新学習指導要領について

 神田 薫

新学習指導要領について、私が今注目している3点、その対応について教育長にお尋ねいたします。

文部科学省(以下、文科省)は、平成29年3月、小・中学校の新学習指導要領(以下、指導要領)を公示しました。

手続的には、学校教育法施行細則等を改正しながら小・中学校ともに来年の平成30年4月から移行措置を実施し、小学校は平成32年全面実施、中学校は平成33年全面実施と決められています。

指導要領を概観すると、小学校に外国語の各教科が新設されます。小学校3、4年生では外国語活動、年間35単位時間、5、6年生では外国語科、年間70単位時間。それに伴い、3年生から6年生ではおおよそ35単位時間が授業時間増加となるものと理解しました。

また、今回の改訂では、学力や現状の課題、将来の予測を踏まえ社会に開かれた教育課程の実現を目指し、何を学ぶかだけではなく何ができるようになるか、どのように学ぶかといった視点から、指導要領の枠組みの見直しが行われました。

よく耳にする国際化、グローバル化が進む云々という視点から、教育現場として隣国の中国、韓国初めASEAN諸国の英語教育の取り組みはいかがなものかと目を向けると、早期英語教育に取り組んでいる韓国は約20年前から、中国は約15年前から、小学校3年生から英語が必修と聞き及んでいます。

ネイティブスピーカーの教師と早期英語教育の必修化により、英語力、コミュニケーション力等はシンガポール、マレーシア、インド、韓国等のほうが我が国に比べて高いと言われています。

上記の国内外の現状から、今回の指導要領では、文科省は早々に、新しい小学校英語教育の実施を2年前倒しし来年から実施することとしています。我が国の英語教育の充実強化は喫緊の課題と捉えています。

本市では、早くからネイティブスピーカーの英語助手を配置され、児童・生徒の英語力向上に心血を注いでこられました。そこで、今後の英語教育充実強化に向けての意気込み、英語指導助手増員について等々を教育長にお尋ねいたします。

新指導要領は、学校教育の守備範囲を知識、技能を教え身につけさせるだけでなく、知識、技能を使って問題を効果的に解決する思考力、判断力、コミュニケーション力、さらに社会スキルなどの資質、能力の育成を強く求めています。どのように学ぶかの視点から、教え方の刷新を強く求めています。

そこで、昨今、教員の多忙化解消が叫ばれている中で、中学校の部活動のあり方を含め、授業の質、学力保障にどう対応されるのか、教育長にお尋ねいたします。

最後になりますが、この9月、神奈川県大磯町の中学校で学校給食の残食率が平均26%、最大55%というセンセーショナルな報道がありました。

新指導要領では、給食の時間を中心としながら、健康によい食事のとり方など望ましい食習慣の形成を図るとともに、食事を通して人間関係をよりよくすることと食習慣の形成を求めています。

北名古屋市給食センターによれば、昨年11月に全校を対象に1週間の残食量調査を行い、その結果によれば、1日当たり、水分を含んだ重さで全小学校の合計は210キログラム、全量の9.5%、全中学校の合計は58キログラム、全量の4%の残量でした。1人当たりでは、小学校42グラム、中学校24グラムです。

そこで、この残食量について、その所感と対応について教育長にお尋ねいたします。

以上で一般質問を終わります。

 

 教育長(吉田文明君)

新学習指導要領実施の諸課題について、順次お答えをいたします。

初めに、今後の英語教育の充実強化に向けての意気込み、英語指導助手の増員について、お答えをいたします。

ご指摘のように、英語教育の充実強化は待ったなしの状況にございます。本市におきましては、首長部局、市議会の皆様のご理解を得て、早くから充実強化に取り組んできました。その結果、国家目標である英検3級程度以上の中学3年生50%にあと一歩と迫っています。

これから国際社会を生き抜く子供たちにとって、たとえ日本で生活するにしても英語は社会を生き抜いていくための必需品です。グローバル社会の基本ツール、英語を北名古屋の意欲ある子供たち全てが手にすることを目指して今後も進めてまいります。

英語指導助手の増員について、お答えいたします。

来年の4月より、小学校英語教育の対象学年と授業時間数が増加いたします。英語教育の質の維持向上を図るには英語指導助手の増員が必要と考え、実現に向け努力しているところでございます。

次に、授業の質、学力保障にどう対応するかについて、お答えいたします。

新しい学習指導要領は、教える知識、技能は従来と同じ量でございます。しかし、思考力、判断力、表現力等の資質、能力の育成を従来以上に強く求めています。つまり、求められる学力の質が大幅に高められました。

この目標を実現するには、知識、技能を習得させつつ学習の基盤となる言語能力、情報活用能力、問題発見能力、問題解決能力等を育成することを明確に意識した授業が不可欠でございます。

つまり、ご指摘のように今までの授業、指導法を質的に転換し、高めなければなりません。そのためには、先生方の研究実践とその時間確保が必須でございます。つまり教育現場の多忙化解消が図られなくては、授業の質、学力保障ができないということでございます。

本市におきましては、例えば部活動の時間を制限したり、中学校部活動指導員を配置したりして担当教員の負担を減らすなど、既に解消計画を策定し多忙化解消に取り組んでいるところでございます。

さらに、来年度から小学校に、一部ではありますが、積極的に教科担任制を導入し、授業技術の習得、上達を加速化することで授業の質を高める試みを始めます。さらに、補習授業の充実に取り組み、知識、技能の定着も図ってまいりたいと考えております。

いずれにしましても、授業の質、学力保障を目指して先生方が研究実践の時間を確保し、授業改善ができるような環境整備に取り組んでまいります。

最後に、給食の残食量についての所感と対応について、お答えをいたします。

本市の小・中を合わせた残食量は7.4%で、環境省の発表している6.9%を0.5%上回る程度で、全国水準にあると言えます。とはいっても、給食の残菜はできるだけ少ないほうがよいことは申すまでもないことでございます。

給食の食べ残しには、食べる時間、好き嫌いを含めた食習慣、個々の適正量、給食指導等さまざまな要因が影響しております。

今後も子供の発達を踏まえた給食指導、食育を計画的、継続的に進め、新学習指導要領が示すよりよい食習慣の形成に努めてまいります。

なお、食べ残しを児童・生徒一人一人の好き嫌い、食べる速度、適正量の問題にだけ着目することなく、給食センターの6名の栄養士と29名の調理師を含む60名の調理員の総力を挙げて、栄養バランスや味、好み等を考慮した献立の開発や調理に力を注いでまいります。

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