で行うこと)、公助(行政が行うこと)が分担・連携すれば、快適に避難所を運営することができる、まさに北名古屋市においても必要と感じました。

自助でできること

避難者の適切な配置やプライバシーの保護、トイレ・ゴミ・掃除等の衛生管理

共助でできること

避難所の安全点検・開設、避難者の受付・名簿管理、飲料・水・生活必需品の配布・在庫管理

公助でできること

避難者への情報提供・安否確認への対応、避難者の健康管理・傷病者への対応、盗難防止などの防犯管理、マスコミ・ボランティア等の対応

2日目

松江市では、松江市発達・教育相談支援センター「エスコ」所長 小脇から、乳幼児期から青年期にかけての切れ目のない相談体制と支援の充実をめざしてと題して、特別支援教育の状況と必要な対応、「エスコ」の設置目的について、お話を伺いました。

松江市のシンボル松江城

松江城天守より城下町を見る

松江市は、古代出雲の中心地として早くから開け、奈良時代には国庁や国分寺が置かれていました。地名の由来は、慶長16年(1611)堀尾吉晴が亀田山に城を築き、白潟・末次の二郷をあわせて松江と称したことにはじまります。

江戸時代には堀尾氏3代・京極氏1代・松平氏10代の城下町として栄えました。そして、この頃、今日に見る都市の基礎が形成されました。

明治4年( 1871年)廃藩置県によって県庁が置かれ、同22年4月(1889年)全国の30市とともに市政を施行しました。

その後、昭和9年から35年にかけて9回にわたり周辺の村を合併、そして平成17年(2005年)3月31日に八束郡7町村と合併し、さらに平成23年(2011年)8月1日に八束郡東出雲町を合併し、現在の市域になっています。

この間、昭和26年(1951年)には松江国際文化観光都市建設法が制定され、奈良市・京都市と並んで国際文化観光都市となりました。また、平成7年(1995年)には出雲・宍道湖・中海拠点都市地域に指定されました。平成23年8月の合併により人口20万人を超え、平成24年(2012年)4月1日には特例市、平成30年(2018年)4月1日には島根県内初の中核市となるなど、山陰地方をリードする中核都市として発展してきています。

松江市の状況

・自治体の規模

人口 : 203,242人

・松江市立小中学校数・在籍数(分校を含む)

小学校 : 35校 10,664人

中学校 : 17校 4,875人

・幼稚園数・在籍数

公立幼稚園・保育園 : 27園 1,278人

・認可保育所数・在籍数

公立保育所 : 13園 1,117人

私立保育園 : 51園 5,006人

・認定こども園数・在籍数

私立認定こども園 : 11園 951人

松江市発達・教育支援センター「エスコ」

「エスコ」について説明を受ける

「エスコ」とは

乳幼児期から小・中学校の学齢期において、早期の気づきから、保護者や本人に相談を行い、生活や活動、学校での学習などの場面で、子供がもっている力が発揮できるよう保育所・幼稚園・学校と連携しながら切れ目のない支援に取り組んでいます。また、高等学校や青年期以降の相談にも対応し、関係機関と連携して支援をつなぐ拠点

特別支援教育の状況と必要な対応(〜平成23年)

・就学時など移行の際に支援が途切れたり、必要な情報が共有されていないこと

→乳幼児期から青年期までの一貫した相談支援体制をつくる

・行政をはじめ、関係機関のつながりが弱く、総合的な視点からの状況の把握ができていないこと

→教育・保健・福祉・医療等の連携を強化する

→情報を一元管理及び共有化する

・早期からの適切な支援を必要としている子どもがいること

→早期の気づきを高めるための取組を強化する

→発達障がい幼児の療育を拡充する

・特別支援学級及び通常の学級においても学習や対人関係面等の困難を有する児童生徒が増加していること

→教職員の支援力の向上を図るとともに人的・物的支援を行う

職員体制

平成22年まで、教員3名を含み7名体制

平成23年以降は、教員10名を含み22名体制

「エスコ」設置目的

心身の発達に支援の必要な児童等(青年期や保護者を含む)に対し、乳幼児期から青年期にかけての相談、指導、療育等を行うことにより、その心身の発達を支援し、もって自立と社会参加を促す

「エスコ」での支援及び流れ

松江市での通常の学級における特別な支援が必要な児童生徒の割合小中学生平均で10%

早期の気づき・早期支援

・発達健康相談

・3歳児健康診査

・5歳児健康診査

※ エスコの指導主事、臨床心理士等がスタッフとして参加

5歳児健康診査

[目的]

4歳後期の幼児を対象に健診を実施することで、

・保護者に発達過程を意識させる機会とする

・就学に向けての適切な支援を提供する

→心身の健全な発育・発達に資する

早期の気づきに係る課題

・保護者から「大勢の大人に見られている中で子ども集団行動を観察されるのはあまり良い気持ちがしない」という感想

・在籍園から1次健診において「園では気になるが、SDQの結果は、保護者の結果のみが反映されるため2次健診につながらない」という意見

・3歳児健診の相談内容で、生活リズムのこと、兄弟げんか、家庭環境などがあり、保健師の対応か、エスコの対応か検討が必要

・健診後のフォローは、保健師、またはエスコのどちらが中心に成るのか蜜に連絡を取り合う必要

エスコの相談支援の流れ

主な相談内容と対応

早期支援 : 幼児の療育の実施

・発達障がい等の子どもを対象に週1回個別の療育や4〜5人のグループ療育をを実施

(3歳〜就学前の子どもが対象)

・子どもの実態に合わせて4つのカテゴリーを中心とした療育を行う

① 「感覚・運動」

② 「コミュニケーション・社会性」

③ 「認知」

④ 「学習態勢」

・平成29年度実績

療育実施数49名(のべ858名)

園連携 148回

幼稚園での療育「特別支援幼児教室」

・公立幼稚園・幼保園の8園に13教室設置

(3歳〜就学前の子どもが対象)

・週1回、決まった曜日に幼児教室で指導を受ける

1.幼稚園生活の中での個別的な支援

2.幼児理解と子どもへの対応の在り方に気づくための保護者支援

・小学校・中学校・ろう学校の通級指導教室担当との連携

・土曜日の幼児教室実施

エスコ療育「にこにこ教室」

個別の療育室

教室の内容をテレビカメラを通じ、別室にて保護者に見てもらう

ペアレントトレーニングの実施

「のべのべ教室」

・月2回全8回の連続講座

※ 子育てに難しさを感じている幼児〜小学校2年生の子どもの保護者が対象

・子どもとのかかわり方、楽しい子育ての仕方を講義やワークを通して学んだり、情報交換したりする

・平成29年度実施

前半(6〜10月) 2グループ 13名

後半(11〜2月) 2グループ 14名

医療との連携を強化する

[課題]

・学校から保護者への安易な医療受診の勧め

・診察の際、学校での様子に関する情婦不足

→「松江市発達障害の診療体制を考える会」発足

医療関係者 : 小児神経専門医・小児科医

教育関係者 : エスコスタッフ他

・教育から医療への情報提供のシステム検討

・エスコが原案作成し、上記の会で内容検討

人的支援内容

エスコ設置のメリット・デメリット

・行政の体制が充実が教育現場の実践力低下にならないように

※ 答えを教える

※ 人的・物的支援をする

→整理 : 支援の対象・目的・・・誰が何に困っているのか

→ともに考え、お互いができることを出し合う

2日目の視察を終えて

松江市の方が最後に話されたのは、支援は難しい(大人にも余裕がない)

・子どもへの支援

・保護者への支援

・学校等教育者への支援

など、丁寧に、粘り強く、責めない姿勢をもちつつ、組織の充実と個々の子どもの教育的ニーズに対応していくことが大切であり、全国的に見ても「発達障がい」の理解は広がりつつあり、また、障がいという垣根も低くなってきており、今回の視察において、障がいがあろうとなかろうと、何らかの「困り」があるならそのニーズにあたり前に対応することが大切であると考えさせられました。また、職員の体制についても、教員がもっと積極的に関わるべきであり、北名古屋市においても、取り入れていきたいと思いました。

視察をお終えて

両市の皆様には、貴重な時間を割いて私どものため、お話をいただき、ありがとうございました。震災にどう対応されたか、特別支援教育で必要な対応及び、どう支援されているか、現場の生の声をお聞きし、北名古屋市で、すぐにでも取り組める内容もあり、市政クラブとして、行政に提言していきたいと思います。

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