1.成年後見制度の相談窓口・支援機関の設置について 2.名古屋市収集車の運行ルートについて

井上 一男 井上一男

団塊世代全員が75歳以上の後期高齢者となる2025年、厚生労働省の推計によれば認知症の高齢者(65歳以上)は約700万人となる。

認知症予備軍に当たる軽度認知障害(MCI)の人は2012年時点で約400万人、この予備軍まで含めると1,000万人は超えると見られ、高齢者の3人に1人となる。

80代後半の2人に1人が認知症と推計されることからわかるとおり、認知症の最大の原因は加齢、年齢を重ねるほど発症リスクは高まるため、既に超高齢化社会の日本では誰もがなり得ると考えたほうがいい。

なっても人生は終わらないし、支えてくれる仲間もたくさんいる。認知症になっても私は私、自分のことは自分で決めたい。

このような声に応えるべく認知症や知的障害などで判断力が不十分な人を支援するのが、2000年4月から始まった成年後見制度です。

数年後では手遅れになりかねない事の重大さに鑑み、認知症などに関する成年後見制度の相談窓口、支援機関の設置について質問させていただきます。

ことし1月から2月にかけ、東図書館にて本市の高齢福祉課主催の「人生の最期まで安心して生活するためにエンディングを考える講座」に参加しました。

4回に分け、人生の総括として、これまでの生き方を見詰め直して、これからの人生自分らしく前向きに生きるための講座でした。

その内容と参加人員を披露しますと、1回目、いぶき野クリニック院長による「在宅医療でできること~在宅での看取りについて~」103人、2回目、松田弘一司法書士事務所による「分かりやすい遺言・相続対策~親族がもめないために~」80人、3回目、一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター愛知県支部による「成年後見制度って何だろう?~分かりやすい成年後見制度講座~」82人、4回目、NPO法人きずなの会による「自宅の片付け・葬儀・お墓はどうしたらいいのか~実際の現状から考える~」87人、と主催側の予想をはるかに上回る参加者が聴講されました。非常に関心度のある講座でした。

そして、昨年から年4回開催されている行政書士による成年後見制度の無料相談の件数は7件、社会福祉協議会主催の司法書士による無料相談の件数は41件、そのうち相続・贈与・遺言については26件と、昨今の急激な高齢化に伴う相談が増加の一途をたどってきております。

本市の担当職員への聞き取りですが、成年後見制度の相談内容は、制度自体から、今は親族の方から後見制度の利用申し立てはどうしたらいいのかなど具体的な問い合わせ、相談が多くなってきているとのことです。

本市の成年後見制度を利用される対象者は3,152人(平成31年4月現在)、内訳としては、認知症高齢者(認知症自立度2以上の判定者)は2,025人、知的障害者525人、精神障害者602名。

この人数は本市の約3.7%の割合となります。

成年後見制度とは、繰り返しとはなりますが、認知症や知的・精神障害などで判断能力が不十分な人にかわり、弁護士、司法書士、福祉関係者、親族らが預貯金の管理や福祉サービスを初めとした身上監護事務を支援する制度で、約21万8,000人が利用(2018年度時点)。

家庭裁判所が後見人を選任し、弁護士ら専門職の場合には利用者が月2万円から3万円の報酬を支払う。

最高裁は、生活支援の業務に対する報酬を手厚くし、状況に応じて後見人を交代しやすくするなど、運用を変更する考え方を示している。

また、ことしの3月18日に基本的な考え方として、後見人にふさわしい親族など身近な支援者がいる場合、本人の利益保護の観点から、親族らを後見人に選任することが望ましいと提示しています。

このように、現在3,152人の方がまずは成年後見制度の利用についての相談窓口、支援機関を求めております。

親や配偶者などが後見人となる親族後見人を支援し、家庭裁判所や弁護士ら専門職及び医療・福祉など関係機関同士の調整役を担い、地域連携ネットワークを強化することなどを目的とする成年後見センターの開設が必要ではないでしょうか。

この成年後見センターは、利用者や親族の相談に乗るほか、後見人を選任する家庭裁判所に候補者を推薦したり、専門職や医療・福祉など関係機関が連携したりして利用促進の鍵を握る要だと思います。すなわち地域のネットワークの創設であります。

成年後見制度における成年後見人の仕事は大きく分けて3つあります。

1つ、身上監護事務。これは介護そのものをすることではなく、本人に介護が必要な場合、介護を受けることができるようにすることです。実際には、介護保険の申請や介護施設との契約、医療機関の入院手続などです。

2つ目、財産管理事務。最も基本的な事務は、預貯金通帳の記帳方法による入出金のチェックと必要な費用の支払い、そして現金出納帳を作成し現金を管理する。さらには、不動産の管理や納税などの資産管理です。

3つ目、成年後見人を監督する立場の家庭裁判所への報告。通常は、家庭裁判所より報告を求められますので、その指示に従って提出します。

上記の仕事、事務は、法律や福祉の専門家ではない親族後見人にとってはとてもしづらいのが現状であります。

また、成年後見制度には法定後見制度と任意後見制度があり、何もかも慣れないことだらけで、どうしても親族が気軽に相談できる窓口、支援機関が必要になってきます。

昭和の書家・詩人、相田みつをの作品集の一つに「花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 根は見えないんだなあ」があります。

この作品に地域のネットワークを当てはめてみると、花は支えられる人、本人、枝は後ろ盾となって陰で支える人、親族後見人、幹は、本人、親族後見人と家裁など関係機関との調整役、成年後見センター、根は、家庭裁判所や医療・福祉など関係機関や弁護士ら専門職など。

この根っことなる地域連携ネットワークをつくれば、幹である成年後見制度を支え、枝が育ち、花がしっかりと咲く大木となるでしょう。

地域連携ネットワークに、医療・福祉関係団体、弁護士ら専門職に加え、地域包括支援センター、社会福祉協議会、自治会など地域関係団体、金融機関、民間団体、民間企業、NPOなどが加われば、認知症と共生する社会ができ上がり、誰もが認知症になる可能性がある私たちにとって、そうなっても困らず快適に暮らせる仕組みができ、過度に恐れる必要もなくなるのではないでしょうか。

本市には、中心部南北に名鉄犬山線が通っており、踏切は10カ所あります。

あってはいけないことではありますが、認知症高齢者の方がひょっとしたことから列車をとめ、運行の遅延を生ずるなどして経済的損失を与え、本人及び家族に損害賠償を求められたらどうなるのでしょうか。

このようなケースは、現在の損害保険では保険対象外であり、認知症高齢者の過失と家族の監督責任が問われることから、解決策が非常に難しいケースであります。

認知症の方が起こした事故などに関しては、国において自動車事故による自賠責保険を除いては公的な救済制度がなく、各市町村で独自の救済制度の創設が検討されております。

認知症の方の事故での保険金の支払いは、より限定的になる可能性である現状、社会的負担での解決が検討される時期に来ていると思います。

今、損害保険業界では、認知症専門保険が予防機能を付加し続々と登場しています。

保険料の多少はあるものの、自分本人及び家族のためにも吟味して保険加入する時期でもあると思います。

そのためにも、根っこの地域連携ネットワークに保険アドバイザーやファイナンシャルアドバイザーが参加して、後見人のさまざまな悩みや課題についての相談をワンストップで対応できる支援機関が重要な位置づけになってきております。

そこで、福祉部長にお伺いします。

1.成年後見制度(親族後見人)を支援する機関の設置はいつをお考えですか。
2.支援する機関は本市の直接運営か、それとも委託運営でしょうか。直営の場合は、どのような組織体制を考えていますか。委託運営の場合は、どこへ委託されるのでしょうか。
3.支援機関の役割と活動はどのように考えているのでしょうか。

積極的な取組を求めるものですので、見解をお聞かせください。

次に、2つ目の質問です。

温水プールの余熱供給元である北名古屋清掃工場の現場を外周視察してきました。

ことし4月末現在の進捗状況は52.7%と予定どおりに建設が進んでいるとのことであり、本市、名古屋市、豊山町及び衛生組合の連携がしっかりととられているからこそと感心しました。

令和2年、来年7月の供用開始に向け、今後も引き続き安全に確実に進めていただきたいと思っております。

本市の担当職員によりますと、平成28年10月に地元に対し整備運営事業の説明会を開催し、事業概況の中で、施設の特徴、建設工事、収集車経路図(広域図)など説明し、その後、平成29年5月に地域における生活環境の保全を目的とした地域連絡協議会を開催し、収集車搬入・退出ルート図でより踏み込んで現況の交通量(午前7時から午後6時まで、1時間当たりの車両数を名師橋交差点中心に4コースで示す)と、収集車搬出入のピーク時の時間帯(午前9時台と午後2時台)の台数について説明がされたとのことでした。

そのとき提出された資料を見せていただきました。

その資料によりますと、名古屋市の収集車運行ルートは、北名古屋清掃工場に隣接する名師橋交差点を中心に東ルート(比良新橋を渡り名古屋中環状線(堤防道路)を走行する)、西ルート(丸中橋を渡り名古屋中環状線(堤防道路)を走行する)が示され、搬入ピーク時の午前9時台と午後2時台で記入されておりました。

午前9時台では、本市、豊山町、名古屋市の収集車合計77車、うち名古屋市収集車が50車、午後2時台では、本市、豊山町、名古屋市の収集車合計72車、うち名古屋市収集車が63車となっています。

朝夕の混雑度が低い時間帯ではありますが、ピーク時の収集車台数はかなりの台数が名古屋中環状線(堤防道路)を通行することになり、一般車両は収集車を避けるため堤防道路の北側へ流れ、地元市民などの生活環境が脅かされる懸念があると感じました。

職員も、説明会や地域連絡協議会からも同様な意見があったとのことでした。北名古屋清掃工場は、市民生活に必要不可欠な施設ですが、これまでに示された収集運搬については十分な議論がなされていないと思います。

そこで、防災環境部長にお伺いします。

名古屋市収集車の運行ルートは、名師橋交差点を中心に東ルート、西ルートでありますが、どうして名師橋交差点の南側ルートは考えられていないのでしょうか。

この南側ルートが設定されれば、名古屋市からの搬入時間と距離も短縮され、名古屋中環状線(堤防道路)の負荷が減り、その沿線地区の地元市民などへの影響が減ると思いますが、見解をお聞かせください。

今、本市では景気の低迷や東日本大震災を初めとする自然災害、2020年には人口減少局面に入ると予測され、超高齢社会への対応が喫緊の課題となり、時代のニーズに沿うため第2次北名古屋市総合計計画を策定されました。前半の4年間(2018年度から2021年度)を第1次実施計画として主要な16の重点事業を展開しております。

今回質問の成年後見制度の対象者のための特別養護老人ホーム建設や、障害者の生活拠点となるグループホームの整備を行う計画があります。

認知症の方や障害を持つ人々が地元企業から依頼、雇用され、長く働ける土壌ができれば支えられる側から支え手に回り、経済と本市の社会保障制度の安定につながると思います。

また、北名古屋清掃工場とその余熱を利用した温水プールでは、災害時での一時避難場所、ライフラインでの電気の供給、飲料水の確保、5,000立方メートル雨水貯留槽の設置による雨水排水対策などに対応しており、そして楽しみながら将来を担う若い子供や孫世代の健全な成長づくり、高齢者の健康長寿を一日でも長く延ばす健康づくりなどにも生かせると思います。

100メートルの煙突が凜と立っており、遠方より煙突を見ただけで北名古屋市ここにありと、まさしく本市のシンボルとなることでしょう。

新元号となった令和の時代は、名のごとく、麗しく平和を築こうという合い言葉にもなります。

私たちが住む本市も、健康快適都市として1歩、2歩と前進する元気な北名古屋市となれることを願い、私の個人質問を終わります。

 

 福祉部長(伊藤誠浩)

成年後見制度の相談窓口・支援機関の設置につきまして、お答えをいたします。

高齢化が進む中、成年後見制度は今後ますます必要不可欠な制度となります。

成年後見制度の利用の促進に関する法律では、市町村の講ずる措置として、当該市町村の区域における成年後見制度の利用促進に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努めるとともに、成年後見制度等実施機関の設立等に係る支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとするとされております。

現在、本市では地域包括支援センターにおける市民への啓発や、相談窓口を通して把握した親族申し立てが難しい方や虐待の事案などに対して、市長申し立てや成年後見制度利用支援事業の利用が望ましいか否かを検討し、司法書士等専門職員への橋渡しを実施しているのが現状でございます。

さて、ご質問の1つ目である成年後見制度(親族後見人)を支援する機関の設置時期につきましては、国の示す成年後見制度利用促進基本計画に準じて本市計画を令和2年度に策定した上で、その計画に基づいて令和3年度中に開設することが努力義務となっておりますので、現在検討を進めているところでございます。

2つ目のご質問である支援する機関は直営運営かそれとも委託運営かにつきましては、利用頻度や経費を考慮し、直営設置ではなく広域での事業委託が望ましいと考えており、現在、本市、清須市及び豊山町の2市1町におきまして情報共有を進めているところでございます。

なお、組織につきましては、福祉・医療や法律の専門職員等を複数人配置する体制が望ましいと考えております。

また、その委託先でございますが、今後、他市町の例を参考に検討してまいりますのでお願いします。

3つ目のご質問である支援機関の役割と活動はどのように考えているかにつきましては、成年後見センターという機能に虐待支援を含めた権利擁護支援センターが望ましく、組織の中核である広報機能・相談機能・利用促進機能・後見人支援機能に加え、地域連携ネットワークの場として各種会議の事務局機能、法人後見機能をあわせ持つことで多様なニーズに応えることが可能となる体制づくりを推進することが重要と考えております。

認知症、知的障害その他の精神上の障害のあることにより、財産や日常生活等に支障を来す人たちを社会全体で支え合うことは、超高齢社会における喫緊の課題であることから、今後はこの後見制度の普及推進に力を入れてまいりますので、ご理解賜りますようよろしくお願いをいたします。

 

井上 一男 井上一男

今の回答で、成年後見センター機能に虐待支援を含めた権利擁護支援センターを広域での事業委託が望ましいという考え方、私も賛成、同感でございます。

国の示す努力義務であります令和3年に開設することを検討するということ、ぜひとも一日も早く開設をお願いします。

しかし、今利用される対象者は3,152人お見えになる本市においては、日々を重ねるごと利用対象者が増加する現状を考えてみますと、まずは市長申し立てや成年後見制度を利用して橋渡ししている東庁舎1階の地域包括支援センターのカウンターに成年後見制度の相談窓口という看板を設置していただきたいのですが、どうでしょうか。

 

 福祉部長(伊藤誠浩)

国におきましては、先ほども質問にございましたように2025年問題として団塊の世代の方たちが支援を必要になる、認知症に患われる方が5人に1人になるということでお聞きしております。

そういう中で、成年後見制度を必要とする高齢者の方はますます増加していくものと考えられます。

そういう中でいきますと、議員がおっしゃられるとおり、現段階でできることをPRとして進めていくとともに、今後さらに啓発としまして看板等の設置をしてわかりやすく、相談しやすい窓口体制をつくっていきたいと思いますのでよろしくお願いをいたします。

 

 防災環境部長(桑原邦匡)

名古屋市収集車の運行ルートについて、お答えします。

名古屋市収集車の運行ルートは、名古屋中環状線を利用し、比良新橋方面からの東ルート、丸中橋方面からの西ルートで計画されており、ピーク時における想定通行車両につきましては議員ご指摘のとおりでございまして、地元説明会や工場周辺の企業等で組織された地域連絡協議会におきまして、平成29年5月に説明がされたところでございます。

本市では、名古屋市に対して北名古屋市内の通行を必要最低限の範囲で自粛することを申し入れしており、それに対して名古屋市が、みずからごみ収集を実施する区域を鑑みた上で名古屋市収集車の運行ルートを定めたものでございます。

議員ご指摘の名師橋交差点の南側ルートにつきましては、名古屋市収集車の運行ルートとして定められておりませんので、この点について名古屋市に確認したところ、名師橋を通過する南側ルートにつきましては、名古屋市の収集車が通行するピーク時間帯とショッピングセンターの開店時間が重なるため、比較的渋滞が少ないと想定される東西ルートを選定しているが、地域からは渋滞に対する懸念の声があり、渋滞対策は重要な課題であるとの回答がございました。以上で答弁とさせていただきます。

 

井上 一男 井上一男

私も名古屋市の収集車運行ルートについて、北名古屋市の防災環境部長に質問するのは心苦しさはありますけれども、この問題は北名古屋市の住民の生活道路にかかわることなので再質問させていただきます。

名古屋市収集車の運行ルートは、東ルート、西ルート、南側ルート、3ルートで利用を考慮すれば名古屋中環状線の負荷が減ることから、南側ルートの3分の1とした場合、20台前後の利用ができると思うんですけれども、50台から20台前後、このあたりはどうでしょうか。

 

 防災環境部長(桑原邦匡)

ただいまの私の答弁につきましては、事前通告がございました井上議員からの質問に対し、名古屋市の回答を私のほうから代弁させていただいたことにすぎません。

ただいまのお申し出、南側ルートの設定によりまして中堤防の負担が軽減される、ごもっともでございますけれども、それにふさわしい私の適切な答弁が、本日についてはご用意がございません。

もとより名古屋市、そして衛生組合のほうから今回、この衛生組合から清掃工場の説明につきましては事前に説明の機会を調整するご用意があるということでございましたので、今回、名古屋市職員の同席を求め、ただいまの申し出についてしっかりと答弁していただくように求めてまいりますので、ご理解賜りますようよろしくお願いします。

 

井上 一男 井上一男

今話がありましたように、いわゆる説明会、勉強会があるということです。

そのときに再質問を私もしたいと思いますけれども、もう一つお願いします。

本市も地元の市民に、いわゆる企業も含めて説明を行っているんですけれども、名古屋市は南側ルートの沿線の地元市民や企業などについての説明はしているんでしょうか。

わかる範囲内でお願いします。

 

 防災環境部長(桑原邦匡)

ただいまの質問につきましては、事前の通告がございませんでしたので、その確認がとれておりません。

大変申しわけございませんが、次回の名古屋市同席の説明会等々でご質問いただき、名古屋市のほうにも事前に通告しておきますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。

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