地教行法及び社会教育法の一部改正を受けて

 神田 薫

北名古屋市版コミュニティ・スクールの展望についてを教育長にお尋ねいたします。

平成16年6月に、学校評議員制の徹底から学校運営協議会への移行について、この場で教育長に質問してから11年が経過しました。

現在、本市におけるコミュニティ・スクールの進展を見聞きするにつけ、感慨深いものがあり、また今後の発展が気になるところです。

そこで、私なりにその進展を確認いたしたく、教育長に北名古屋市版コミュニティ・スクール、地域とともにある学校づくりの展望について3点お伺いいたします。

初めに、私なりに学校運営協議会制度移行までについての概観を述べさせていただきます。

文部科学省(以下、文科省)は、学校と地域の連携を教育施策の中心的な柱として平成12年に学校評議員制度を導入し、地域住民の学校運営への参加を促しました。

平成14年には完全学校週5日制が導入され、子供の教育は学校と家庭と地域との3者一体での推進との論調になってきました。

本市では、ふれあいスポーツクラブの成果を上げることができます。

学校週5日制導入の趣旨を横目に見ながら、論調の変遷を述べます。

我が国の学校は、知育、徳育、体育を一体的に進めるという伝統があります。

そのためか学校のことは学校に任せるとの風潮があり、学校教育への過度の依存からか、学校に問題が起きるとあたかも学校だけが日々起こる児童・生徒のさまざまな問題に責任と役割を持っているかのように思われ、保護者、地域住民からの厳しい指摘や非難が寄せられます。

また、学校は閉鎖的、敷居が高い等々も耳にしてきました。こうしたことは、学校と家庭や地域との間に溝があったことは否めないことです。
学校、家庭、地域をそれぞれ教育の場と捉えれば、どれか1つだけで子供たちの成長がはかられるものではありません。

それぞれが持っている教育力を相互に連携、協力しながら子供の成長を支えていくことこそが大切だと思います。

文科省は平成16年に、地域住民、保護者のニーズを学校運営により一層的確に反映させる仕組みとして学校運営協議会、いわゆるコミュニティ・スクールを教育委員会判断で導入できるとしました。

既に、学校評議員制度を全国の公立学校では78.4%が導入していました。

コミュニティ・スクールの導入は、平成17年度当初は全国で17校ですが、平成23年には全国で789校に増加しています。

同時期、本市では学校評議員制度の導入率は100%です。翻り、全国の学校評議員制度の導入率は80.2%です。

平成16年、文科省中央教育審議会から、今後の学校の管理運営のあり方について答申が出され、それには平成初めのころからの議論が重ねられてきた地域社会が運営にかかわる新しいタイプの学校に言及されています。

平成23年、本市教育委員会では、北名古屋市総合計画の自立と協働のまちづくりの方針を受け、コミュニティ・スクール導入が決定されました。

翌平成24年、市民協働による学び支援推進事業として、「地域全体で子供の夢に向かって生き抜く力・学力を育む」をスローガンのもと、北名古屋市版コミュニティ・スクールとして市内3小学校がコミュニティ・スクール試行校に指定され、学校運営協議会制度が開始されました。

市内のコミュニティ・スクール試行校が、学校、家庭、地域のそれぞれ持つ教育力が弱まっていると声高に叫ばれている昨今に、3者が力を合わせ全力で教育に取り組むことは重要なことだと思います。

言いかえれば、地域の教育力を掘り起こし、学校、家庭、地域が子供の育ちにかかわり、その役割を果たす視点は重要だと思います。

とはいっても、その取り組みは学校の多忙化の中でも地道な努力を重ねてこられました。

子供たちが厳しい時代を生き抜く力の育成と、地域からの信頼される学校づくり等々、課題解決を図るために学校運営協議会と地域学校協働活動、いわゆる学校ボランティア等を独自制度設計された北名古屋市版コミュニティ・スクールができ上がったものと推察します。

そこには教育関係者、ご協力の方々の並々ならぬ努力と成果が出されました。

全国のコミュニティ・スクールの導入状況は、本年度4月1日現在、全国の公立小・中学校、義務教育学校のうち3,398校、11.7%がコミュニティ・スクールを導入。

本市のように自治体内の全校導入は、全国1,788自治体中9.3%です。

本市の教育関係者、ご協力者の方々の並々ならぬ努力と成果は、文科省推進フォーラムで北名古屋市の取り組みが取り上げられ、さらに実施報告書は文科省ホームページに掲載されています。

結果、県内外から12自治体の視察があるとのことです。
本年度から、本市では全小・中学校は北名古屋市版コミュニティ・スクールへと転換しました。

各学校の取り組み状況等に若干の違いはあるでしょうが、地域と一体になった学校づくりに取り組み展開し、成果を上げ充実しつつある現状を見るにつけ、関係者の皆様のご努力は称賛に値するものであります。

以上を踏まえた上で、教育長に3点質問いたします。

1点目、今年3月に地方教育行政の組織及び運営に関する法律、地教行法の一部改正が行われました。その中に、コミュニティ・スクール設置の努力義務や、その役割の充実などが盛り込まれました。

教育長は、地教行法の改正をどのように受けとめられるのか、お答えください。

2点目、地教行法と同様に、社会教育法の一部改正が行われました。その中で、地域学校協働活動及びその推進員についての位置づけが措置されました。

教育長はこうした社会教育法の改正をどのように受けとめられるか、お答えください。

3点目、地域とともにある学校づくり、北名古屋市版コミュニティ・スクールを推進してきた教育長の視点から、今回の地教行法及び社会教育法の一部改正を受け、今後の本市の取り組みの方向性をお答えください。

 

 教育長(吉田文明君)

地方教育行政の組織及び運営に関する法律、いわゆる地教行法の改正をどのように受けとめるかについて、お答えをいたします。

学校運営協議会、いわゆるコミュニティ・スクールはこの法律に定められており、今回大きく改正されました。

主な改正点についてお答えをいたします。

1点目ですが、学校運営協議会を設置できる規定から、設置に努めなければならない規定となり、各教育委員会は全学校に学校運営協議会を設置することを目指さなければならないとされました。

さらに、今後必ず設置する規定になることが見込まれますことから、設置校が急速に増加するものと思います。

2点目ですが、学校運営協議会委員に学校支援ボランティア活動、改正された社会教育法で言う地域学校協働活動を行う人を新たに委員として任命することになりました。

これまでの地域住民代表や保護者代表に、学校支援ボランティアの代表が加わり、より効率的、効果的な協議会の運営ができるものと思います。

3点目に、校長は協議会委員の任命について意見を申し出ることができると書き加えられました。

学校運営の責任者たる校長が委員の任命に関与できるようにしたもので、より教育現場に適した人材が選任できるものと思います。

4点目に、協議結果を積極的に提供するよう努めることにつきましては、新設されたものです。

学校支援にかかわっている方々はもとより、多くの市民が学校運営の状況や必要な支援について理解を深め確実に共有することで、学校支援がより実効性のあるものになると思います。

5点目に、教職員の人事については教育委員会に意見を述べることができる規定を、教育委員会が定める範囲において地域や学校の実情に応じて意見を述べることできるように変更し、より現場に則した運用が図れるようになりました。

6点目に、学校運営協議会の運営が適正を欠く場合、またはそのおそれがある場合、教育委員会は必要な措置を講じなければならないとするものです。

従前は、指定を取り消すことができましたが、今後は解散させることなく教育委員会による指導・助言や委員の交代など、運営の適正化に向けて適切に措置することが求められるものと思っています。

以上、答弁とさせていただきます。

 

 教育長(吉田文明君)

社会教育法の改正をどのように受けとめるかについて、お答えいたします。

今回の改正により、新たに社会教育法に地域の人たちが学校のパートナーとして子供たちを育てるために行う行動を地域学校協働活動と規定し、その活動内容を定めました。

主な内容ですが、授業の終了後または休業日における児童・生徒を対象とする学習等の支援活動やボランティア活動、さらに青少年を対象とする社会奉仕体験活動や慈善体験活動等の活動、加えて学校の授業や部活動等を含めた多様な学校教育活動に学校と協働して取り組む支援活動であります。

さらに、こうした活動が円滑かつ効果的に実施するために、地域学校協働活動推進員の委嘱などの基盤整備を教育委員会が行うと定めたものです。

この改正によりまして、学校支援ボランティア活動が地域学校協働活動として法に明確に位置づけられましたことにより、今まで以上に市民や豊富な社会体験を持つ外部の人たちの協力を得て、放課後子ども教室、アフタースクール、地域未来塾、部活動指導員等の学習支援を初めとする学校支援活動、スクールガードなどの地域ぐるみの学校安全支援活動など、取り組みが充実・強化できるものと思っております。

以上、答弁とさせていただきます。

 

 教育長(吉田文明君)

今回の地教行法及び社会教育法の一部改正を受けて、今後の本市の取り組みの方向性についてお答えをいたします。

子供の教育には、家庭、地域、学校の3つが必要です。どれ1つ欠けても教育がいびつになります。

3者が力を合わせて子供の成長を支えていくことが、今ほど必要とされているときはないと思います。

教育委員会におきましては、学校と家庭に地域が加わった地域とともにある学校を目指して今まで来ました。

学校運営に家庭と地域の代表が参加する学校運営協議会制度と、地域が学校教育を支援する地域学校協働活動を一体化した、つまり学校の管理運営と社会関係資本の活用を総合的に調整する北名古屋市版コミュニティ・スクールの推進に取り組んでまいりました。

この5年間、学校、家庭、地域、それぞれの意識改革や組織の創設、運営管理等さまざまな課題に直面し、関係者の皆様とともに熟慮と議論、いわゆる熟議を重ね乗り越えてきました。

今回の法改正には、お取り組みいただいた方々の知恵と熟議と汗の結晶が多く取り込まれていると思えるほどの改正でございます。今後、本市の取り組み、学校と家庭と地域の協働に向けた取り組みが法のもとで着実に実行できる環境ができたと捉えております。

いずれにしましても、当事者の熟議、市民の協働、校長のマネジメントがポイントです。

よい地域がよい学校をつくり、よい学校がよい地域をつくります。

より広範な市民の皆様のご理解とご支援をいただき、北名古屋市版コミュニティ・スクールの質の向上、言いかえますと地域とともにある学校づくりを推進することが市民協働を推進する一助、北名古屋市のステップアップにつながるものと思い、そういった思いで今後も全力で取り組んでまいります。

以上、答弁とさせていただきます。

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