牧野孝治
議長のお許しをいただきましたので、市政クラブを代表して一般質問をさせていただきます。
まずは、市長におかれましては、このたびの選挙におきまして、見事3期目の当選を果たされましたことに対しまして、心よりお喜びを申し上げます。
私たち市政クラブも10人で再結成し、新たなスタートを切ることとなりました。これからも市議会最大会派の責務として、またおのおのの掲げた公約の実行と、皆さんから負託された思いをしっかり受けとめ、市民の皆様の福祉の向上と安全・安心の確保に向け活動を続けてまいる所存であります。どうかよろしくお願い申し上げます。
さて、本市では、昨年6月、市民協働のまちづくりを進めていくために、協働についての考え方や協働を実施する上でのルールなど基本的なことを示した北名古屋市市民協働指針を策定し、支え合うまちづくりが確実にステップアップしているところと理解するものであります。
委員長を務められ、指針策定に尽力されました池田賢作氏は、市民協働のきっかけは、このまちをもっとよくしたいという小さな思い、その思いを放っておいたり、行政任せにしたりしないで、みずからが行動し、仲間を募り解決していく。そうしていくことで地域住民のきずなが生まれ、地域の課題を市民みずから解決していく力になると思いますと述べられています。
このことは、防災・減災対策の実効性を高める方策として使われている補完性の原理である自助・共助・公助の仕組みである相互扶助の精神、すなわち市民の皆さんから積み上げていく住民主体の自治システムが根幹にあるものと考えられます。本市の将来を見据えたまちづくり、人づくりのために、この取り組みは着実に進めていかなければならないと思っているところでございます。
こうした観点を含めまして、市長の本定例会における所信及び施政方針に対しまして、何点かお伺いをいたします。
最初に、福祉・医療に関する制度の整備についてであります。
公立病院のない本市にとって、いつでも適切な医療が受けられる環境整備は、喫緊の課題でありました。そのような背景から、市内の民間救急病院への積極的な支援を行い、24時間対応の救急医療体制を確立する施策は、安心の確保の観点から理解をするところでございます。
一方、現実問題として、医療費の増大は保険財政を圧迫し、保険事業の運営を維持するために、保険税負担の見直しが避けられないことは、市民にとっては大変厳しい選択となります。
このようなことから、国は今のペースで医療費がふえ続けると、それを補うために、個人や企業が負担する税金と保険料がふえ続けることを懸念し、医療費の抑制を進めるため、2016年をめどに都道府県ごとに医療費削減目標を設定する方針が示されました。市民に最も近い存在である市町村は、救急を含めた24時間体制の医療ニーズと都道府県の医療費削減目標のはざまに立つことになりますが、このことについてどのようにお考えになっているのか、お伺いをいたします。
2つ目に、未来を託す世代への支援についてであります。
これからの社会を支える次世代をしっかり支援していく取り組みとして、小・中学校の空調設備の充実、小学校区を目安に運動広場の設置、就学前の環境整備として、保育行政の充実、私立幼稚園への支援、さらには、多様化する教育ニーズに対応するための一貫教育を選択肢とする取り組みは、財源の厳しい中ではありますが、まさにまちづくりは人づくりの視点から評価するところでございます。
しかし、次世代教育については、行政サービスとして提供するだけではなく、家庭ですべきこと、社会全体ですべきこともあります。行政としても、家庭や社会に何らかの形で働きかけていくことが重要であり、求められているものと思いますが、どのようにお考えになっているのか、お伺いをいたします。
3つ目に、災害に備えることについてであります。
本市にとっても、14年前の東海豪雨の記憶は拭い去ることはできません。さらには、阪神淡路大震災や3年前の東日本大震災、想定される南海トラフ大地震に思いを寄せますと、災害に備えるまちづくりは大変重要なテーマであります。
今回、行政の役割として緊急時におけるヘリコプターの発着場、救援物資やボランティアの方々が集まる場所の確保、医療の拠点などとして、健康ドーム周辺にスペースを確保しておくことを検討されることは、まさに安全なまちづくりを目指す本市にとっては大変重要な取り組みと理解するところであります。
ただ、冒頭に述べましたが、有事に際しては、市民の皆さんが自助・共助の相互扶助の精神をいかに発揮できるかが大変重要ではないでしょうか。
そこでお尋ねしますが、自助・共助の仕組みがうまく働くように行政としてのお考えはあるのか、お伺いをいたします。
4つ目に、都市基盤の整備についてであります。
市長は、昨年後半から街頭に立たれて、本市が取り組んでいるテーマや将来のまちづくりについての思いなど、200カ所を超える地域で訴えられ、側溝や用水など、ご自身の目で見たり、市民のお声をお聞きするなど積極的な取り組みをされてみえました。改めて、その行動に敬意を表する次第でございます。
さて、都市基盤整備については、都市の魅力を高める運動公園の整備にあわせ、その地下に雨水貯留施設を整備する排水対策と、リニアインパクトへの対応として広域での連携体制をつくり、大都市圏域としての行政機能向上を意識した動きが活発する中、鉄道立体交差化などを実現することで都市機能を高め、本市が魅力あるまちとして、選択肢として必ず上がる都市となるよう取り組んでいかなければならないと構想が述べられています。
国も地方公共団体の組織及び運営の合理化を図るため、昨年、地方制度調査会の答申を踏まえ、地方公共団体が相互に連携する際の基本的な方針等を定める新たな広域連携の制度の創設を措置いたしました。
このことを踏まえまして、行政機能向上についてどのようにイメージされているのか、お伺いをいたします。
最後に、今後の財政運営についてであります。
所信の中で、本市でも確実に少子・高齢化の波が押し寄せて、扶助費は増加、生産年齢人口の減少による税収の減少、道路、橋などのインフラや公共施設の老朽化に伴う整備、公共下水道事業の推進など、財政を圧迫する要素が山積している。しかし、消極的な財政運営を行ったのでは、まちの発展は望めない。リニア中央新幹線の開業をチャンスと捉え、社会基盤づくりを計画的に進めると表明されています。
さらに、そのためには、集中と選択で効果性の高い事業を優先させ、企業誘致による税収確保、計画的な財政運営による盤石な行政基盤の構築を進めることが肝要であると結ばれております。
このことは、市長が今回の選挙で皆さんにお約束された「夢に向かって実行あるのみ」と宣言された取り組みであると理解するところであります。
改めてお尋ねします。本市に限らず、多くの市町が財政のありようについては大変苦慮いたしております。本市の盤石な財政基盤の構築に向けて、市長の決意を改めてお伺いいたします。
私たち市政クラブは、皆さんのお声をしっかり受けとめて、市長とともに本市の発展のために努力は惜しまない覚悟であります。本市が誕生して10年目を迎えようとしています。8万有余の市民の皆さん願いである健康快適都市の実現に向けまして、市長の一層のご尽力を切に望みまして、質問を終わります。
市長(長瀬保君)
お寄せをいただきました数々のご質問に対して、順次お答えをさせていただきます。
まず最初に、福祉・医療に関する制度の整備についてということでございました。
ご案内のように、社会保障制度は、まず自立を基本とした上で、それを共助と公助が補完する制度という意味でございまして、共助であります年金、医療、介護、この公的保険制度にありましては、本来、社会保険料、さらには保険給付の財源を賄っていくという原則論があるわけでございます。
しかしながら、医療費はご指摘のように全国的に増加傾向にあるということでありまして、これに対して一般財源の投入、そして保険料の負担がふえ続けていく、こうしたことが懸念されているところでございまして、国におきましては、中・長期的に受益と、そして負担の均衡が整っていける持続可能な社会保障制度を確立するために検討がなされているということでございます。
こうした現状の中におきまして、24時間対応する救急医療体制の確立が求められているということでございまして、本市におけます市民に対して安全でより質の高い医療を提供することが、まさしく公的保険として必要不可欠であるテーマでございます。
今後におきましては、地域包括医療の体制づくりを初めとして、医療、そして介護の連携の中で医療提供体制、こうした面を改めて整えていかなければいけない。そして、その中に限られた医療資源を効果的に、さらに無駄なく活用していくことが必要であるというふうに考えます。
また、医療費の削減という観点について申し上げますと、不要不急な治療、そして投薬、これらを極力控えていただく。こうした面が最も大切なことではなかろうかと考えるところでございます。
しかしながら、患者さんから求められれば薬の種類もふえてまいりますし、またこの量もふえざるを得ないという現実、こうした面も考慮せざるを得ないだろうと、このように考えます。まさしく自分の健康は自分で守る、そして子供や高齢者に対しましても、家族が愛情を持って接していく、これらがまさに健康を守っていく原点ではなかろうかと感じます。こうした姿がまさしく理想的に実現化されていけば、なおかつ健康を維持できるんではなかろうかと、このように考えるところであります。
なお、北名古屋市の医療費で申し上げますと、本市の医療費は、国が指標としております国内平均の1人当たりの年間医療費に近い水準、むしろ若干低目に推移しているところではありますけれども、市民の皆さんの健康管理に対します高い意識をいかに持続、そして高揚していくかが鍵になってくるものと考えるところであります。
今後も保健センターを中心といたしまして、健康づくり、さらには予防医療、そして高齢福祉を中心とした介護予防、これら事業をあわせまして、医療費の抑制に努めてまいりたいと考えているところでございます。
そして次に、未来を託す世代の支援ということでございました。
行政としまして、家庭や社会に何らかの形で働きかけていくことが重要であろうと思います。求められているとの意見でございますが、これについて、全く相通じるものでございます。
一例を挙げますと、学校教育の現場におきまして、昨年から取り組んでおりますコミュニティー・スクールという制度を導入しているところでございます。この事業は、学校と地域の活性化を目的としておりまして、学校に対する保護者、そして地域のご理解を深めていきたい。そして、さらに市民協働の取り組みといたしまして、学校支援活動の活性化を図るということでございます。
学校、家庭、地域が連携をしていくことによりまして、地域のきずなと交流がさらに深まり、愛着心が高まっていくという声も数々頂戴しているところでございます。
昨今では、父親が育児参加も社会に浸透されつつあるところでございまして、市内のほとんどの地域で、高齢者が子供の登下校を見守っていく活動も浸透しつつあるということでございます。さらに、最近では、共働きのご両親にかわって孫育てをするシニア世代の活動に注目する動きも始まっているところでございます。
行政が家庭や社会に働きかけていくことのできる領域は、まさにこの点であろうかと感じているところでございまして、こうした動きを何らかの形でサポートできる持続可能な仕組みをつくって地域に浸透させ、次代を担う子供たちの豊かな成長を地域ぐるみで支えていく、これらは最も重要な事柄であろうと存じます。
3点目でございますが、自助・共助をどのように機能させていくのかというテーマでございます。
有事ということで考えますと、自助・共助、そして公助がうまく機能する、これがまず市民お一人お一人が災害に対して関心を最も持っていただくテーマであろうかと存じます。それらがきっかけとなりまして、防災・減災の知識へとつながり、ごく自然に自助、そして地域での共助、こうした面へと広がっていくものと考えるところでございます。
ご案内のように、市では自主防災会などの機関、団体が行います防災訓練、さらには防災講話など、市民一人一人が自発的に行動ができるよう努めているところでございますが、有事の際にそれらがどのような効果としてつながっていくか、ご心配をいただいているところであろうかと存じます。
本市としましては、日ごろの訓練、講話、そして実際の効果にさらにつながるようにさらに知恵を絞りまして、東北におけます被災、いわゆる具体的に言いますと、東松島市との連携協定、こうした実践した被災団体の取り組み等も参考にさせていただきまして、さらに内容を深めてまいりたいと存じます。
次に4点目の行財政機能向上ということでございました。
これもご案内のとおりでありまして、去る5月30日に地方自治法の一部が改正をされたところでありまして、特に基本的なあり方としては、連携協約、そして代替執行、こうした制度が創設をされまして、地域の実情に応じて有効に活用されることが期待されております。これらは、急速に進行する高齢化社会の実現に伴う行政課題、さらには老朽化が進む社会資本の運用管理、隣接自治体と連携することで行政機能を補完していく、こうした方向性が明確にされたということでございます。
本市におきましては、名古屋市で現在進めておりますごみ焼却場の建設を初めといたしまして、道路を含めた公共交通網の整備、さらには大規模地震、ゲリラ豪雨、都市型水害対策、こうした防災対策はもちろんでございますが、住宅、教育、雇用、こうした居住地としての水準を高めるということでありまして、今テーマであります鉄道立体交差化によります都市機能の強化、そして企業進出のための環境整備を積極的に進めていく、市の魅力を高めていく、こうした事業に対して、広域連携を軸とした行政機能の向上に取り組んでまいりたいということでございます。
最後に、財政運営につきましてご質問を頂戴したところであります。
少子・高齢化の進展、道路、橋梁を初めとしたインフラ、そして公共施設の老朽化、これに対して今後の財政を圧迫してくるものと思います。しかし、リニア新幹線の開業、そして名古屋市を中心とした地域の連携、こうした施策の推進によりまして、本市の役割は大変重要な位置づけになってくると感じるものでございます。こうした期待に応えるべく、さらに発展を遂げていくために、社会基盤づくりを計画的に進めていく必要がある。それには、長期的視野に立った持続可能な財政運営を進めなければいけないと考えるところであります。
具体的に歳入という面にあって捉えますと、企業誘致を推進し、市税を初めとした自主財源を確保するということでございます。
歳出では、集中と選択の理念をもとに、現状課題、そして客観的な分析することによりまして、予算の適正配分、こうした面で公共施設の統廃合、さらには適正な管理、さらには基金総額の計画的な確保、大局的な視点から、市民全体の利益、そして発展につながるよう財政運営に努めてまいりたいと存じます。
いずれにいたしましても、近視眼的になることなく、長期的視点のもとに地方自治の基本に立ち返りまして、最少の経費で最大の効果を上げる最大の努力をしてまいりたいと思います。将来の世代に負担を残すことのないように、計画的かつ効率的、非常に抽象的な言い方でございますが、こうした行政運営に努めて、盤石な財政基盤を築き上げてまいる所存でございます。
数々申し上げましたが、いずれにいたしましても、今本市が取り組んでおりますごみ焼却場の建設、さらには鉄道立体、さらには企業誘致を前提とした区画整理、こうした大きな事業が市政として大きな根幹であります。将来に向けて、さらに精いっぱい市としての将来を見きわめた中で取り組みを進めてまいりますので、格別なお力添えとご理解を頂戴したいということで答弁にかえます。
よろしくお願いします。ありがとうございました。